行ってみたい風変わりなあのスポット。
好みじゃないと渋々のパートナーはこう攻略?!
男「旧正月が近くなると、上海の街は、提灯とかの飾り物でどんどん真っ赤に染まるよな」
女「そうね。中国では赤色が縁起の良い色だから」
男「でも、靴下とかブリーフとかまで真っ赤なものを売るのはやり過ぎだろ」
女「身体全体で吉と財を呼ぶってことでしょ。あなたも赤のブリーフ穿いたら? 最近あなたついてないみたいだから」
男「赤はちょっとなあ。それに、僕はトランクス派だし」
女「そんなこと聞いてないわよ、全く…。赤が嫌なら、サムライブルーの服でも着る?」
男「それって、サッカー日本代表のユニフォーム?」
女「藍色のことが言いたかっただけ。藍染めの服って嫌い?」
男「藍染め? あれ高いだろ」
女「中国だとそんなに高くないわよ。地下鉄常熟路駅近くに、藍染めの服とか可愛い小物が売ってるところがあるのよ」
男「何だよ、君が買い物に行きたいだけなんじゃないか」
女「違うわよ。そこ、中国藍印花布館って言うんだけど、友達の話だと、ショップの隣に藍染め展示館があるんだって」
男「展示館ねえ」
女「あなたそういうの好きでしょ。藍染めの道具の他に、歴史的人物と関係するものも置いてあるらしいわ」
男「何々? 何があるの?」
女「芥川龍之介が上海に持ってきた、お気に入りの浴衣の切れ端も展示してあったって」
男「切れ端って何だよ」
女「切れ端は切れ端でも、芥川龍之介の切れ端よ。知恵がつきそうでしょ」
男「芥川先生が僕に知恵を授けてくれるのか~。それならちょっと見てみたいな」
女「でしょ。他にもたくさんの子どもたちが描かれた19世紀の布があるって」
男「で?」
女「でって何よ。年代ものだけに、色あせていて、子どもたちの笑顔や表情が消えてるの。魯迅が書いた『狂人日記』の最後の、〝子どもを救え!〟っていう、狂人の叫び声が今にも聞こえてきそうじゃない」
男「藍染めって奥深いんだな」
女「あなたはそんなに深く考えなくても良いわよ。普通に楽しんで。春節らしい獅子が球で遊んでいるデザインとか、コウモリの図柄の清代の藍染めの布とかも飾ってあるらしいから」
男「コウモリね。コウモリが何で縁起が良いか知ってるか?」
女「知らないわ」
男「コウモリは漢字で『蝙蝠』って書くんだけど、その〝蝠〟の発音が〝福〟と同じだから縁起が良いってされるんだ」
女「へえ面白い。展示には他の縁起物の柄の布があるはずだから、由来とか色々教えて」
男「しょうがないなあ」
女「(ほんと単純ね)じゃあ、今から行きましょう!」
【information】
住所: 長楽路637弄24号(×華亭路)
電話: 5403-7947
時間: 9時~17時
料金: 無料
休館日: なし
アクセス: 地下鉄1号線「常熟路駅」3番出口より華亭路を北へ徒歩5分。長楽路を東へ徒歩2分。
~上海ジャピオン1月16日発行号より