ヌオミーオウ
糯米藕
~江蘇省南京市~
甘く煮詰められた砂糖の味が、もちもちっとした食感によく合う
甘~い味付けの中華前菜
嫁ぐ娘を思う母心
中華料理の前菜として、南方でよく登場する「糯米藕」は、レンコンの穴にもち米を詰めたもの。
隙間が開かないよう、砂糖ともち米を穴にぎっちり詰めるのがポイントだ。
甘い上にもち米がお腹にたまるので、前菜の段階で満腹になりそうな勢いの品だが、
それは娘を思いやる母心の現れだった――。
時代は定かではないがその昔、まだ今のような自由恋愛が許されていない頃は、
両親が決めた相手の元へ嫁ぐのが一般的だった。
そのため、嫁ぐ娘は、相手の家や住む土地について、何も知らないまま嫁ぐしかなかったのだ。
明朝の資料を主に展示する「閲江楼(えつこうろう)」は、南京市北西部の獅子山に建つ
ある年、今の南京に暮らす家の娘が、例によって知らない相手に嫁ぐことになった。
その上、相手が仲介人の紹介だったため、娘の両親さえも相手についてはよく知らなかった。
そこで娘の母親は、娘がもし相手の家で飢えた思いをしてしまったら…と心配し、
できるだけ長い間保存できる食料を持たせようと、準備を始めた。
まず準備したのは、保存の効く煮卵。しかしこれだけでは足りないと、
頭をしぼって考え付いたのが、腹もちのよいレンコンともち米を組み合わせるという方法だった。
さらに荷物がかさ張らないようにと、レンコンの穴にもち米をぎゅうぎゅうと詰め込んだのだ。
こうして出来上がった料理が、今の「糯米藕」というわけだ。
その後、この「糯米藕」は娘が嫁ぐ際にもたせる物として、次第に定着していった。
今でも、農村地域などでは、風習として残っているという。
娘を思いやる優しくて甘い母親の味を、じんわりじっくり噛みしめよう。
【アクセス】
①上海浦東空港から空路にて南京禄口空港まで、約40分。1日1便
②上海駅から南京駅まで、新幹線(動車組)で約2時間半、硬座93元~
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~上海ジャピオン3月11日号