こんなときどうする? 法律Q&A

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 今回、問題を解決してくれる法律のスペシャリストはこちらのお三方。

【張磊弁護士】
 上海里格(リーグ)法律事務所所属。華東政法学院国際法学科卒。
弁護士歴11年で、事業投資や会社法(設立、清算)などを専門とする。
 仕事となると正義感が炸裂するが、普段は優しくて穏やかな性格。
1週間フル労働で毎日残業という張磊弁護士の趣味は仕事と読書。
それだけに法廷では、豊富な知識と経験を活かして、難しい案件を勝訴へと導く。

【馮松弁護士】
 維度律師事務所(BOS上海)所属。華東政法大学碩士学位取得。
弁護士歴6年で、合併再建や会社法(設立、清算)などを専門とする。
 場数を踏み、冷静に熱い戦いに挑める、負け知らずの弁護士だ。
勉強熱心で温厚な人柄が周囲を魅了するが、優しげな表情の奥に隠れた真の実力は、
法の番人が唸り声を上げるほど。
案件の大小を問わず常に真剣勝負。

【張春偉弁護士】
 来来法律事務所所属。大連海事大学法律学部卒。
弁護士歴は12年。
企業法務や合併再建などを専門とし、日系大手企業の案件も一挙に引き受ける。
 日本の文化や考え方をこよなく愛するが故、ちょっと日本びいき。
そんな張春偉弁護士の法廷戦術は、理論的かつ知的な話術。
この練達したロジック攻めで勝訴判決をもぎ取る。

 では早速、1人目の相談者に登場して頂きましょう! 相談内容は、「大家に敷金返還を求めたい」です。

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 1人目の相談者は、日系部品メーカー勤務のOさん。

 Oさんが引っ越しをして1カ月目の夜、
帰宅するとキッチンの流しから水が逆流してキッチン中が水浸しになっていた。
急いでマンションの物業管理に電話をして、修理してもらったが、その後3、4回同じ事件が発生。
Oさんは限界を感じ引っ越しを決意した。
大家にその意向を伝えると、賃貸契約期間が満了していないため、敷金は返還できないという。
果たしてOさんは、敷金を取り戻すことはできるのか?

【張磊弁護士】
 この場合は、「契約法」60条および94条に基づいて返してもらえますね。
いくら物業管理が修理をしてくれたとはいえ、問題を実質的に解決することはできていません。
そればかりか、何度も同じトラブルが発生し、居住環境が契約時よりも悪化しています。
このような情況であれば、賃貸契約を解除し、敷金の返還を請求できます。

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【馮松弁護士】
 建物の老朽化など物件自体の問題が原因なら、
一般的な賃貸契約に基づいて、賃貸契約を解除し、敷金の返還を請求できます。
契約した物件が正常に使用できないという場合も同様に可能です。
つまり、居住に影響する限り、契約を解除できます。

【張春偉弁護士】
 「中華人民共和国契約法」的には返してもらえますが、大家と交渉が必要です。
もし交渉が難しければ弁護士に依頼してください。
それでも返還してもらえない場合は、起訴することもひとつの手です。

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 2人目の相談者は、主婦のHさん。

 上海歴半年のHさんは、ジムが日本よりも安いことを知り、
思い切ってジムの年間会員券を購入した。
こうして「上海若返り計画」は幕を切ったが、数回利用した後、突然閉店! 
店内を覗いても人気は無く、電話も通じない状況だという。
果たしてHさんは、残金を取り戻すことはできるのだろうか?

【張磊弁護士】
 まずは、入会時の領収書や会員カードなどの証拠類を持って
「消費者権益保護委員会」や「工商管理局」などの公共機関へ訴え出てください。
このケースには、「契約法」94条および113条が適用され、
公共機関が間に立って、無料で会社や店の責任者を探し、残金を支払うよう交渉してくれます。

【馮松弁護士】
 店舗側と交渉できなければ、証拠類を持って「消費者権益保護委員会」(無料)へ行きましょう。
しかし、個人経営店の場合は、責任者が見つからなかったり、
そもそも会社登録がされてなかったりすることが多く、ほとんどの場合お金を取り戻すことは不可能です。
たとえ訴訟を起こしても、会社が無ければ執行できません。
被害総額が2万元程度なら、訴訟額の方が高くついてしまうので、諦める方が賢明です。

【張春偉弁護士】
 似たような事件はよく耳にします。
これは、「中華人民共和国刑事法」および「中華人民共和国契約法」に基づき返してもらえます。
れっきとした違法・詐欺行為ですから、まずは警察に届けましょう。
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 3人目の相談者は、旅行代理店勤務のTさん。

 上海歴2年のTさんは、タクシーから降りるとき、ドアノブを壊してしまった。
すると、運転手が突然いきり立ち、「全額賠償しろ!」と迫ってきた。
Tさんは、わざと壊したわけではないことを片言の中国語で伝えるが、運転手は聞く耳なし。
口論してもきりが無いので、そのまま立ち去ったという。
果たしてこういう場合、Tさんは賠償しなければならないのか?
 

【張磊弁護士】
 通常、ドアノブはそう簡単に壊れるものではないですよね(笑)。
もし、自分の操作ミスが原因で壊してしまったのであれば、車体の新旧具合などを考慮し、
「民法通則」131条に基づいて、自己責任の範囲内で弁償すべきです。
口論になり、簡単にその場を去れない場合は、警察を呼びましょう。

【馮松弁護士】
 今回のように自分の原因で壊したわけではない場合、
民法通則に基づいて、賠償する必要は全くありません。
それでも、賠償請求される場合は、
壊れたドアノブの写真などの証拠類を「上海市運輸管理処」へ届けましょう。
告訴と処理に費用が掛かりますが、きちんと審査してくれます。

【張春偉弁護士】
 旧型のタクシーであれば、このような事件が起こりえますよね。
ケースバイケースですが、「中華人民共和国民法通則」に基づいて、
故意でない場合の賠償は固く断ることができます。
中には悪質な運転手もいるので、責任が誰にあるかはっきりするまでは、
賠償請求を断るほうが賢明です。

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 最後の相談者は、日系IT会社勤務のYさん。

 ある朝、Yさんが出勤中に乗っていたタクシーが、接触事故を起こしてしまった。
たちまち道の真ん中で運転手と相手運転手の口論がスタート。
タクシーの中に取り残されたYさんは、口論が長引きそうだったため、料金を払わず下車した。
果たして、Yさんは料金を払わなくてもよかったのだろうか?

【張磊弁護士】
 目的地まで到達できていないので、「契約法」第290条に基づき、料金は払わなくてよいです。
しかし、部分履行しているので、公平の原則から料金の一部を払ってもよいでしょう。
もし、引き続きそのタクシーで目的地まで行くなら、
最終料金から待ち時間の料金を控除した金額を支払います。

【馮松弁護士】
 「上海市出租車営運管理条例」に基づいて、
初乗り料金の範囲内で事故が発生した時は、料金を支払わなくてよいです。
もし範囲外であれば、きちんとした規定はありませんが、市内レベルの近距離の場合は支払わず、
浦東空港など遠距離の場合は適当な額を支払うのが現状です。

【張春偉弁護士】
 上海は、交通事故が日常茶飯事ですよね。
そういうときは、タクシー会社がタクシー会社の条例と状況から判断するので、
まずは、タクシー会社に電話しましょう。
番号は、運転席座席の後ろに書いてあります。
そして助手席前にある運転手の登録番号と現状を伝えましょう。

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~上海ジャピオン12月18日号より

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