上海ジャピオンコラム・リサーチ
小小説 第17話 隙~明日何を着るか~
「ばか、今は何月だと思っているの。まだ長袖シャツを着ているなんて…」 久しぶりに南京から僕のアパートを訪れた母さんが、僕に会ったとたんに言い出した話がこれだ。「どちら様が6月に長袖を着てはいけないと、お決めになったのか。僕は二百…
小小説 第13話 珊瑚夫人
「やはり珊瑚はとても美しい。ただし、その美しさの下にどれくらいの屍が積もっているのかなあ」 今日まで、私はずっとこの言葉を忘れられない。友達のお虫が死んでいくとき、この話を何度もぼそぼそとしていたのだ。 あっ、自己紹介を…
小小説 第12話 藤蔓の日記
4月12日 日曜日 晴れ----曇り 向こうの奴を見ると、また高くなったみたいだ。そいつの蔓はそろそろ三階の露台に這い上がる。そのスピ―ドなら、すぐに屋根に這い上がるに違いない。では、私は? 高さは相変わらずこの藤棚と同…
小小説 第11話 天使の背中 後編
周りは暗くなってしまった。風がますます厳しく吹いてきた。風は身の毛をよだたせる化け物の声のように吼えたけり、暗い空に響いた。 母さんを探している小白鳥は道に迷い、寒さに飢えていた。不案内な所で一夜を明かすしかないと思う…
小小説 第10話 天使の背中 前編
生い茂った花や緑に囲まれた大きな池には、白鳥の親子が2人で暮らしていた。 毎日、白鳥母さんは食べ物を探しに出かけた。小白鳥はこの格好の遊び場で、母さんの心配をよそに泳ぎまわったり石の上から飛び込んだりと元気いっぱい。「安全…
小小説 第9話 石段の文句
ある山の奥に1つの大きな石が静かに眠っていた。ある日、一人の若い僧侶が薪を切りに山に登った。帰る途中、彼は何気なくその石に目をとめ、「なかなか良い石のようだ。寺へ持ち帰ったら何かの役にたつかもしれない」と思った。 しか…
小小説 第8話 なめくじお嬢様のお見合い
風の森には「幸せのスタート」という結婚仲介があります。経営するインコおばさんは口が上手く、何組もの円満な家庭を作らせたものでした。ところがある日、店が1人の手こずるお客さんを迎えていました…。「いらっしゃいませ。何か御用でいら…
小小説 第7話 浮気な隠居 後編
大臣から偉い隠居の話を聞いた王様は、人柄を疑ったものの、隠居を誘い、王宮で宴会を行うことにした。宴会の日、王宮には人が大勢おり、たいへん賑やかだった。テーブルの上には、色んな美味しい料理が山のように並べられ、官員も貴族も、皆きれい…
小小説 第6話 浮気な隠居 前編
昔々、ある国の王様が国力を強めるために、全国から賢く良識のある人物を募集することにした。役人に指示して、「賢く良識のある人、或いはそんな人を知っている百姓は役所まで申し出るように」という掲示を出した。 掲示が出されてしばらくすると…
小小説 第5話 大通りの真ん中の糞様
ある日、一台の馬車が通りを急いでいた。と、突然馬が大便をして傲然と立ち去ってしまった。そうして、この物語の主人公は町に見捨て去られたのだ。 ふと、まどろんだ目を覚まして見回すと、早朝だから通行人はあまりいなかった。糞君が首…








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