オススメポイント
同作は作者・氷心が初めて手掛けた小説で、対照的な2つの家庭を描いた物語です。志を同じくする旧友2人がそれぞれ家庭を作りますが、生活環境の違いによって異なる結末を迎えます。
同作が書かれたのは、中国が近代化に向けて大きく変化し、海外から新たな知識や思想が大量に流入する時代でした。当時まだ根強く残っていた封建主義的な思想や性差別、教育問題などに切り込んでいます。
当時の氷心が若い感性で時代の流れを敏感に感じ取り、女性の権利の重要性を説いた作品です。
教養の差が生み出す幸福と悲劇の物語
同作は、主人公〝私(我)〟が見た2つの家庭の物語。陳華民と三哥は学生時代をともに過ごし、社会的成功を志します。その後、彼らはそれぞれに家庭を持ちました。陳の妻は怠惰で、何でも人のせいにしますが、一方、三哥の妻は面倒見が良く、教養に溢れていました。
同じ志を持った人間が、異なる環境によりどのような差異を生むに至ったのか? 家庭を社会の縮図として綴った社会小説です。
~上海ジャピオン2014年6月27日号