レストランで式
私は考える男マートン。
今日は、友人の結婚パーティーに招かれ、
淮海中路の創作中華料理店へやって来た。
店内は1階から2階までが吹き抜けになっており、
昔の社交場ホールのような趣である。
華やかな会場で、友人も満足そうだが、
花嫁の表情だけがなにやら浮かない…
噂に聞くマリッジブルーだろうか?
ここは私が素晴しいスピーチで彼女の心を晴らしてやろう。
では早速、考えをまとめねば。
小部屋(トイレ)はどこだ!
回転木馬と〝馬桶〟
…ふう、落ち着く空間だ。
個室内は、壁と床一部に深緑色のタイルが貼られ、
なかなかシャレている。
手洗い場も、縞模様の床や壁のタイル、
金の飾りなど、それぞれ素材はバラバラだが、
不思議と調和をなしているな。
小便器のつい立ての柱も凝った形で、
まるでメリーゴーランドのようだ。
メリーゴーランドと言えば馬が必須だが、
この小部屋(トイレ)にはすでに便器、
中国語で〝馬桶(マートン)〟があり、完璧だ。
…私と同じ名前だなんて、
運命を感じてしまうな。
…よし、スピーチでは
私とこのトイレの運命的な出会いを語り、
花嫁にも運命の相手の大切さを思い出させてやろう。
ありがとう、いい小部屋(トイレ)であった。
~上海ジャピオン04月27日号