辿り着いた〝道〟
私は考える男マートン。
今日は、考え事をしつつ歩いていたら、
道に迷ってしまった。
標識には、成都南路と書いてあるが…おや?
向こうに見えるレストラン、
名を「EL CAMINO」というのか。
確かスペイン語で〝道〟という意味だったな。
道に迷っている私にはおあつらえ向きだ…
入ってみよう。
通りに面したテラスは明け放たれ、
店内に柔らかな陽光が差し込んでいる。
気持ちの良い空間だが…
それを楽しむ余裕はない。
小部屋(トイレ)の中で、
どうやったら帰れるのか考えねば!
道の中には巨壺が
…ふむ。
コンクリート打ち放しの壁に、
明るめの木材でアレンジした手洗いスペース。
ナチュラル感のある居心地の良い
小部屋(トイレ)だ…!?
何だコレは。
便座の横に大きな壺が飾られている。
…ツボ…そうだな、
迷った時にはツボ、
要所を押さえて考えるべきかもしれん。
そもそも、何故私は道に迷ったと感じたのか?
それは、
周りの風景や通りの名前に見覚えがないからだ。
しかし、それは主観的であり、
客観的かつ哲学的に考えれば
私は道になど迷っていないではないか!?
そうと分かれば早速家へ帰るぞ!
ありがとう、いい小部屋(トイレ)であった。
??~上海ジャピオン05月18日号