チャイナ地理塾:貴州省

1.洞窟での暮らし

 貴州省は、山が多く起伏が激しい地形で、その山間のあちらこちらには多くの少数民族が暮らしている。その中でも最大規模の少数民族が苗(ミャオ)族で、貴州省在住数は合計360万人ほどもいるんだ。
この苗族の20世帯が暮らす珍しい集落が、安順市というところにある。それは、海抜1800メートルの洞窟を家にしている集落で、現存するアジアで唯一の穴居集落といわれている。彼らは60年ほど前からここに住み始めたんだ。
 穴で生活、といっても意外と不便はないみたいなんだ。電気もテレビも通信手段もあるし、2003年には洞窟内に学校もできて、外の集落からも通ってくる生徒がいるみたいだよ。

2.パナマ万博金賞受賞

 茅台酒は、中国八大銘酒のひとつで、世界的にも有名な白酒。貴州省の茅台鎮というところで800年も前から生産されているんだ。
 この酒が最初に世界に紹介されたのは、1915年のパナマ万博。世界から20万社もの出展者が集まった、大きな博覧会だ。中国からは茅台酒が出品されたんだけど、チャイナ服に辮髪の東洋人が持ってきた陶器瓶のお酒になんて誰も見向きもしなかった。しかし、万博が間もなく閉幕しようかというとき、中国代表のひとりがわざと酒の瓶を割ったんだ。するとあたりには茅台酒のいい香りが漂い、周囲の客を引き付けた。その後審査員たちは茅台酒を試飲、「世界最高の白酒」と認め、金賞を授与したんだ。

3.究極の唐辛子料理

 貴州省は「天に三日の晴れなし」と歌われるほど、曇りや雨の日が多いんだ。湿度はとても高いし、雨が降れば冷え込む。この気候に対応するため、貴州では酸っぱく辛い料理を食べる。特に唐辛子は不可欠。貴州の人たちに言わせると、唐辛子は辛いだけでなく、香り高くなくてはいけないんだ。
多くの料理で唐辛子を使っているけれど、その究極が「辣椒炒辣椒」、すなわち「唐辛子の唐辛子炒め」だね。赤、青、黄色、長いものや丸いもの、干したものや漬物にしたもの、何種類もの唐辛子を一緒に炒めるという料理。田舎料理だけど、ホテルなどでも食べられる。貴州で一番変わった料理、と言われているよ。「唐辛子」と一言で言っても、いろんな風味や利用法があることが実感できるはず。

貴州省ってどんなとこ?

チベット、新疆に次ぎ少数民族の割合が多く、民族の祭りは年間1000ほども行われている。開発が遅れていたが、観光資源は豊富。
【人口】1,391万人
【面積】17.3万km2
【省都】貴陽
【民族の割合】漢族62.1% その他民族37.9%
【平均寿命】65.96歳
【都市部平均年収】8,147.13元(約122,206円)
【農村部平均年収】1,877元(約28,155円)

■次回予告■福建省

①銘茶「大紅袍」に政府が掛けた保険はいくら?
②客家の要塞住居「土楼」の原料は何?
③お坊さんも飛んで食べにくる名物料理って?

~上海ジャピオン2月2日発行号より

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