チャイナ地理塾:安徽省

1.女王様を祝うお茶

 中国のお茶といえば、すぐに思いつくのはウーロン茶、緑茶、プーアル茶などじゃないかな? 紅茶も作られているけれど、その9割が輸出されているから、日常ではあまり見かけないね。
でも、実は中国にも良質な紅茶があるんだ。安徽省祁門県で作られている祁門(キームン)紅茶は、インドのダージリン、スリランカのウバとともに、世界三大紅茶に数えられているんだよ。
この紅茶は18世紀後半に生み出されたもの。生産や加工に熟練の技術が必要となるため、最高級のものは年間ほんのわずかしか生産されないんだ。その香りは蘭の花にも例えられているよ。特にイギリスではこの東洋的な香りが愛されていて、毎年女王陛下の誕生日には最高級のキームン紅茶で祝うことで有名なんだよ。

2.計画型農村?!
 安徽省南部には、世界遺産に登録されている、明清時代の古民居群があるんだ。当時の面影をそのまま残す村々はどこも素朴で趣があるよ。
その中でも有名な村のひとつが「宏村」。この村は、900年ほど前に作られたんだけど、少し変わった造りをしている。というのも、村全体を牛に見立てて作ってあるんだ。西側の山は牛の頭、村の入り口の2本の柱は牛の角。さらに、立ち並ぶ古民居は牛の胴、村を巡る水路は牛の腸で、4本の石橋は牛の足という具合だ。村には湖や池など水源が豊富にあり、防火や用水に使われているほか、気温を調節する役割もあるんだよ。

3.不老不死の健康食品

 大豆の豊富な栄養分を吸収しやすい形に加工した、優秀な健康食品・豆腐。日本では奈良時代から食べ始めたと伝えられているよ。
ところで、豆腐の発祥には諸説あるんだけど、一番有力なのは2100年ほど前に安徽省・淮南の王、劉安が作り出したという説なんだ。この劉安は漢の高祖である劉邦の孫。学者に命じて不老不死の薬を作らせていたところ、偶然できたのが豆腐だといわれているよ。豆腐には成人病予防や老化防止の効果があるから、不老不死とまではいわずとも、実は近いものが作り出せたのかもしれないね。
淮南市郊外には今も、ほとんどの家が豆腐屋を営む「豆腐村」と呼ばれる村があるんだ。

安徽省ってどんなとこ?

中国でも有数の穀倉地帯で、穀物や茶などの主要産地。南部には、古くから「中国で一番美しい山」と称えられる黄山がある。

【人口】6593.5万人
【面積】13.9万km2
【省都】合肥
【民族の割合】漢族99.4% その他民族0.6%
【平均寿命】71.85歳
【都市部平均年収】9771.1元(約146,566円)
【農村部平均年収】2969.1元(約44,536円)

■次回予告■浙江省

①中国語の「火腿(ハム)」の語源って?
②紹興で子供が生まれると地中に何を埋める?
③浙江省出身の作家・魯迅の墓はどこにある?

~上海ジャピオン4月20日発行号より

最新号のデジタル版はこちらから




PAGE TOP