民族訪ねて三千里~第11回

 

南国の海と山里の村 民族同士の文化交流

リー族が暮らす海南島は、
〝中国のハワイ〟と呼ばれ、
中国一のリゾート地として知られている。
そのため最近では観光産業も盛んになり、
土地の開発も進んでいるが、
リー族は農耕を主な生業として暮らしている。

島の中心部から少し離れると、
ゴムの林が立ち並び、
ゴムの生産が副業になっている村が点在する。
こうした村ではリー族の伝統的な歌や楽器が未だ残り、
山の里という趣きが深い。
リー族がよく用いる丸太の楽器「ディンドン」は、
2本の丸太を物干し台のようなものに紐で吊るし、
両手に持った棒で叩く。
愛の歌や儀礼の歌などを、音の高さとリズムの違いで表現する。
1年12カ月を歌った『労働歌』は素朴なメロディーを繰り返しながら、
農作物の成長を歌うものとして有名だ。

また、顔に独特の刺青をした女たち4人が演じる『米つき踊り』は、
米を入れた臼を杵でつきながら臼の周りを回る。
4人がつくタイミングを巧みにずらし、
バリ島の〝ガムラン〟を彷彿とさせる。
ほかにもフィリピンと共通する踊りを有するなど、
少数民族文化の交流の様子を見られるのが楽しい。

そして、海南島最南端の三亜湾にある「鹿回頭(ろくかいとう)」には、
こんな伝説がある。
その昔、リー族の若い猟師が、
1頭の鹿を山の断崖に追い詰めた。
鹿はくるりと振り向くと、美しい女性に姿を変え、
その後2人は幸せに暮らし、村を作ったという。
この鹿回頭からは三亜の景色を一望できる。

海南島は、
海の幸を味わえる海鮮レストランはもちろん、
真珠の養殖も行われ、食にショッピングに遊びにと、
リゾートをたっぷり堪能しよう。

~上海ジャピオン9月23日号

 

 

 

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