民族訪ねて三千里~第17回

神が宿る村  幻想の世界遺産
チャン族は、四川省の北から南に流れ、
長江に注ぐ岷江の上中流域を中心に暮らしており、
「現地で生まれ育った人」を指す「爾瑪(アーマ)」、
「爾芋(アーユ)」と自称する。

チャン族の女性。婚姻は、親が決めることが多い。
また、伴侶が亡くなると相手の兄弟姉妹と再婚する

チャン族の村で特徴的なのは、
平たい石を組み上げて作られた石楼だ。
高さは約10㍍、上部に小さな覗き窓がついており、
かつては外敵の監視のために建てられたそうだが、
最近は倉庫としての利用に代わった。
また、四川料理に欠かせない「花椒」
という香辛料がそこら中に赤く実り、
この地の景色を美しく彩っている。

チャン族は石築物や井戸を掘る技術に長じる

チャン族はシャーマニズム・アニミズムを信仰し、
中でも「天神(太陽神)」は
人々や家畜に禍福をもたらすと考えられている。
天神のほか、水や土に始まり、
有形無形あらゆる物に数10種類の神が存在するが、
無形の神に関しては、
「白石(石英)」を神に見立てて祀る。
これは、チャン族が強敵を神の啓示によって倒した際、
戦勝を記念し神を祀ろうとしたが、
神に形がなかったため、
夢で見た白石を象徴として崇めるようになったという
「白石伝説」に基づくものである。
この伝説は儀式で必ずシャーマンによって唱えられ、
神話として語り継がれてきた。
チャン族のシャーマニズム信仰は生活に深く根ざし、
婚姻や葬礼など、様々な儀式にその姿を表す。

雄大な九寨溝の風景。
青い水の色の美しさに目を奪われる

四川省は、
ユネスコ世界自然遺産に登録された「九寨溝」と
「黄龍風景区」を有し、
近年はこの一帯を中心とした観光業で栄える。
空港からこの2地域を巡回するバスも出ているので、
手軽に楽しむことができる。
石灰華による幻想的な世界をご堪能あれ。

~上海ジャピオン11月11日号

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