食道をゆく 第3回 涼皮

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涼皮~陝西省漢中市~

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夏になるとよく屋台で見かけられる涼皮

厳しい夏にうってつけ
もとは秦始皇帝への貢物


 中国で夏によく食べられるのが、陝西省名物の涼皮。
涼皮は、米の粉から作られたビーフンのような食べ物で、水を入れて薄く延ばして蒸し、冷ましてから棒状に切る。
さらに酢とラー油を混ぜたタレをかけ、きゅうりやもやしなどを麺の上に乗せることもある。
この涼皮のルーツは、紀元前200年頃、秦始皇帝の全盛期まで遡る。
 陝西省の漢中は、盆地で気候に恵まれており、豊富な水源と肥沃な土地を有していたので、米の生産で有名だった。
だが、ある年、ひどい干ばつが起こり、田畑が枯れ、米が全く収穫できず、皇帝への貢物が手に入らなかった。
困った農民たちが苦肉の策として、米をつぶして粉状にし、水を入れて蒸したものを棒状に切ってみると、予想をはるかに上回る美味しいものができたので、それを持って秦鎮へ赴き、貢物として始皇帝に捧げた。
それを食べた始皇帝は絶賛し、美味しさのあまり、漢中地区の貢物は今後、涼皮のみにするよう命令したという。
その後、漢中では今に至るまで改良を加えつつ受け継がれており、屋台などで1杯(碗)2元程度で軽い主食として売られている。
見た目も味も夏向きだが、1年中食べることができる。

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木牛流馬は、孔明が北伐中に食料と物資の輸送問題を解決するために発明した輸送道具

 また、この涼皮のルーツである漢中は、劉邦が漢中王となって力を溜めた地であり、劉備もまた、漢中王を宣言して初めて蜀全域を掌握したゆかりの地でもある。
また、漢中市勉県地区郊外にある定軍山は、諸葛孔明の眠る地とも言われている。
 歴史的な観光名所も多いこの場所。
各所を巡りつつ、店ごとに特徴のある涼皮を食べ比べしてみてはいかがだろう。

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【アクセス】
①上海駅から成都行きの快速列車で約17時間
②飛行機で上海浦東空港から西安まで約1時間40分。漢中までバスで約3時間半

~上海ジャピオン7月31日号より

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