巨大アリーナの横
中国館の喧騒は無し
上海万博は昨年10月に終わったが、
その跡地の一部は今年の1月より万博公園(世博公園)として公開されている。
場所は元浦東会場の盧浦大橋の真下にあるエリアで、
アジアの歌姫フェイ・ウォン(王菲)もコンサートを行った、巨大なメルセデス・ベンツ・アリーナの西隣だ。
園内からは、万博で絶大な人気を誇り、5月31日(火)まで延長公開中の「中国館」や、
イタリア館、フランス館が見渡せる。
だが、1日何万人も訪れるという中国館の喧騒は、園内では微塵も感じられないほど静かだ。
音を楽しむ公園
耳に飛び込む自然の声
同公園は黄浦江を臨むウォーターフロント型公園で、チャイニーズポップスが絶えず流されている。
この公園での楽しみは、なんと言っても音。
先述のチャイニーズポップスをベンチに座って聴くのも悪くないが、それ以上に聞きたいのが自然のささやきだ。
落ちた枯れ葉を踏んだ時のカシャッという音、川の水が岩に打ち当たる音、
魚が泳ぎ、水面に出てくるときの呼吸音、小鳥のさえずり、遊ぶ子どもたちの嬉しそうな声、
川を行き交う船のエンジン音…。
耳を澄ませずとも飛び込んでくる音たちが、心地良くミックスし、ひとつのオーケストラを奏でるのだ。
万博の宴のあとを眺めつつ、どことなく物悲しげに心に響く、自然の音楽会を楽しみに是非。
万博公園
住所:浦東新区世博大道×周家渡路
電話:2025-0334
営業:8時~20時
入場料:無料
アクセス: 7、8号線「耀華路」駅1番出口より、上南路を北へ徒歩約15分
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松江のリゾート地区
元々は巨大な採掘場
上海市松江区にある、上海で一番高い山・?山。
この山の周辺は、リゾート地区として整備され、遊園地「ハッピーバレー(歓楽谷)」や5ツ星ホテルもあり、
1日中遊びつくす事ができる。
中でも上海辰山植物園は、今年1月に全面的に完成し、市民の憩いの場所となっている。
同植物園は、その名の通り、辰山と呼ばれる天然の山を中心に作られた巨大な植物園。
1980年代までは、採石場だったため、整備時にその独特の地形を生かし、
山あり谷ありの起伏に富んだ景色を作り上げている。
アジア最大級の温室
珍しい食虫植物も
植物園の一番の見所は、何と言っても、2号門傍にあるアジア最大級の温室。
大きな芋虫のようなその形状はともかく、ガラス張りの温室は圧倒的な存在感を有する。
温室内は、ちょっと動くと汗をかきそうになるくらいの温度に保たれ、特に熱帯植物を展示するエリアでは、
湿度がかなり高めとなっているので、遊覧には脱ぎやすい服がオススメだ。
温室は、3つのエリアに分かれ、世界中の気候帯に生息する植物を展示する。
中でも珍奇植物館と名付けられたエリアでは、普段はなかなかお目にかかれない食虫植物が出迎えてくれる。
ひょうたんや壺のような形をしたウツボカズラや、ハエトリグサ、サラセニアなど、
テレビなどでは見たことがある、独特の形状をしたユニーク植物の数々に、
子どもは特に興味津々となること間違いないだろう。
食虫植物以外では、「熱帯の花と果実館」に、芳しい香りを漂わせるハイビスカスなど、
100種類以上の色鮮やかな草花が広がり、宮崎駿監督の映画『天空の城ラピュタ』の、
ラピュタ城を彷彿とさせるガジュマルの木が鬱蒼と茂っている場所も。
ラピュタ城に迷い込んだシータとパズー気分で、開放感溢れる空間を楽しみたい。
遊覧車でスイスイ
ダイナミックな風景
屋外スペースは、とにかく広いので、ずっと歩きまわると足が棒のようになること必至。
ただ園内には遊覧車が運行されており、温室はモチロン、
主要な鑑賞エリアの停留所で2回乗車可能なので、上手に利用したい。
価格は10元。
主要な鑑賞エリアのうち外せないのが、辰山の採石場跡地を利用して作られた、「礦坑花園」。
地下の採石地は池となっており、人工の滝が池に注ぎこむ形となっている。
池の上からそのダイナミックな様子を望むと、誰もが感嘆の声を上げる。
坑道の中は少しひんやりと薄暗く、むき出しの岩に、思わず採掘の真似事をしてみたくなることだろう。
同スポットは人気なので、坑道の入口前には長蛇の列ができ、
休みの日には1時間待ちとなることもあるが、一見の価値ありだ。
標高70㍍を登山
上海郊外を一望
礦坑花園のある辰山には、登ることも可能。
とはいえ、標高70㍍ほどの山なので、重装備は必要ない。雑木林を抜けて頂上に達すると、
園内はモチロン、?山のリゾートエリアを一望できる。
ちょっとした登山気分を味わいたい人は是非。
古い採掘施設を上手くリノベーションした植物園を、思う存分楽しもう!
辰山植物園
住所:辰花路3888号
電話:3779-2288(x800)
営業:8時~17時半(温室は8時半~17時まで。11月1日~2月28日は、閉館時間が30分早まる)
入場料:60元
アクセス: 9号線「洞涇」駅から、松江19路バスで約30分、「辰山植物園(1号門)」下車
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元々は工業集積地
汽笛の音に往時を偲ぶ
昨年5月に一般開放された、徐匯濱江公園。
万博公園の川を挟んだ向かいに、3・6㌔に渡って広がる水辺の公園だ。
爽やかな風が吹く中ジョギングする外国人や、犬を連れてのんびり散歩する人など、
それぞれが自分なりの方法でリラックスしている。
この公園は、元々は有名な工業集積地で、石炭や砂利などを運ぶ船の寄港地として活躍していた。
欄干前には船の停泊時にロープを括りつけるビット(係船柱)が並び、また眼前の黄浦江では、
今なお石炭などを運ぶ大小様々な船が往来し、汽笛の音とともに往時を偲ばせるのだった。
機関車がひっそり佇む
岩登りなどのスポーツも
公園の東端には、緑色の車両を牽引する機関車がひっそりと佇んでいる。
かつては上海南駅とも言われた、貨物駅の「南浦駅」があったことを記念し、展示されているのだ。
車内に入ることは出来ないが、線路の一部は現役時代そのままに残されている。
普段は歩けない線路の上を、映画『スタンド・バイ・ミー』の少年たちのように歩けるのも、
この公園の醍醐味と言える。
他にも、無料で利用可能なバスケットコートやボルダリング設備などもあるので、
軽くスポーツを楽しみたい人にも丁度良い。
周辺には食事処やコンビニなどは無いので、のんびりしたい場合はお弁当や飲み物を持参必須。
ピクニック気分で、一日まったり過ごしてはいかがだろう。
徐匯濱江公園
住所:龍騰大道×東安路
電話:なし
営業:6時~23時
入場料:無料
アクセス: 7号線「船廠路」駅6番出口より、東安路を南へ徒歩約15分
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バーベキューに舌鼓
2人乗り自転車で滑走
昨年10月に第1期工事を終え、一般開放された、宝山区にある大型自然公園「顧村公園」。
バーベキュー施設もあり、緑の自然の中で、大勢の仲間や家族と一緒に、肉を楽しめる。
ただ網や食材の持ち込みは禁止となっているため、全てその場で購入しなければならない。
網セットは90元~、木炭は1袋18元。
食材は、シシケバブ(小)4本8元、じゃがいも1皿3元など。
同公園の楽しみ方は、何と言ってもサイクリング。
日頃なかなか乗る機会のない、2人乗りや4人乗りの自転車を借りて、サイクリングロードを滑走したい。
2人乗りには縦に並ぶタイプと横に並ぶタイプがあるので、
カップルや夫婦なら、2人の力関係に合わせて、タイプを選んではいかがだろう?
2人乗りは1時間30元、4人乗りは1時間60元で、ともにデポジット200元が必要となる。
子ども用小型遊園地
アトラクションも充実
園内を流れる天然の川や水生植物など、豊かな自然が売りの公園だが、
公園内には子ども用の娯楽施設も充実。
メリーゴーランドやバンプカー、バイキングといった、遊園地定番のアトラクションがあるので、
家族で林間学校的体験をした後は、小型遊園地で思い出作りに励もう。
顧村公園
住所:滬太路4788号
電話:5604-5199
営業:6時~16時半
入場料:20元
アクセス: 7号線「顧村公園」駅よりすぐ
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~上海ジャピオン4月22日号