ご当地鍋が旨い!

 郷愁を誘う「ご当地鍋」


「もういくつ寝るとお正月」—正月が近づくと、ふと思い出す故郷の風景。そこでこの冬は、各地に伝わるご当地鍋で心の底から温まるのはどうだろう。そのとちならではの特色ある味わいは、理屈ぬきで「旨い」ものだ。

クエ鍋【和歌山県】

幻の巨大魚を豪快に 食感はふっくら

和歌山県の郷土料理であるクエ鍋。白身魚のクエは、大きいもので全長1㍍を越える。「幻」と言われる所以は、その生息数ではなく、岩場などに潜むため、なかなか釣れないからだと言われている。
「まさか中国で手に入るとは思いませんでした。「またクエ鍋が食べられる!〟と興奮しましたよ」と語るのは、クエ鍋を扱う「プレジデント味蔵」の片山氏。自身でも体長1・43mの巨大クエを釣り上げたことがあるほど、筋金入りのクエ好きだ。
大きくブツ切りにされた身は、箸からでもその引き締まった弾力が伝わる。期待を込めて頂く最初のひと口目は、想像以上にふっくらとした歯応え。ほろりと崩れるその食感に意表を付かれるだろう。濃い目の出汁は、締めの雑炊が待ちきれないほどの格別な味わい。ここに、柚子胡椒をほんの少し加えるのが、片山さんお気に入りの食べ方だ。
 日本ではそれこそ幻のクエ鍋。今のうちに味わいたい。

クエの身から出た絶品の脂がスープの上に浮かぶ。
口を大きく空けてひと口で頂くのが、ふっくら感を最大限に楽しむ秘訣だ。
一人前150元。(写真は2人前)


片山氏が釣り上げたクエの見事な魚拓が、クエムードを盛り上げる

【プレジデント・味蔵】
TEL  5466-1817
住所 長楽路191号(×茂名南路)
営業 月~土:17時~翌2時
 250席

 ご当地鍋街道を、いざ北上!

もつ鍋【福岡県】

もつに勝る弾力感ナシ 口の中でプリプリと弾む

弾けんばかりの抜群のぷりっぷり感と、脂の乗りがたまらない「もつ鍋」。福岡県民が愛する郷土鍋だ。鍋とは言え、基本の具材は、もつとキャベツとニラの3種と、至ってシンプル。だからこそ、キャベツの甘みが最高の出汁となって鍋全体の旨みがグッと増す。ところで、伝統的なもつ鍋のスープと言えば、しょう油か味噌がオーソドックスなのだが、「もつ匠」のもつ鍋はそのどちらでもない。澄み切った鶏ガラスープを基調に、頂く際に「秘伝のタレ」を垂らすのだ。しょう油とお酢などを調合して作るそのタレの味わいは、或いはご当地鍋からは若干逸脱するかもしれないが、これもまたオツな味わいだ。
 具材がシンプルな分、特に力を入れているのが「もつ鍋」とは切っても切れない「ゆず胡椒」。本場、九州から取り寄せた手作りの逸品を使用する。
 食後は、プチプチのゴマをたっぷりとまぶした「ゴマそば」で締め。旨みも甘みも詰め込んだスープを、最後の最後まで味わい尽くそう。

キャベツやニラがお代わり自由なのも福岡スタイル。
スープのとろみ付けに入った餃子の皮も、つるりと喉をすべる感覚がたまらない名脇役だ。
一人前65元。(写真は一人前)

ガス台は卓上に備え付けなので、座っていても楽に手が伸ばせるのは専門店ならでは

【もつ匠 上海本店】
TEL  6270-5761
住所 虹橋路1665号洛城広場1階
営業(月~土):17時半~翌2時(ラストオーダー1時)(日):17時~24時(ラストオーダー23時)
 54席

きりたんぽ鍋【秋田県】

つぶし過ぎもダメ つぶさな過ぎもダメ

熱々のご飯をすり鉢で軽くつぶし、杉の棒に巻き付けて炙る「たんぽ」。それを切るから「きりたんぽ」。ご飯の粘り気と、香ばしい焼き具合が食欲をそそる、米どころ秋田県ならではの郷土料理だ。
 「きりたんぽ鍋」は、そんなきりたんぽがメインの鍋料理。…と思いきや、実はセリとゴボウも外せない重要な食材となる。いや、もっと言えば、セリとゴボウなくしてきりたんぽ鍋は成り立たないと言ってもいいだろう。
そんなセリを上海で見つけ、「きりたんぽ鍋が出来る!」と奮起したのが、「照之谷」の店主佐々木氏だ。半ば使命感にも似た衝動に駆られ、すぐさま「たんぽ」作りを開始した。
 「つぶし過ぎもダメ、つぶさな過ぎもダメ」。自身が秋田県出身なだけに、どうしても妥協ができない。同店のたんぽはすべて、佐々木氏自らが手作りしている。
 きりたんぽ鍋の食べ方は、まず野菜や鶏をじっくり味わう。そして、中盤でたんぽを投入するのが秋田流だ。もちもちさと粒々感、そして香ばしさ。これは癖になりそうだ。


たんぽ作りのために、米の見極めには何日も費やしたという。
出汁は、どこまでも透き通ったしょう油ベースの鶏ガラスープ。
一人前88元(写真は一人前)

ちゃんこ鍋の専門店らしく、店内には相撲のモチーフが至るところに飾られている

【照之谷】
TEL  134-0218-0070(佐々木)TEL: 6401-0138
住所 虹梅路3717弄16号(×延安西路)
営業11時半~14時/17時半~24時
 65席

石狩鍋【北海道】

うまみ溶け込んだスープ タラバ蟹の変わり石狩鍋

北海道の石狩川を産卵のために遡って来る鮭を使い、味噌仕立ての鍋を作ったことからその名のついた「石狩鍋」。味噌味のスープに秋に獲れた新鮮な鮭「アキアジ」を入れて食べることから「アキアジ鍋」とも呼ばれる。
「ゆずとたっぷりのあさつきで食べると格別なんです」そう話す宇津木総料理長が手がける石狩鍋は、手元にある新鮮な魚介類をふんだんに味わえるようにと、鮭のほかにタラバ蟹やホタテなどがあしらわれたアレンジ版。
そのこだわりはスープにも盛り込んでいるという総料理長。スープは通常の石狩鍋より味噌の割合を少なくすることで、具材を煮込んだ時に素材を引き立てる立役者となる。
 そして肝心の具材。鍋から取り出した鮭は、煮込まれてもなお弾力あるその身を誇るかのように箸の上でぶるぶると震える。具をすべて食べきったあとのスープはもちろんぞうすいで。半熟たまごでふわりと閉じられたぞうすいを口のなかではふはふとほうばる瞬間は至福のときだ。


魚介類と野菜のうまみが溶け込んだスープは、その味を気に入って飲み干してしまうお客もいるとか。
ぞうすいを楽しむにはスープを残しておくことをお忘れなく。
一人前110元。(写真は2人前)

店内にはアイヌ民族の絵や同店のロゴマークなどがあり、神秘的な雰囲気が漂う

【アイヌランド】(Ainuland)
TEL  6467-6400
住所 永嘉路698号1階(×安亭路)
営業  11時半~14時(土日のみ)、17時半~22時半(毎日)
 70席

お取り寄せで手軽に鍋を

家族や気の合う仲間と自宅でゆっくり鍋を楽しみたい。そんなときには、手軽で便利な宅配鍋セット。具材はもちろん、割下までセットになっているので、届いたらそのまま鍋に入れて火にかけるだけなのが嬉しい。鍋だけは、予め用意しておくことをお忘れなく!

鍋セット各種

割下までセット。使用する野菜は、有機栽培のものにこだわっているので安心。
写真はすきやきセット。88元/2~3人前(出前館)

※ほかに、寄せ鍋・キムチ鍋・しゃぶしゃぶなどがある。

カセットコンロ

やや値が張るが、あったら嬉しいアイテム。
テーブルの上でグツグツしている鍋は見ているだけでも温まるものだ。 198元(出前館)



サイズや深さは多種多様。
きっと気に入るものが見つかるはず!値段も手ごろなものが揃う 23.9元(パークソン九海店)

【出前館】
※宅配受付時間:9時~20時半

浦西エリア
TEL: 6209-0071/5118-6813
FAX: 3223-0365
古北 虹橋 中山公園 ガーデンプラザ 淮海西路 徐家匯 漕河涇開発区

浦東エリア
TEL: 5887-0889
FAX: 5840-8661
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~上海ジャピオン12月28日/1月4日発行号より

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