中国各地から集合! 拌麺(汁なし麺)対決

味の決め手は濃厚味噌

湯麺(汁あり麺)を含む中国十大麺料理「中国十大麺条」に数えられる、北京市の「炸醤麺」。

日本では砂糖などを加えた甘辛いタレが一般的だが、本場・北京では、塩辛い肉味噌「炸醬」を乗せていただく場合が多い。炸醬は、豚のひき肉や豚肉を細かく刻んだものをネギ、ショウガなどと油で炒めてから、大豆で作った味噌や甜面醤とともに炒めて仕上げる。次に枝豆や白菜、セロリ、豆モヤシを茹でたものと、キュウリと紅芯ダイコンの千切りなどの具を麺の上に並べ、その上に炸醬を掛ける。そしてコシのあるうどんのような太さの麺に、これらすべての具と炸醬を混ぜていただく。麺は茹であげを提供する「過水麺」、または水で一度締めた「涼麺」のいずれかから選べる店もある。

上海のザ・庶民的料理 麺をすすれない!? 一品

油で焦がした青ネギと、醤油、砂糖、料理酒などで作ったタレを中華麺に掛けていただく、上海でポピュラーな汁なし麺「葱油拌麺」。豚肉やエビ、細切りのキュウリなどお好みの具材をトッピングすることも多い。

クセのあるネギの香りが胃を刺激し、食欲は倍増。麺と焦がしネギ油をかき混ぜてからいただくのだが、汁っ気が全くといっていいほどないため、麺をすするのにひと苦労する。ズ、ズズゥと麺を口に運べば、オーソドックスでシンプルな味付けの〝ザ・庶民的料理〟の虜になること間違いなし。

同じく上海の家庭的料理であるトンカツ「炸排」とセットにして食べることも多く、どちらもリーズナブルであるため、2025元程度でお腹いっぱいになること請け合いだ。

日本でも最近話題の麺 超難読漢字のあの料理

古都・西安があり、世界遺産・兵馬俑でも知られる陜西省。料理そのものよりも、その料理名がよく話題となるビャンビャン麺は、ここで誕生した。日本でも最近、大手コンビニがこの料理の販売を始めたことから、名前を聞いたことが1度はあるはず。

この料理の最大の特徴は漢字の難しさではなく、麺の太さだ。日本にも最大で幅15㌢にも上るものがあるという、平たいうどん「ひもかわ」があるが、ビャンビャン麺はこれに劣らぬ幅広で、且つ太さもある。これに肉味噌と野菜をトッピングし、かき混ぜていただくのが定番。ほか肉類や、トマトと玉子炒めを入れたり、汁あり麺として提供したりするものもある。

なお「臊子麺(サオズ麺)」や「油溌麺(ヨウポー麺)」など、汁あり・汁なし麺ともに、陜西省は麺料理の宝庫だ。

西北のモチモチ手延べ麺 食べる直前に具材をイン

ウイグル族の人々が多く暮らす新彊ウイグル自治区。ここには別名「拉条子(ラーティアオズ)」ともいう麺料理「新彊拌麺(日本語でラグマン)」が有名だ。小麦の味がしっかりと感じられるゆで麺に、トマトペーストの汁で炒めた具材を食べる直前に乗せていただく。具材にはトマトのほか牛肉やタマネギ、キクラゲ、シイタケなどが入り、トマトの酸味と羊肉やシイタケの旨味が、アツアツの麺と絡まり合う。

「拉条子」という別名通り〝(麺)条を延ばして〟作る手延べ麺は店舗によって平打ち系だったり細ストレート麺だったりと様々。この麺は元々、隣接する甘粛省発祥だったといわれていることもあり、上海市内では蘭州ラーメン店でもよくこの料理を提供している。

中国中部発のこってり麺 現地人は朝食として食す

新型コロナウイルス感染症の流行で注目を浴びた、中国中部に位置する湖北省武漢市。この都市で〝市民食〟として食されるのが「熱干麺」だ。

熱干麺は、北京の炸醤麺と並び「中国十大麺条」に数えられる料理。使用する中華麺には、かん水というアルカリ性塩水が含まれており、この水が小麦粉と混ざり合うことでモチモチ食感や独特な風味が生まれる。タレにはゴマダレ、香油、紅油、食用油、生醤油をベースに、ニンニク、ササゲの漬物「酸豆角」などの具材を掛けていただく。ゴマダレ+油で麺をすすることは難しく、箸で麺を口に運ぶと、中太ストレート麺のもっちりとした食感と、こってりとした濃厚ダレで、口の中がものすごく重たく感じる。昼や夜に食べるのならまだしも、現地の人々はこれを朝ごはんとして食べるというから驚きだ。

日本でも人気のピリ辛麺 本場は汁なし麺として提供

日本でも中華料理の代表格として食される、激辛料理の宝庫・四川省発祥の麺「担担麺」。日本では汁のあるものが一般的だが、本場の四川では汁が全くないもの、少ないもの、汁ありのものと3種類あり、上海で見掛ける担担麺は全くなしか、少なめのものが多い。

極細ストレート麺に、ラー油・ゴマ味噌・豚肉のそぼろなどを混ぜた具材をトッピングしたら、担担麺のできあがり。たっぷりのラー油には、しびれるような辛さが特徴の香辛料・花椒が入っており、一口食べれば口中がピリピリする。しかし多くの店舗では、日本人でも食べられるくらいの辛さのため、ご安心を。トッピングのピーナッツが、辛さを和らげつつ芳ばしい香りを口いっぱいに広げてくれる。

海鮮入り湯麺がポピュラー 河南省タイプは蒸し麺

見た目は日本の焼きそばに似た「滷麺」。福建省の名物軽食として知られるが、特にアモイは海に面し、カキをはじめとする貝類、エビなど海鮮が多く獲れることから、海鮮入り湯麺(汁あり麺)として食されることが多い。またひとえに滷麺といっても、同省内各地で味付けが様々。「漳州滷麺」は細切り肉、蛋絲(中華錦糸玉子)、アヒルの玉子、イカ、干し貝柱などの具材を投入し、滷料と呼ばれる複合調味料で味付けしたもの。「莆田滷麺」は醤油や八角などで甘辛く煮込んだ滷肉、海鮮を入れたものを指す。

ところ変わって中国中部に位置する河南省では「河南滷麺」が有名で、こちらは汁なし麺タイプが多い。滷肉が入るのは福建省のものと同じだが、河南滷麺の麺は蒸したものを使うのが特徴だ。

中国香港で有名な屋台食 元々は具なしの質素な麺

中国四大料理に数えられ、日本人の口にも合う広東料理には、料理の種類は多いが、麺料理が意外と少ない。そんな広東では、隣の中国香港でよく提供される「車仔麺」が食べられることが多い。車仔麺は、香港人の生活水準がまだまだ高くなかった1950年代に路面店舗で生まれ、安く販売され始めた。その後中国香港と大陸側の往来が頻繁になるにつれ、広東にも流れ込んだという。

ゆでた中太面に、塩辛いXO醤ベースのタレを絡めるだけという非常に質素な麺だが、これにお好みで牛腩(牛バラ肉の煮込み)や豚皮、ダイコンなどの具材を入れていただく。なお、汁ありや炒めたタイプの車仔麺もよく見掛け、上海では茶餐庁(香港系カフェレストラン)で食べることができる。

~上海ジャピオン2021年1月15日発行号

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