目的地&便数多し
総合鉄道ターミナル「上海南駅」に隣接する、大型バスターミナル
「上海長途汽車客運南站(上海長距離南バスターミナル)」。
2005年にオープンした同バスターミナルは、
以前徐家匯にあったものをそのまま移転したもの。
以前とは比べ物にならないほど近代的になった。
その甲斐あってか、
昨年の春節運行期間(40日間)には延べ約86万人が利用するなど、
上海南部の玄関口となっている。
市内からのアクセスには軌道交通1、3号線が便利。
「上海南駅」駅で下車し、
駅内の案内板に沿って駅とバスターミナルを結ぶ地下通路を通り抜ければ、
わずか数分で到着する。
同バスターミナルは地下1階、地上4階建ての構造。
建物内には1600人の乗客が待つことができる巨大待合室や、
レストラン、コンビニなどが設置されているため、
出発までの時間を有意義に過ごすことができる。
このバスターミナルからは1日約800便のバスが、
北は山西省、南は海南島、西は四川省など、
15の省の各地区に運行されている。
時刻表はターミナル内でも入手できるが、
常に置いてあるわけではないので
同社ウェブサイト(www.ctnz.net)上の
「時刻表」でチェックするのがベターだ。
チケット買うなら窓口へ
行き先が決まったら、早速出発といこう。
チケットは、電話(5435・3535、6時~23時)で予約し、
配達してもらうことも可能。
その際の配達費用は10元~で、エリアや購入枚数によって異なる。
でも中国語でチケット予約となると、気が引ける人も多いはず。
そんな人は、直接窓口で購入することとなる。
大型連休を除いて、大抵の場合目的のチケットをその場でゲットできるはずだ。
窓口でチケットを買うなら、まずはターミナルの入り口付近にある
大きな電光掲示板を確認しよう。
この電光掲示板では、当日発車するバスの発車時刻、
目的地、空席情報、値段などが表示されている。
行き先の便名などを確認したら、入り口から入って右手にある
乗車券購入窓口でチケットを購入しよう。
購入方法は、係員に目的地を告げるだけでOKだ。
チケットを入手したら待合室へ。
とその前に、乗車券のチェックとX線による
荷物のチェックがあるのでお忘れなく。
出発時刻が迫ると、出発ゲートに設置されている動改札機が開くので、
この機械に乗車券をかざして乗り場へ急ごう。
子どもは半額or無料
乗車規則によると、高速バスでは身長によって子ども運賃が決められている。
身長が120㌢以上140㌢未満の場合、
大人運賃の半額、120㌢未満なら無料となる。
半額運賃を支払った場合は、座席は確保され、
運賃を支払っていない場合の座席は確保されない。
混んできたら子どもを膝に乗せる決まりだ。
1人でもよし、家族とでもよし、下記に紹介する観光地へぶらり出かけよう。
2500年前に作られた古い街並みが残る「千灯鎮」。
「昆劇」の創始者にして、「演劇の祖」と称される願堅(がんけん)の
故郷として有名で、彼の記念館には古い舞台が残されている。
運がよければ、その昆劇を生で見ることもできる。
同鎮に着いてすぐに目につくのは、
空を貫かんばりに高くそびえる仏塔「秦峰塔」だ。
これは千灯鎮のシンボル的存在の塔で、高さは38・7㍍。
修復は繰り返されているものの、もともとは503年に建てられたものだ。
今も宋代の風貌をそのままに留め、千灯鎮民の生活を静かに見守っている。
このほか、千灯鎮内の石板街には、宋代から続く、
現存最古で最長の1000㍍に及ぶ石畳の道があるほか、
ミャンマー産の白玉で作られた世界最大級の涅槃像もあり、見所が絶えない。
一度に様々な文化を堪能しに、遊びに行こう。
上海からバスに揺られること1・5時間。
大自然を満喫することができる、
常熟市の国家都市湿地公園「尚湖風景区」にたどり着く。
常熟市はもともと、気候が温暖で、自然豊かな土地として知られており、
園内には、国家保護対象に指定されている動植物も数多く生息している。
そして同公園の中心に位置する湖「尚湖」は、
太公望で有名な姜尚(きょうしょう)が、
この湖で釣り針を垂れたという言い伝えから、名付けられた。
実際に釣りもできるので、釣りの名人・太公望気分でのんびり楽しみたい。
またこの湖では、毎年春と秋に、龍をモチーフにした船に乗って
速さを競う「ドラゴンボートレース」が行われ、盛り上がりをみせる。
また、水上遊園地やプール、ゴルフ場などの娯楽施設も充実しているので、
家族で行っても楽しめること請け合いだ。
沙溪鎮は知る人ぞ知る江南古鎮の1つで、
長江の南岸、江蘇省太倉市の中心にある。
同鎮は宋、元の時代には町ができ、明、
清の時代には富豪の邸宅が建ち並ぶ商業都市として繁栄していたが、
今はそういった華やかな面影はない。
しかし、今なお長い石畳が四方に広がり、
その両側には、漆喰の白壁に青みがかった黒瓦という、
典型的な江南の木造民家が並び、往時を偲ばせる。
かつては、官僚たる「進士」や文人を数多く輩出したこともあり、
民家の窓や、屋根の上には細かい彫刻が施され、
文化的雰囲気を各所から醸し出している。
歴史小説『三国志』に登場する劉備や関羽、
張飛などをモチーフにしたものなど、
テーマのある彫刻も多いので、
民家を眺めているだけで様々な物語と出会うことができるだろう。
明清時代の文化人になった気分で、路地を闊歩しよう。
嘉興市で一番の観光名所といえばこの「南湖」。
杭州の西湖と紹興の東湖と並び、
浙江省三大湖の1つと数えられる、風光明媚な湖だ。
湖に霞がかかることで現れる幻想的な風景は、
宋代の詩人である蘇軾(そしょく)を始め、
多くの文人を魅了し、清代の皇帝・乾隆帝をも虜にした。
乾隆帝は生涯に6度行った江南巡りの際に、
毎回訪れるほどの気に入りようだったのだ。
また、湖の中心に作られた湖心島も見所。
島内には樹齢460年を超える
2本のイチョウの木を含む、
多くの古樹が残されるなど自然豊かで、
その樹間を巡るように回廊が創り上げられている。
島全体が、江南の庭園を体現しているといえるだろう。
遊覧船にゆったり気分で乗船し、皇帝も味わった、
その美しく風情あふれる南湖を逍遥したい。
中国茶好きなら、是非訪れたい街・宜興。
上海からは、蘇州、無錫を抜け、
雄大で広々とした太湖を眺めながら、
さらに西に進んだ先にある。
宜興は、この地でしかとれないという土「紫砂」を作って
作る焼き物が有名だ。
特に、1200度の高温で約72時間焼くことで
誕生する「紫砂壷」と呼ばれる急須は、
中国のみならず、日本でもその名を知られる。
保温性に優れ、使えば使うほど艶も増し、お茶の味をまろやかにする。
その〝魔法〟の急須を収蔵した陶瓷博物館は、
宜興で外せない観光スポットだ。
オーソドックスなものから、カエルやカニなどの動物がくっついたものなど、
ありとあらゆる「紫砂壷」がコレクションされている。
同博物館のある丁蜀鎮には工房も点在しており、一部では、
見学や、急須などを作成ができる。
オンリーワンの急須が宜興で待っている!
竹の名産地、安吉。
その竹は中国の国宝・パンダもこよなく愛し、
四川省の「成都大熊猫繁育基地」から貸し出されたパンダたちも、
安吉で竹を優雅に食べつつ生活をエンジョイしている。
そのパンダに会えるのは、「安吉竹博園」。
ここは中国最大級の竹のテーマパークで、
パンダが飼育されているほか、
300種類以上の竹が植えられている。
園内では、BBQや釣りなどもでき、
子どもと一緒に楽しむのに最適。
また、大きなタケノコを一心不乱に食べるパンダの
様子を観察できるのも、竹の産地ならではといえる。
また安吉東南部の天荒坪鎮に広がる、
浙江省最大の「安吉蔵龍百瀑」の滝も見もの。
ここのエリア一帯には100を超える滝があり、
一歩進むごとに異なる景観を楽しめる。
中でも、落差60㍍の滝「長龍飛瀧」は圧巻だ。
自然を満喫できる安吉へ、家族と一緒に出かけたい。
バスは近郊だけでなく、ビールでおなじみの青島にも通じている。
飛行機でひとっ飛びもいいが、バスなら激安(?)204元!
所要時間は10時間だが…。
青島で外せない観光スポットは、やはり青島ビールの工場。
ビールができるまでの工程を見学できるほか、
できたてのビールも味わえ、ビール好きにはたまらない。
また施設内には「酔っ払い部屋」があり、
しらふで酔っ払った時の感覚を体感できる。
さらに、ビール工場近辺にあるレストランでは、
海鮮料理をつつきながら、瓶詰する前の生ビールを楽しめる。
新鮮な海鮮を、これまた新鮮なビールでお腹の中にたらふく流し込みたい。
ほかにも青島には、青島の街を一望できる絶景スポット
「信号山」(入場料15元)など見どころいっぱい。
ゆっくり時間をとって遊びに行こう。
時間がありすぎてしょうがないという人は、
〝中国のハワイ〟と呼ばれる海南島へ足を伸ばそう。
長距離バスで30時間という、長い長い道のりだが、
話のネタ作りには十分だろう。
南の島に期待するのは、海水浴やマリンスポーツ。
海南島の海口でも楽しめ、中でも海口市濱海西路にある
「假日海灘旅遊区(ホリデービーチ)」がオススメ。
白い砂と青い海のコントラストが眩しいビーチには、
ビーチバレーコートやキャンプ場、マリンスポーツクラブなど、
様々なレジャー施設を完備。
週末は大勢の人で賑わっている。
また南国を実感したいなら、市内から南へ車で約45分の
秀英区にある「海南熱帯野生動植物園」へ。
ここはアジア最大級のジャングル動植物園で、
中には約4000匹の動物がいる。
開園時間は7時~18時。95元。
~上海ジャピオン6月10日号