小吃ストリートとして名を馳せる「呉江路」。
南京西路の一本南に位置するこのグルメ街は、2年掛かりの改装工事を経て、6月にリニューアル。
そこにはどんなB級グルメが待っているのだろう?
呉江路が今こんなことに!
2000年にオープンした呉江路は、東西約200㍍に渡ってローカルな店が肩を並べるB級グルメ街。2006年から改装が始まり、今年6月24日に晴れてリニューアルオープンを果たした。
今では、石門一路を境に、東側は従来通りのグルメ街、そして西側はスターバックスやベーカリー85度Cなどのカフェをはじめ、様々なブランドショップが立ち並ぶ若者ストリートへと変貌を遂げた。グルメ街も、これまでは狭い路上に屋台がひしめき合い、歩くのもままならなかったほど混雑していたが、リニューアル後は屋台を廃止して店舗のみでの営業となっているので、通行や衛生面が格段に改善されている。
現在、そんなグルメ街には、ざっと数えただけでもおよそ53の店舗がひしめいている。相変わらず行列の耐えない超有名店「小楊生餅」はもとより、他にはどんな小吃があるのだろう?
今回は、ジャピオン始まって以来の体当たり取材を慣行! 何が飛び出すかわからないB級グルメの世界に足を踏み入れ、各店のオススメや人気メニューを片っ端から試して来た。
そんなジャピオン編集部からお届けする、呉江路の徹底グルメガイドはこれだ!
地下鉄2号線の3番出口を出て右へ行くと、石門一路を挟んだ向こう側に、「小吃街」と書かれたささやかな横断幕が見えてくる。ここが今回の舞台だ。 1店舗目は、「紅宝石」。一見ローカル感漂っているが、実はイギリスが合資しているケーキショップ。名物は、ふわふわのショートケーキ「小鮮 /5・8元」。ミルクをそのままクリームにしたような素朴で軽い味わいが人気の秘密だ。店内には3人分のカウンター席があるので、座ってゆっくり食べることができる。また、とろけるようなりんごジャムが入ったアップルパイ「萍果達/3・5元」もなかなかのもの。
そのお隣、「福玉?」はフレッシュジュースの店。隣の果物屋と連動しているのが特徴。ただし、100%ジュースでもなぜか水っぽいのが玉にキズ。もう少しのってりと濃いジュースだと株も上がるのだけど…。
さぁ、次ページもまだまだ食べ歩きは続く!
西側から一気に攻める
「福玉?」の左側にある「盛記一品鍋貼」
は焼き餃子で勝負。特に毎日18時~20時の2時間限定で登場する「蝦肉鍋貼」はぜひ1度試したい。ただ、なぜか異様に歯にくっつくので食べにくいのが残念だ。お次は串焼き屋「土耳其焼?」。看板メニューは「美??翅/10元」で、手羽元が7つも串刺しに。肉汁がジューシーで万人受けしそうな味だ。
そして次に見えてくるのが、「重慶鶏公●」。ここの名物は「鶏公●」という、重慶風の火鍋。鍋には最初スープは入っておらず、たっぷりの野菜やガーリックとともに炒められた鶏肉がぎっしり。ミソ味にも似た濃い味付けの鶏肉が食欲をそそる。スープは始めに入れても良し、鶏肉を食べてからでも良し。後は一般的な火鍋同様、具材を自由にチョイスしよう。1人サイズから揃っているのも見逃せない。(●:“保”の下に“火”)
さて、続いては唐辛子入りの油で煮るように調理した「水煮魚」が自慢の「阿興飯店」。そして、隣にある「留香苑面館」では、一風変わったラーメン「辣肉面/7元」が楽しめる。通ならここに高菜のような漬物「雪菜(1元)」をトッピング。甘辛の豚肉とあっさりスープ、そして超が付くほどのローカルな雰囲気が醍醐味だ。
どんどん行こう。お次は「焼?王」。ここは前述の「土耳其焼?」と同じく串焼きの店。クミンをたっぷり振ったタコの串焼き「?八爪魚/10元」が看板メニュー。黒いブツブツ模様の表面がなんともグロテスクだが、味はなかなかのもの。
「興泰小吃」では、水煮魚に良く似た「沸騰黒魚/42元」が人気。「佳佳匯聚楼」には、激辛好きが喜びそうな「農家小粒鶏/25元」がある。インゲンに混じった青唐辛子をうっかりかじると、身悶えするほどの辛さに襲われるので要・注・意。
(左写真:「焼?王」のタコの串焼き)
さて、今度は通りの北側を攻めていこう。1店舗目は真っ赤な看板と芸能人のポートレートで目立ちまくりの「仔仔?魚」。目玉は今が旬の牡蠣のガーリック焼き「?湛江生●(●:虫編に毛)/10元」。このほか、来店客のほとんどが注文する「武漢熱干面/5元」も興味があればぜひ。熱々な上にたっぷりのピーナツバターで、他に類を見ないほどのこってりぶりだ。
打って変わって、青い看板が目印の「阿珠」。ここでは、ドジョウを煮込んだ「酸菜?泥鰍/38元」を注文したい。しょっぱい中にピリリとした辛さが程よく、1皿で4人くらいはいけそうなボリュームも良い。広々とした2階の窓際に陣取れば、賑やかな呉江路を眼下に見下ろすこともできるベストビューポイントでもある。ラーメンが恋しくなったら「自家人?面餐館」へ。「黄魚面/10元」はあっさり目の白濁スープで、塩加減も丁度良い。ただ、信じられないほど熱いので火傷に気をつけよう。
(右写真:「阿珠」。店舗2階からの眺めが◎)
冷たいものが欲しくなったら「茶風暴」で決まり。砕いたオレオが入ったバニラ風味のシェイク「鮮?/6元」は、アイスのクッキークリームに似た味わいだ。
(左写真:「茶風暴」の「鮮?」)
さて、珍味に興味があるなら、鴨の舌などはいかがだろう? 「台湾鴨舌」の鴨の舌には、燻製・柔らか・ピリ辛などの味があり、6つで12元。味わいに癖はなく、ベーコンに良く似ている。
(右写真:「台湾鴨舌」の鴨の舌)
またまた串焼きの店「紅灯籠」を過ぎると、お次は台湾スイーツの専門店「甜中甜・蜜中蜜」。マンゴー好きにはたまらない「楊枝甘露/23元」は、ぜひ試して欲しいオススメのひと品。トロトロなのにさっぱりしていて、角切りマンゴーも入っている。
食べ歩きに向いているのは、「肉挟膜」の「肉挟膜/4元」。醤油味の豚の角煮を細かく刻み、香菜をちりばめたチャイナ味のハンバーグだ。
(左写真:「甜中甜・蜜中蜜」のデザート)
東側も見逃せない!
「港式美食専門店」は、市内に17店舗も展開する人気店で、ここ呉江路がその本店。デザート、軽食のほか、ご飯ものも充実している。「招牌紫米露/20元」は調度よい甘さの赤もち米スープ「紫米」に、ドラゴンフルーツ、スイカなど7種の果物がたっぷり楽しめる。苦手なものがあれば抜いてくれるのもうれしい心遣い。打って変わって、土鍋に入って出てくる各種「堡仔飯/24元~」もぜひ挑戦したい。
(左写真:「港式美食専門店」の「招牌紫米露」)
「西北郎焼?」は、呉江路と言えばここでしょ、と地元人から認識されているとか。注文したのは、一番売れているという「羊肉串/10元(6本)」。肉と脂身を交互に刺してあるのが特徴だ。鶏皮串も隠れた人気。そのお隣、「湯包」は、なんと早朝5時から営業! 様々な包子を販売している。看板メニューの「小籠湯包/5元(8個)」は、透けるほどの薄い皮にスープたっぷりであっさりめの日本人好みの味。続いての「阿毛川菜」では、洗面器かと見紛うほどの大きな鍋で出される「冷鍋魚/48元」が店長ご推薦の一品。
(左写真:「湯包」。湯包のほか、菜包なども人気。)
黄色に赤字の看板「正宗酸辣粉」では、好きな具をかごに入れて、会計してから調理してもらう上海の人気小吃「酸辣粉」(4元~)が楽しめる。ピリリとした辛さがなんとも食欲を掻き立てる。
そして大きな建物で一際目を引く「甜馨」は香港スタイルの軽食店。ちょっとしたファミレスのような気軽さが魅力で、落ち着いて食事したいならオススメ。
(右写真:「正宗酸辣粉」の「酸辣粉」)
さぁいよいよ呉江路南側の終点「香酥牛肉餅」。店名と同じ「牛肉餅/2元」は、熱々、サクサクのパイ生地にカレー風味の牛ひき肉の餡が香ばしい。手頃な値段と程よいボリュームで、食べ歩きにぴったりだ。
(左写真:「香酥牛肉餅」。竹を使った内装が印象的!)
清潔感のある店内が印象的は「鼎味台湾料理」は、牛乳と卵白を蒸した「双皮?/10元」がやさしい味わいで女性のおやつにぴったり。台湾料理のほか、四川・広東料理の定番メニューを取り揃えている。
(左写真:「鼎味台湾料理」の「双皮?」)
続く「台湾牛肉面」。一番人気の「台式牛腱面/24元」は、ラーメンというよりソフト面のような太面と、しっかりとした醤油スープがこだわり。そのお隣、「蛙辣哇?」はなんとカエル料理の専門店。イチオシは「秘制香辣干鍋/52元~」で、ジューシーでスパイシーな味わいは、ビールのつまみにはもってこいだ。
「太郎速食」に寄るならフレッシュフルーツのミックスジュース「混合鮮果果汁/9元」をぜひ。マンゴー、キウイなど、好きな組み合わせに挑戦しよう。
(右写真:「台湾牛肉面」の「台式牛腱面」)
小道を挟んで続く2軒の「小楊生煎」は観光客から地元の老若男女で行列が絶えない呉江路の名物店。焼きショウロンポーとも呼ばれる「生煎/4元(4個)」は、火傷に気をつけながらたっぷりのスープをすすりたい。
「湖南郷村風味」の特色メニューはカエル料理の「干鍋牛蛙/38元」。店内では湖南方言が飛び交うのも一興だ。続く「重慶周氏麻辣湯」は、上海ではお馴染みの「麻辣湯/6元~」が楽しめる。隣の「回家餃子楼」は2階で餃子のほか、面やスープ類などを提供している。
(左写真:「湖南郷村風味」。店内には毛沢東主席の像も!)
そして今回のグルメガイドの最後を飾るのは、「氷仔」。市内に加盟店が100カ所以上あるドリンクスタンドで、蒟蒻ゼリーが入った抹茶ミルク「蒟蒻抹茶露/8元」がオススメ。
(左写真:「氷仔」のドリンク)
歩いて通るだけだとあっという間の呉江路小吃街も、すべての店に入り食べるとなると、身体がいくつあっても足りないものだ。
あなたもこの秋、呉江路を食べ歩きに挑戦してみてはいかがだろう?
~上海ジャピオン9月26日発行号より