酒香る、年の暮れ①

日本を離れても変わることがないのは、
寒さを吹き飛ばす酒との付き合い。
そこで上海ならではの愉しみ方を、
玄人筋から教えてもらった。
年末に向け、いざ酒の予習を始めよう。

紹興酒 を千変万化させて愉しむ

 「紹興酒はカメから出したものが一番美味しい。ビン入りと違って防腐剤も入ってないしね」。日本でも定説の〝カメ出し紹興酒〟の美味しさを力説するのは、紹興料理専門レストラン「咸亨酒店」経理・紀河会さん。カメの中で酒の熟成も進むため、味わいもビン入りより濃厚になるそうだ。カメ出し酒が飲めるレストランへ行くのもいいが、咸亨酒店のような個人販売を利用すれば、自宅でもカメ出し酒の味を愉しめる。「市内でカメ出し酒が買える場所は少ないから、たくさんの客が容器を持ち寄って来る」と紀さん。防腐剤未添加でも、冬場で2カ月、夏場でも冷蔵庫に保存すれば同程度もつそうだ。
 さて、ザラメや氷砂糖を入れたりソーダ割りにしたりと、日本では多様な紹興酒の飲み方だが、中国では常温・ストレートが一般的。だが紀さんは「夏は冷蔵庫で冷やし、冬は熱燗にしても美味い。話梅(甘く乾燥した中国式の梅干)を入れて飲む人もいる」と言う。自分に合った飲み方を試したい。

△中国の醸造酒「黄酒」のうち、長期熟成させたものを「老酒」と呼ぶ。紹興酒は特に高い評価を受けている老酒で、浙江省の紹興で造られる。
主原料はもち米とこうじで、度数は14~19度程度。独特の強い香りがある。
商品名として使うには、特定の製造基準がある。


 だが、紹興酒を飲むのに重要なのは飲み方ではなく、どんな景色の中で飲むかだと紀さんは語る。「当然、紹興酒は紹興の景色の中で飲むのが一番。上海でならどこがいいかって? もちろんこの店だよ(笑)」。

お伴にこの一品!

上海蟹
抜群の相性で、あまりにも定番の組み合わせ。
体を冷やす蟹に、体を温める紹興酒、という医学的な根拠もある。

紀河会
「咸亨酒店」襄陽路店経理。
今でも、紹興酒の香り漂う酒売り場で、客が持ち寄った容器に自ら紹興酒を注ぐ。
もちろんレストランでもカメ出し紹興酒が飲める。
店の住所は襄陽北路1号。
問い合わせは5403-5478。

日本酒・焼酎 を上海で新発見する

 「日本のお酒を飲むのはまだまだ日本人」そう話すのは、日本酒・焼酎の輸入事情に詳しいヤマト国際物流有限公司の松田弘さん。特に日本酒は、焼酎のほぼ倍の関税がかかるうえ、常温では品質が劣化するため輸送・保存にもコストがかかり、中国市場には浸透しにくい。
 この保存の難しさが、上海で日本酒を選ぶ際のポイントになる。「正直上海では、全てのお酒の管理がしっかりしているとは言えず、本来の味が愉しめない日本酒も多いのでは」と松田さん。美味しい日本酒を飲むには、店の保存方法も確かめたいところだ。ちなみに賞味期限はビンに貼ってある中国語ラベルに記載されている。お酒の購入は、久光などの大手百貨店が便利だ。このほか上海では、貿易会社が主催する日本の酒のイベントが年に数回開かれている。蔵元が地酒を持ち寄るなど、見逃せない機会だ。

△上海における日本酒・焼酎の輸入事情は、2005年2月にJETRO上海が行った日本酒・焼酎の大規模な試飲販売会を契機に、徐々に上向いている。
同会をコーディネートしたヤマトグループは、現在市内で飲める日本酒を50~60銘柄、焼酎・泡盛を約50銘柄と見積もる。


 では、中国人の受けはどうだろう。「純米酒あたりを飲む女性ならいるようです。中には、大吟醸に氷を入れたり焼酎をスイカジュースで割ったりと、変わった飲み方をする人も。私も麦焼酎のスイカ割りを飲みましたが……意外と美味しい(笑)」(松田さん)。中華風の飲み方で、親しんだ酒に新しい味を発見するのも楽しいかも知れない。

お伴にこの一品!

蒸し鶏の冷菜
日本酒のお伴なら、酒の香りを楽しみながら食べられる料理が最適。
「酒は福島の地酒・良志久(らしく)がオススメ」と松田さん。

松田弘
ヤマト国際物流有限公司上海分公司の副総経理(生活関連部門担当)。
地酒も多く取り揃える古北「福島ギャラリー」を運営するなど、日本酒・焼酎の上海輸入ルート構築に深く関わる。
オフィスは仙霞路317号。
問い合わせは6295-1530。

白酒 に酔えば心が知れる

 「冷やさない、温めない、何も入れない」白酒の飲み方をそう説明する徐国富さんは、ビジネスの契約も白酒を飲みながらするという中国東北人とも、公私問わず飲む機会を重ねたベテランの白酒飲み。そんな飲み方は、白酒に酔うことで生まれる人間関係にもつながる。徐さんはそれを、「豪爽」(豪快で爽やか)と表現する。
 「白酒を重ねれば、性格があらわになる――つまり、共に白酒を飲むことは、互いを理解できる関係を作ることになる。これは、中国の伝統的な考え方です」と徐さん。味わうのではなく、酔うことで相手を知るもの……そう思えば、中国の友人と飲む白酒もまた違った愉しみになるのでは。

△中国の伝統的な蒸留酒。主原料はコーリャン。
度数は50度以上と高いものが多く、日本人には敬遠する向きも多いが、中国では伝統的な宴会で好まれるので、飲み方を覚えれば楽しめる機会は多い。
比較的高級な茅台酒や五糧液、また庶民的な二鍋頭などが代表的な銘柄。


 では最後にマナーを押さえておこう。基本は、五銭(25グラム)の小さな杯を使い、飲む時は一気に空ける。杯の底で食卓をコンコンと叩くのが乾杯の合図。目上に対しては、席を立ち、片方の手の平を杯の底にあてながら、酒の入った杯を両手で持って相手にかざす。「飲めない場合、挨拶の後に飲めないと言えばOK。飲んだ後は杯を逆さにしますが、一滴でもしずくが落ちたら罰としてもう一杯飲むことになりますよ(笑)」と徐さんはニヤリ。乾杯は、くれぐれもほどほどに。

お伴にこの一品!

青椒肉絲(チンジャオロースー)
日本人にもお馴染みのメニューだが、白酒のアテとしても定番。
ツワモノは、ザーサイやピーナッツだけで飲む。

徐国富

内装デザインを手がける大晋設計の工程部経理。
毎日白酒を飲む生活を続けてウン十年の、ベテラン白酒飲み。
会社オフィスは虹中路535号B06室。
問い合わせは6465-4987。

~上海ジャピオン11月24日発行号より

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