オーダーメイドに懸ける

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ジーンズは誰にも負けない
オーダーの中に「感動」を

タグがついたままの、裏返したようなジーンズ姿で登場したのは、山田大作さん(35歳)。
上海にて、オーダーメイドジーンズの店「haso」を展開するは、若き取締役だ。
アパレルショップの並ぶ長楽路に店舗を出したのは2008年3月。
取締役ながら自ら店頭に立ち、日本人客らのデザインの相談や、採寸から立ち会っている。
ジーンズは1500元~と上海では高価格帯に入るが、売れ行きは上々だ。
以前、山田さんは繊維素材の開発をメインにしていた。
畑違いのオーダーメイド店の展開。
その契機は、父でもある社長からの提案だった。
「オーダーの店をやろう」。父の言葉を聞いた山田さんに、躊躇いはなかった。
決めてからは準備に奔走した。
ロンドンへ1年半ほど市場調査に出向き、南米リーバイスにいたオーストリア人、仏ブランドでデザインをしていたイギリス人など、デザイナーを見つけ、縫製のための自社工場も立ち上げた。
自分たちのジーンズを選んでくれた人に、「感動してもらいたい」。
信念は、上海で実を結び、今は次のステップに入っている。
それがこの7月にスタートした、新事業の「Gyavi」だ。
ステッチ、ボタン、タグ、自分だけの一本をウェブ上にて、198元で注文できる。
「この事業が軌道にのれば、絶対、熱になって、(上海の発展と)一緒に上れるんじゃないかって感じます」。
山田さんは、世界を目指して突き進む。

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haso
住所:長楽路139号-5 2階
TEL:5382-8668
営業時間:
URL: www.ha-so.com
www.gyavi.com

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スーツ作りを娯楽に
一張羅じゃないオーダー

「スーツ作りを娯楽としてほしい。(一張羅を作るような)堅苦しい店じゃ、そういうのできないなーと思って」。
こう話すのは、オーダースーツ店「Assure+」を経営する、内藤明宏さん(30歳)。
「上海での買い物はお得感が大事」という内藤さん。
スーツの価格帯を、日本で同程度のものを作る場合の半額近くに抑え、セットアップならパターンオーダーで1250元~、フルオーダーでも2000元前後~提供する。
もちろんシャツも250元~オーダー可能だ。
オーダースーツの店を上海にオープンしたのは、「スーツにみんな困ってた」からだという。
上海で服のオーダーといえば布市場で安価に作れることは割りと知られている。
しかし、中国ではスーツでお洒落という感覚がまだなく、内藤さんも、スーツ探しには苦労した経験を持っていた。
そこで、日本の流行を捉えたオーダースーツを低価格で作る店を構想。
内藤さんは、親戚のツテを頼って、この道数十年というテーラーに基礎をみっちり教わり、上海へ戻った。
オープンまで、営業許可証が中々下りないなどの足踏みはあったものの、2008年3月にオープン。
それから1年半。週末には多い日で10組以上の来店があり、オーダーしてくれた人の数も、500人を超えた。
今後の夢は「2年以内に日本に店舗を出す」。
上海発のオーダースーツ店の未来は、日本への凱旋だ。

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Assure+
住所:水城南路51-24 1階
TEL:6209-9836
営業時間:10時~20時(火曜定休)

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蘇るアンティーク着物
日本の美から元気に

 泰康路のアンティーク着物ショップ「衣曼荼羅ゆらき」のオーナー兼デザイナー・芦田明日香さん(35歳)は、上海中医薬大学卒で、中医師免許資格を取得した異色の経歴の持ち主だ。中医師と、「ゆらき」。共通するのは「元気にすること」、即ち「よみがえらす」ことだと言う。
 「ゆらき」で取り扱うのは、アンティーク着物や反物から生み出す洋服や小物だ。自分の着物を持ち込めば、粋な洋服に変身し、端切れまでも、名刺入れやブローチに生まれ変わる。「今は着る機会が減り、たんすで眠っている事が多い着物だけど、職人が精魂を込めて作った着物には、世界中の人を感動させるパワーがある」。だからこそ、商品は正絹の本物のみ。伝統美を生かしながら、現代にも合って着やすい。芦田さんが提唱するのは、こんなスタイルだ。
 上海でお店を開く転機となったのは、2005年。住民がまだ普通に暮らしていた泰康路を母と訪れた時、雰囲気の良さに閃いた母が「ここでお店しよう!」と一言。その声に振り向いた芦田さんの目に飛び込んだのは、今の「ゆらき」の窓に張られた「出租」の文字だった。運命のようなものを感じた母娘は、数日後に、契約を済ませることとなる。
 今、「ゆらき」には世界各国の人が訪れる。世界で1つの贅沢を味わうため、オーダーメイドも絶えない。「ご縁があれば、世界中どこでも(出店します)」。本物が持つ重厚さ、温かさ、そして日本文化の美は、着物を通して、世界中へ伝えられていく。

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衣曼荼羅 ゆらき
住所:泰康路248弄50号田子坊
TEL:6467-7948
営業時間:11時~20時
URL: www.yuraki.net

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世界的なブランドに
命を込めた革靴を

衡山エリアにハンドメイドの革靴オーダー店「JACK PENG」を構えるのは、ジャック・ペン(鵬杰克)さん(27歳)。
「上海には、ハンドメイドの靴屋はありますが、国際的なブランドはありません。
僕はそこを目指しています。一生かかりそうですけど(笑)」。
臆することなく、大きな夢を口にする。
扱うのは、紳士向けをメインとしたアンティーク調の革靴。
足のサイズを測り、靴型を取り、希望をヒアリングし、デザインに起こす。
その後、職人歴30年以上の靴職人たちが、イタリア・フランスから輸入した牛皮を鋸で丹念になめし、約1カ月で仕上げる。
こうして作られた靴は、大事に手入れをしながら履くと、20年ももつという。
ジャックさんが靴オーダーの店を志すのは、自然な流れだった。
勤勉だったジャックさんの父は約20年間、イタリアで靴職人として働く機会に恵まれた。
単身イタリアに渡った父が、帰郷するたびに聞かせてくれた話。
それは、異国の地で靴にかける熱い思いだった。
父のように、充足感を得たい。そう思ったとき、いつしか道は決まった。
靴デザインを専門に4年間学び、自分の店をオープンさせたのは、2年前。
初めての客は、隣の老洋房に住む欧米人だった。
「今でもよく来てくれるよ」。ジャックさんは嬉しそうに話す。
今では月に100足近くオーダーを受けることもあるが、信念は変わらない。
「お客様が望む以上のものを」。
親子の夢が叶う日は、遠くないかもしれない。

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JACK PENG
住所:烏魯木斎南路85弄2号
TEL:5466-1610
営業時間:10時半~21時
URL: www.jackpeng.com
※日本語対応可能(要予約)

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~上海ジャピオン7月31日号より

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