秘密のドアに期待高まる
まず向かったのは〝入り口が隠し扉になっている〟と噂の麺屋「福楼 BigMian」。陝西北路を北に歩いて行くと、ほどなく店の看板を発見。さて、入り口を見つけなきゃ…と意気込んだところ、なんと、もう開いてる~!一見本棚のように見える部分がドアになっていて、手前に引くと店の奥へ進める仕組みになっているのだ。せっかくだから、ドアを閉めた状態で写真を撮らせてもらった(写真①)。入り口に監視カメラが付いているので、もしドアが閉じていて客が入り方を知らない場合、店員が中から開けてくれるようだ。
素朴な玄関とは打って変わり、店内はド派手(写真②)。輝くネオンにミラーボール、謎の洗面台、大音響で響くディスコ・ミュージック…本当に中華麺の店なのか?と少々戸惑う編集部。
オーナー趣味一色の店内
注文と支払いは「微信(We Chat)」を通じて行う。オーダーした「香港経典餐蛋麺」(32元)は、縮れ麺に分厚いハムと玉子が乗った素朴な一品だ(写真③)。出前一丁みたいだな…と思ったら、店のロゴに「インスタントヌードルストア」としっかり書かれていたので、本当にインスタント麺を使っているらしい。13時過ぎに来店したが客は編集部1人しかおらず、店内はオーナーと思しき若い男性と2人きり。気まずい雰囲気が漂う…。この空間で麺をすすっていると、何となく、オーナーの趣味がめちゃくちゃに詰め込まれた彼の部屋にいる気分に。そう言えば昔、男友達の家に遊びに行った時も、インスタントラーメンを作ってもらったな…と遠い青春を思い出し、甘酸っぱい気持ちが広がった。
パスワードを絶対忘れるな
入り口が見つからないと入店できないが、ドアに鍵が掛かっているのも困りもの!創作中華料理店「蛍七人間」は、必ず事前予約をし、ドアのパスワードをゲットしないと入店できない、不思議なシステムになっている。
早速アプリ「大衆点評」を使って予約をすると、店から予約確認の電話があり、その時に4桁のパスワードを教えてもらえた。その後、予約日前日と当日30分前にも電話が掛かってきて「パスワードは○○○○だから!覚えといてよ!」と念押し。そこまで手間を掛けてまで、ドアに鍵を掛ける意味はあるのだろうか?
ともかく店に到着したが、入り口がまたわかりにくい。巨鹿路を西に歩いて行くと突然、壁と壁の間に、2階へ通じる階段が現れ、その先が店入り口となる。正面に見えるのがパスワード入力箇所だが…どうやって解除するかは、自分の目でぜひ確かめてほしい。
店内にも遊び心がたくさん
さて席に着くと、テーブルクロスにも謎のイラストを発見。どうやら中国語の四字熟語を表しているらしいが、一生懸命テーブルを見つめ頭を捻っていると、せっかく一緒に来た友人や同僚との会話がおろそかになる。気を付けよう。
同店の中華料理は「人間豆腐」(20元)や「無骨酔鶏」(48元)などの中華料理はもちろん、ピザやティラミスなども用意。見た目も味も素晴らしいので、デートやアテンドに最適だ。ただし、お手洗いに行きたい時は早めに向かって。トイレでも変な仕掛けに一苦労、急いでいると涙目で他人に助けを求めないといけなくなるかもしれない…。
白い煙がインスタ映え
〝インスタ映え〟にも命を掛ける時代がきた。田子坊の2号門すぐにあるスイーツ店「沁煙」では、危険極まりない(?)スイーツを売っている。
店頭でもうもうと立ち上がる煙におののきながら、メニューを拝見。煙が上がるスイーツ「煙餅」の項目にある「繽紛杯双重奏」(36元)が一番人気のようで、ほかにこのミニサイズ「歓楽児童杯」(33元)や、ドリンクが付いた「氷火交響曲」(39元)がある。マカロンやマシュマロ、小さいクッキーが詰め込まれたカップからは、白い煙がふわふわと…それを口に入れた人も、口や鼻からブワーッと白い煙を吐き出している。本当に食べても、問題ないのだろうか?
お口にあーんのサービス
いよいよ編集部の商品ができあがった。店員のお兄さんが、目の前でカップに液体窒素を注ぎ、一瞬目の前が真っ白になる。さて受け渡し…とその前に、お兄さんから食べ方のレクチャー。ピンセットでクッキーを摘み空中でブンブンと振って、白い霜が付いたら食べてもいいサインとのこと。口に入れたらすぐ噛むんだよ…。と、何とお兄さん自らクッキーを編集部の口にあーんと入れてくれるサービス!ただし、モタモタしたり、すぐ噛まなかったりすると結構怒られる。
そんな厳しいレッスンを経て渡されたクッキーは、サックリと冷たい…以外は何の変哲もないものだった。慌てて食べた編集部は、舌が少しピリピリする軽度の凍傷に。また購入してから15分ほどは底に液体窒素が残っているので、くれぐれも菓子を素手で触らないように気を付けよう。
あの話題パンを考案した店
最後は、飲食店が最も嫌がるワードを堂々と使った、話題のドリンクカフェ「楽楽茶」へゴー。長蛇の列を成している店頭には…デカデカと「臓・DIRTY・きたない」の文字が。メニューにも「黒糖きたない茶」や「きたないパン」など、とにかく〝きたない〟の文字が躍っている。
そんなに不衛生なのか…と心配することなかれ。ここ「楽楽茶」は、新しい概念のパン「臓臓包」を上海市で初めて売り出したとされる店なのだ。しっとりとしたチョコレートパウダーを、大きなパンにこれでもかと塗したのが「臓臓包」の正体。食べると手も口も真っ黒に汚れてしまうことから、この名前が付けられた。
甘いは汚い、汚いは甘い…
今やコンビニでも見掛けるほど知名度が上がっている「臓臓包」。早速味を試してみよう…としたところ、なんとすでに売切れ(泣)。代わりにバナナが入った「帝王蕉臓臓包」(22元)をオーダーした。ドリンクも〝臓臓〟シリーズから「手炒黒糖臓臓茶」(19元)をチョイス。
さすが人気店だけあって、平日の夕方にも関わらず、同店には行列がズラリ(写真②)。待つこと30分超、ようやく商品が手渡された。パンにはビニール手袋が付いており、少なくとも手は汚さずに食べられる。う~ん、パンはあま~いチョコレートパウダーと、中にたっぷり入ったチョコソースが強烈。ミルクティーも黒砂糖の甘さがガツンと効いており、あまりの汚さ…いやいや甘さに、ノックアウトしてしまいそうだ。
~上海ジャピオン2018年6月8日発行号