迷子を救え! 中国人の道案内

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丁寧な道案内にビックリ

 では、早速迷子に扮して道を尋ねてみよう。今回のルートは「陝西南路」駅付近から、「瑞金医院」まで。普通に歩けば約15分の距離だが、途中道を南北、東西にそれぞれ2本挟み、やや複雑。道を教える側の技量が問われるコースだ。

記念すべき1人目は、淮海中路で信号待ちをしていた、ランニングシャツが眩しい60歳代のおじいちゃん。編集班の拙い中国語に面食らったのか、最初は上海語で何かをつぶやいていたものの「1回だけ右折すればよいルート」と「バスに乗るルート」という、的確な案内をしてくれた。これは1回目から調子がいい。

念のため、さらに数人に道を尋ねる。次のターゲットは、タクシー待ちをしているお姉さん。「えーと、とにかくこの道を真っ直ぐ、突き当りまで行って左」とのことだが、そうすると目的地の倍以上南に進むことに…。何はともあれ、教えてくれて感謝である。3人目のサラリーマン風お兄さんは、身振り手振りでかなり正確に道を示してくれた。みんなやさしい!

場所が近いと指示が雑

 さて場所を変え、病院まであと500㍍のところで再び道を問う。小さな娘さんを連れたお父さんは「多分、目の前の道を左だ。よくわからんけど」と自信なさげ。次に聞いたマダムは「あの道を左に真っ直ぐ、もうすぐそこよ~」とニコニコ。トドメのお兄さんは「あっちだよ」と答えてくれた。…どうやら、目的地が近いと、道案内も雑になるようだ。

というわけで難なくゴールの病院に到着。途中話しかけた6人全員が道を教えてくれるという、好成績に驚きだ。中国の人は本当に親切だ…と思わず涙が出そうになる取材班であった。

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2.5㌔の距離に挑戦

続いては「陝西南路」駅から、有名な建築物「武康大楼」までにトライ。淮海中路をずっと東進すれば着く簡単な道のりだが、軌道交通2駅分の距離がある。遠い場所でも、通行人はちゃんとナビゲートしてくれるのだろうか?
先の挑戦で、すっかり調子に乗っていた取材班、意気揚々と男子グループに話し掛ける。と、「あ? ごめん知らない」との返事。まあ知らないなら仕方がないか…と、次の40代夫婦に聞いても「聞いたことがないなあ、ごめん」と空振り。あれ、おかしいぞ?
気を取り直して3人目の女の子。場所を「永康路」と聞き間違い、一緒に行きましょうと誘ってくれた。いえいえ探しているのは「武康路」なんです…と訂正したところ、わからないからと、スマホアプリで検索。結果、10号線で「交通大学」駅まで行ったら早い…というところまでは教えてくれた。
最後に聞いたおじいさん、この人が今回、唯一場所を知っている人だった。頼もしきは年長者だ。お礼を述べると笑顔で手を挙げ、見送ってくれた。

誰も知らない目的地
「陝西南路」駅ではパッとしない成果だったので、「武康大楼」最寄りの「交通大学」駅で再び聞き込み。ところが、おばちゃん、おじさん、サラリーマン、ビルの警備員、みんな「知らない」との返事。え~、あそこに建物、見えてますよ…と心の中でツッコミを入れつつ、ここで終了。「武康大楼」の知名度がここまで高くないとは、盲点だった。しかし、アプリで調べてまで道を教えてくれる、天使のような人がいることは、大きな発見だ。また声を掛けて無視されることは一度もなかったことも、付け加えておきたい。

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観光客の強い味方

最後はまず誰も知らない、マイナーな場所への行き方を尋ねてみよう。選んだのは、編集班も初めて聞くビジネスホテル「広錦ホテル」だ。
先ほどの検証から、街行く人の力だけでは辿り着けないことを確信した取材班。今回は〝道案内のプロ〟を頼ることにする。まず向かったのは、「旅行インフォメーションセンター」。ここでは観光客を対象に、観光地の案内をしたり、傘の貸し出しやスマートフォンの充電サービスを提供したりしている。外灘や新天地など、主要な観光地付近にあり、「i」の看板が目印。カウンターでホテルの場所を聞くと、早速パソコンで検索し、行き方を丁寧に案内してくれた。武康路のセンターは、館内に歴史的建築物の模型や資料が並び、広々とした空間。休憩スペースも備え、トイレもキレイだったので、街歩きに疲れた時にはぜひ一度立ち寄ることをオススメする。

道案内のプロを探して

そして迷子と言えば、お巡りさんこと警察の出番だろう。まず派出所へ行くため、近くにいたマンションの警備員に場所を聞くと、「公安局に何しに行くんだい」と怪訝な顔。実はホテルの場所を探していて…と話すと、ああそこかい、と場所を教えてくれた。親切な方である。
さてようやく、道に立つ警察官を発見。おもむろにホテルの名前を見せると、「私も今日は臨時でここに立ってるから、よくわかんないんだよね…アプリ使えないの?」と言いながら、スマホで検索、教えてくれた。念のためにもう1人警察官に聞くと、こちらも丁寧な対応。やはりプロは安心感が違う。困った時は、世話になってみよう。

 

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~上海ジャピオン2018年8月31日発行号

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