渡し船に乗ろう

まずは再開発エリア散策へ

さっそく渡し船に乗ってみよう。今回は北外灘を東に進んだ泰皇島渡口と、黄浦江を挟み対岸の其昌桟渡口を結ぶ線「泰公線」に乗船してみた。まずは軌道交通4号線「楊樹浦路」駅近くの泰皇島渡口へ。乗り場の東側には再開発された「楊浦浜江」の遊歩道が続き、川沿い散歩にピッタリ。造船所をリノベーションした建物やススキ越しの陸家嘴などフォトジェニックなスポットが多く、平日でも一定数の市民が訪れていた。この遊歩道は楊浦大橋まで4㌔続いているが、今回は途中で引き返し、渡し舟乗り場へと向かう。

約5分間の快適な船旅

料金は、130㌢以上の人が2元、自転車乗り入れが2・8元、バイク乗り入れが4元とリーズナブル。交通カードのほか、微信支付や「支付宝(アリペイ)」などのオンライン決済も可能だ。現金の場合は窓口で切符代わりの丸いチップを渡されるので、改札を通る際にそのチップを専用箱に投げ込めばOK。乗り物ごとに通るゲートが違うので、表示をよく見て改札を通る。この時、バイクは乗車したまま走り抜ける人が多数おり注意が必要だ。改札を抜けた待合室にベンチがあるものの、乗船客の9割はバイクに跨ったままゲート前にスタンバイ。朝晩のラッシュ時は10分毎に、昼間は20分毎の頻度で船がやってくる。

船内1階はバイクで埋め尽くされるので2階へ。たくさんの座席やテレビがあるが、狙いはデッキ。デッキからは浦東側、浦西側の高層ビル群を一望でき、絶景が楽しめる。大きな揺れもなく5分間ほどであっという間に対岸の其昌桟渡口へと到着。到着時もバイクがすごい勢いで出発するので、それを見送ってから下船するのが安全。改札は何もなく、下船したらすぐ道に出るようになっている。

廃墟好き必見の建築物

さて其昌桟渡口で下船後、右折をしてしばらく歩くと川沿いの遊歩道へ出る。北外灘と黄浦江が目の前に広がり、先ほどの渡し舟が悠々と折り返して行く。遊歩道エリアには様々な樹木が植えられた広場があり、ベンチや池が設置され、紅葉した木々を気持ちよさげに見上げる人の姿も多い。広場を越えると見えてくるのが、ひときわ大きな商業施設「船厰1862」。古い造船所のリノベーションを担当したのは「新国立競技場」や「歌舞伎座」など、日本を代表する建物を数多く手掛けてきた日本人建築家・隈研吾だ。アートスペースでは数カ月毎に新しい展示がされているほか、アート×家具屋×中国茶の趣きあるカフェや感度の高いアートブティックもあり、見て回るだけでもいい刺激を受けそうだ。また夜景が人気な川沿いのレストランでは、防寒ポンチョを貸し出してくれるサービスが◎。向かいに建つ「光音広場」には日本食街があり、ラーメン屋や弁当屋などが揃う。

疲れを癒す休憩所もあり

「船厰1862」を後に川沿いを進むとすぐ出会うのが、花に囲まれたスタイリッシュなサービスセンター「望江駅4」だ。誰もが利用できる公共の無料休憩所で、Wi―Fiや飲料水、トイレットペーパー設置の新しく清潔なトイレなどを完備している。特筆すべきはファミリートイレ。子ども用の小さな便座やオムツ交換台があり、子連れにうれしい設備だ。センター内にはゆったりとしたソファーが置かれしっかり暖房も効いており、禁煙、飲食禁止のため、静かにくつろげる空間になっている。思い思いに散歩を楽しむ人々に和みながらもう少し歩くと今回の終点、泰同桟渡口だ。下船してから約1・4㌔、ほどよい距離の散歩コースだった。

まさかの本日運休

最後は上海市最北端の渡し舟「三淞線」へ。この路線は、浦西側の3号線「淞滨路」駅近くと、浦東側の「滨江森林公園」近くを結び、黄浦江と長江の合流地点が目の前というところを走っている。

「淞滨路」駅から歩くこと15分、乗り場「吳淞渡口」が見えてきた。隣に国際フェリーが発着する「吳淞碼頭」があることから、ホテルやオフィスビルが多く、辺りは賑やかな雰囲気だ。乗船を楽しみに近づくと、何とゲートが閉まっている! 案内版には「今日は水位が低く、船が密集しているので、午前中は運休」との掲示が。なるほど、黄浦江を覗くと大小様々な船が北上している。こんなこともあるのか、どうしよう…と途方に暮れる編集班。

白タクで浦東まで

そこに「浦東行くの? 5元だよ」と声を掛けるおばさんが。あれよあれよという間にミニバンに案内され、地下道を通って浦東に移動する。聞くと、この路線は結構頻繁に運休になるようで、このような白タクもよく出動するそう。

10分ほどで浦東側に到着し、降車。ところが浦西側と違い、何だか寂しい雰囲気…とりあえず浦東側の乗り場「三岔港渡口」を目指し歩いてみる。

途中小さなレストランや商店を見掛けるが、高い建物などなく、空が広い。家の軒先ではニワトリが飼われ、イヌが走り回っている。黄浦江の支流では貨物船が土砂の積み下ろしを行っており、ホコリがもうもうと舞っていた。

ついに見付けた「三岔港渡口」は、コンビニくらいの大きさの建物。浦西側と浦東側の雰囲気の違いに驚きだ。さて帰ろうとマップを検索すると、最寄駅までバスで53分とあってまた驚愕し、やはり白タクで浦西まで帰ったのであった。

~上海ジャピオン2019年12月6日発行号

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