上海っ子も大好き! ファン熱狂の!? 海外ドラマ

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ネット視聴率70%超

韓国のテレビ局・SBSが、昨年12月に放送を開始したこのドラマ。中国の動画サイトで配信されるやいなや、瞬く間に注目を集め、最終回の視聴率が韓国で29・6%、中国でのネット視聴率は何と73・4%を記録したという人気ぶりだ。

主演のチョン・ジヒョンは、2001年の映画『猟奇的な彼女』で大ブレイクしたベテラン女優。一方、相手役のキム・スヒョンは彼女より7歳下で、役者にモデルに歌手にと活躍、現在最もホットな韓国人若手俳優の1人に数えられる。

教授に萌える中華女子

舞台は現代のソウル。売れっ子女優のチャン・ソンイは、引っ越し先のマンションで隣室に住む大学教授、ト・ミンジュンに出会う。明るく奔放で、ちょっとおバカなソンイに対し、ミンジュンは常にクール。というのも、ミンジュンは400年前から地球に住んでいる宇宙人で、愛する人々に取り残され、孤独に生きてきたのだった。度重なるソンイのピンチを、超人的な能力で救うミンジュン。2人の距離は日に日に縮まっていき…。

マーケティング・リサーチ会社「マクロミル・チャイナ」が、上海に住む男女100人を対象に実施したアンケートによると、同作のファンはほぼ女性。コメントも「クールなミンジュンが調子を狂わされ、時折見せる〝素〟の顔がキュート」、「〝ト教授〟がカッコイイ」、「ト・ミンジュンシ、ラブ!」などなど、キム・スヒョン人気が絶大だ。(※「シ」は韓国語での敬称)

また、劇中のソンイのセリフが中国に〝ビール&フライドチキン〟旋風を巻き起こし、ミンジュンの愛読書『九雲夢』は出版社に5400冊もの予約が殺到。市内至る所で、女子の会話中に「ト・ミンジュンシ」が毎日のように登場するなど、同作による社会現象は数えきれない。

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名作を大胆にリメイク

コナン・ドイルの原作をベースとし、現代イギリスを舞台に替えてリメイクされた。イギリスBBCが製作し、同年の同国エミー賞ミニ・シリーズ部門脚本賞、アカデミー賞最優秀TVドラマ賞を受賞、作品賞と主演男優賞にもノミネートされるなど、優れた作品であることは折り紙つき。すでに第3シーズンまでが放送済み、ファンたちも次シーズンのスタートに、首を長くしている。

主人公の2人、シャーロックとワトソンを演じるベネディクト・カンバーバッチとマーティン・フリーマンは、映画『ホビット』シリーズでも共演。両シリーズは今、世界中が注目している作品であり、それぞれが第一線で活躍する実力派俳優なのだ。

〝ブロマンス〟な関係

物語の大筋や配役は、ある程度原作に忠実ではあるものの、主人公・シャーロック像も、現代的に大胆なリメイク。スマホやMacなど現代のデバイスを使いこなし、さらに解決した事件の顛末をブログに書いては、読者=ファンを増やす。一方、相棒のワトソンは退役した軍医で、シャーロックに戦場でのトラウマを見抜かれ、事件に巻き込まれるうちにそこから抜け出す…という展開で、2人の運命的な関係性が浮き彫りになる。

劇中でも、人を寄せ付けないシャーロックに唯一近づけるワトソン、そんな彼の存在にだんだん依存していくシャーロック…の構図が出来上がっていく。2人が撮影中にじゃれ合う姿がしばしば雑誌にも取り上げられ、ガーディアン紙は〝Bromance(Brother+Romance)〟と評している。複雑なプロットや巧妙なトリックだけでなく、かけがえのない親しさが微笑ましく、視聴者に好感を持たせる。

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ゾンビが脅かす世界

アメリカでは古典的なテーマとして度々映像化されてきた、いわゆる世界の終末系「ディザスター」作品。中でも人間の本質を現実的に描き出し、刺激的な映像でコアなファンを獲得しているのが、同作のような〝ゾンビ〟モノだ。

こういった作品を未見の人なら、そもそも「ゾンビ」という存在の概念、その世界観すらイマイチピンと来ないかもしれない。ゾンビとは一度死んで蘇った者、ウイルスによる感染で人間の心を失った者などの設定があるが、共通しているのは「知能を持たない」、「人を襲う」、「脳を破壊しないと死なない」のセオリー。これに同作では「走らない」の原則も加わり、数少ない生き残り組を脅かす。

見えてくる人間性

警察官のリックは、ある日勤務中にケガを負い、昏睡状態に陥る。しばらくして病院で目覚めると、街はゴーストタウンと化していた。ダウンタウンへ出るとゾンビがウヨウヨ、四方を囲まれ、壊れた戦車に逃げ込む。ゾンビがどんどん群がってくる中、一か八かの賭けに出たところを、生き残りグループに助けられ、その後の行動を共にする。人間が安全に暮らしていける〝ユートピア〟を探し求めて――。

同作のファンが、その魅力に関して一様に声をそろえるのが〝人間の本性を露わにする〟点。今回のアンケートでも、「究極の状態に追い詰められ、人間性が初めて見えてくる」、「愛する者がゾンビ化した時、人であることの条件について考えさせられた」など、ただのサバイバル・ドラマを観賞する以上の感想を寄せている。

なお現在、第5シーズンとスピンオフ版を製作中とのこと。「長すぎる!」と早くも諦めるなら、ゾンビ映画の祖、ジョージ・A・ロメロ監督の映画作品からどうぞ。

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古典的シットコム

日本でも大人気となった『フルハウス』や『フレンズ』のような、スタジオ型〝シットコム(シチュエーション・コメディ)〟。尺が短く1話完結型で、登場人物や場面設定が固定されており、観客(?)の笑い声が入っているのが特徴的だ。現在、すでに第3シーズンを終えようとしているところだ。

舞台はNYの下町、ブルックリン。昼間はベビー・シッター、夜はダイナーでウェイトレスのアルバイトをしている〝ボンビー(貧乏)・ガール〟マックス。ある日そのダイナーに、父親が事業不正で逮捕され、すべてを失った元お嬢様・キャロラインが転がり込んでくる。2人はひょんなことから一緒に暮らすことになり、マックスが作るカップケーキでビジネスを立ち上げようと一念発起、夢を叶えるため奮闘を開始する。

女子のサクセス・ストーリー

ほぼ全キャストが下ネタを連発、セリフ回しは速くスラングだらけ、ブラックなジョークも満載の同作、本国アメリカでは〝子どもに見せたくないドラマ〟に挙げられるという。しかし、低所得者層のマックスと、富裕層のキャロラインという生まれ育った環境の異なる2人が、互いに否定し合うことなく、理解を深め、友情を結んでいく姿には心を打たれるものがある。また、NY発のイマドキオシャレスイーツである「カップケーキ」が夢のアイコンになっているのもポイント。

そのほか、ダイナーのレジ係、ファンキーな黒人のアール、下ネタしか発しないが憎めない、キッチンスタッフのオレグ、外見にコンプレックスを持つがキュートな店長ハンと、2人を取り巻く脇役陣も魅力たっぷりに描かれている。

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人食い博士・レクター

サイコ・サスペンスの巨匠、トマス・ハリス原作の『レッド・ドラゴン』をもとにしたドラマ。シリーズ中初映像化された『羊たちの沈黙』が米アカデミー賞作品賞に輝き、人食い精神科医・レクター博士の名を知らしめるとともに、世界を震撼させた。同作は『羊たち~』の前日譚で、レクター博士が逮捕される以前を描いたもの。

FBIアカデミーで教官を務めるウィル・グレアムは、自閉症でありながら、殺人事件の犯人に共感し、犯行動機や感情を再現する能力を持っていた。そうして事件を解決していく傍ら、ウィルの精神状態は不安定の一途を辿り、精神科医であるハンニバル・レクターに出会う。様々な殺人事件を模倣する「コピー・キャット」のレクターは、治療と称してウィルの心に揺さぶりをかける。

美しいフレンチの狂宴

主役のウィルには、イギリスの名門パブリックスクールとオックスフォード卒のインテリ役者、ヒュー・ダンシー。そして〝北欧の至宝〟の呼び声も高い、デンマーク人ベテラン俳優、マッツ・ミケルセンがレクター博士を怪演。彼は2006年の『007カジノロワイヤル』で、気品を漂わせたままジェームス・ボンドを拷問するル・シッフルを演じ、知名度を高めた。同作のファンによれば、精神科医でありながら人を殺したその手でゴージャスなフレンチ・フルコースを紡ぎ出す、気高くも美しい博士に圧倒される、とのこと。

なお、博士のレシピはれっきとしたフード・ディレクターが作っており、アメリカではドラマに登場するメニューの試食イベントが大人気なのだとか…。

 

~上海ジャピオン2014年4月18日号

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