住宅街エリアに佇む寺
新天地エリアの外れに位置する、1924年建立(1994年修復)の「法蔵講寺」。住宅街の一角にひっそりと佇む。ここは、仏教の一宗派・天台宗の寺で、玉仏寺、龍華寺、静安寺と並んで〝上海四大寺院(上海四大叢寺)〟と呼ばれる。
入口を抜けるとすぐに、お香の香りが鼻を抜け、不思議と心が安らぐ。中に入ると、中央に本殿・大雄宝殿があり、ほかの殿や僧侶の居住スペースが入る建物が、本殿を取り囲むような形となっている。また寺入口左手側には、精進料理を提供する飲食スペースを用意し、一般人も利用可能。「羅漢麺」(12元)は精進料理の代表格で、野菜タンメンの塩気を薄くした感じの、素朴な味わいが意外とやみつきになる。
新天地でショッピングを楽しんでから、少し足を延ばして同寺を見学してみよう。
新旧織り成す街並みに建つ
北外灘エリアの12号線「提藍橋」駅近くに構える「下海廟」。同駅には、ツインタワー付き複合施設「星港国際センター」が建設中というホットスポットだが、この廟は250年前から市民の拠り所として親しまれている。
取材時は一部エリアが工事中だったが、敷地面積約1800平米の廟。廟は死者を祀る場所でもあり、寺よりも荘厳な雰囲気が漂っているが、一般人でも入場可。1990年に再建されていて、鮮やかな黄色と赤色の壁紙が目を引く。各殿を抜けていくと、広場中央に置かれた香炉塔に向かって硬貨を投げている人を見掛ける。これは硬貨を投げ、塔内に入れることで幸運を願っているのだ。
昔ながらの街並みと新たなランドマークが次々と建てられ、新旧の街並みが交差する同エリアに、一度足を運んでみよう。
ハスの花咲く、庭園付き寺
「真如寺」は市内中心部から約30分と少し遠いが、約1400平米の敷地面積を誇り、市内では比較的大きな寺で、「全国文物保護単位」にも登録されている。
堂内は縦長の構造となっており、珍しく仏塔を構える。この塔は高さ53㍍の9層で、中には仏舎利(入滅した釈迦が荼毘に付された際の遺骨)が保管されており、重要な存在。また仏塔の周りには「転経輪(日本語でマニ車)」が設置されている。マニ車にはお経が書かれていて、これを1個1個回しながら時計周りに1周することでお経を唱えたことになり、御利益があるとされるのだ。
また堂内にはハスの花をはじめ、ちょっとした庭園があり、静かに涼しく過ごすのにピッタリ。「中山公園」駅から4駅と、古北エリアからはそこまで遠くないので、休日を利用して行ってみては?
上海に今も残る道教寺
豫園一帯は古き良き上海の街並みが広がり、豫園をはじめ、歴史的建築物が点在する。ここ「白雲観」は周りにビルが建てられる中、今もなお人々の憩いの場となっている。
「白雲観」に一歩足を踏み入れると、雰囲気が仏教の寺と違う。それもそのはず、ここは上海でも数少ない道教の寺なのだ。堂内の壁面は赤ワイン色で塗られており、道士が黒い帽子に白い服装を着ているのが特徴的。2階に上がると財神殿などのほか、建物の角には太鼓と鐘が設置され、有料でそれらを鳴らすことも可能だ。豫園内にある「城隍廟」もまた、道教の施設。
豫園から徒歩10分強、新天地エリアからもバスで移動できる範囲に位置し、散歩がてら寄るにはピッタリだろう。
~上海ジャピオン2019年8月2日発行号