レトロ観光地巡り あの頃の上海へ…

開館20年目の水族館

「東方明珠塔」のほぼ真下にあり、2002年の開館後、今もなおAAAA級観光地として存在感を放つ「上海海洋水族館」。取材班が同館を訪れたのは約17年前。その頃の記憶をたどりながら、改めて同館を訪れた。

平日朝に取材に行ったにも関わらず、なかなかの賑わいぶりで、小学校就学前の子どもたちが多い。入場後最初に行うのは、グリーンバックに立っての記念撮影。これは出口で、色々な背景と合成したものを購入できるというもの。おっ、このシステム懐かしいと思ったが、最近オープンした「上海中心」展望台でも同じ撮影があるので、観光地の伝統行事なのかもしれない。

入場してすぐ3階へ登り、魚やクラゲなどの展示を見てまわって、2階、地下2階へと降りていく。同館の見どころはなんといっても、地下2階の155㍍に及ぶ海底トンネル。観覧客は動く歩道に乗りながら、頭上を泳ぐ魚たちを観察することができる。

レトロ感が心地いい

90分ほどゆっくりと観て回り、美しい海の世界を堪能したが、20年前と変わっていたところといえば、入場口にQRコード読み取り機械が付いていたことぐらいだ。ちょっと塗装のはげたペンギン像や、熱帯雨林ブースでピカピカと雷が鳴る感じも、当時そのままといった印象。とはいえ、巨大海底トンネルは今見ても圧巻で、いい具合にコンパクトなので、小さな子どもを連れて行くにはピッタリの場所だろう。

 

かつての賑わいはいずこへ

黄浦江の下、煌びやかにイルミネーションされた地下トンネルを進む電動車…「上海外灘観光隧道」は、2000年に完成した観光乗り物だ。

編集班が最初にこの乗り物に乗った約17年前は、上海に観光に来たなら外せないスポットとして人気で、人混みの中楽しんだ記憶がある。近年はガイドブックでも名前を見掛けなくなってしまったが、現在はどんな雰囲気なのだろうか? さっそく現場へ向かった。

浦東新区側の入場口は、先端アートを展示する浦東美術館の近くにある。チケット売り場へ降りていくと、何とフロアには誰一人いない。『君を連れて』のメロディがエンドレスで流れるなか、ちょっと寂しい思いでチケットを購入し、いざ入場…となるはずが、乗り物故障で5分待ち。入場してからもさらに待ち、いよいよ小さな観覧車のような乗り物に乗り込む。

車両が止まり、時も止まった

1人借り切り状態の中、発進! と、走り出して数秒、車両が止まってしまった。「故障なのでお待ちください」とのアナウンスとともに、イルミネーションに合わせた効果音だけが延々流れる車内。「火山。ゴォォ」や「イッヒッヒ」など何ともチープな音を聞きながら黄浦江の下で1人閉じ込められる、切ない時間を過ごした。

なお入場口付近には「びっくり人間ショー」的な展示物が設けられ、外灘側入場口には子ども連れの姿があった。黄浦江の地下は、20年前となんら変わらぬ雰囲気のまま、子どもたちを楽しませている。

 

なりきり写真撮影のメッカに

世界各地にある「マダム・タッソー蠟人形館(上海杜莎夫人蠟像館)」。上海には2006年にオープンし、精巧で本物そっくりの蠟人形で人々の目を楽しませてきた。

チケットは要事前予約とあるが、よっぽど混雑していない限り、当日受付で購入OK。入口で記念撮影という〝観光地あるある〟を済ませて入場すると、そこには上海国際映画祭の華やかな会場が広がり、ダン・チャオ(鄧超)からトム・クルーズまで、今を時めく俳優・女優がポーズを決めている。

てっきり蠟人形には触れないものと思っていたが、すべてお触りOK。さらに付近には、人形とお揃いの帽子や簡易衣装などが置かれており、人形と肩を組みポーズを取って、写真撮影を楽しむ人で溢れている。十分な撮影スペースと人形に合わせた背景セットが設けられ、写真映えもバッチリだ。

スターから著名人まで

人形も今の時代に人気があすスターを厳選しているようで、中国ドラマを再現したブースや、音楽ステージブースは、エンタメ好きには堪らないラインナップだ。会場を進むにつれて、エンタメ界から離れていき、アインシュタインやスティーブ・ジョブズ、姚明などのスポーツ選手、エリザベス女王がお出迎え。最後はなぜかマイケルジャクソンで終了する。

開館から15年経つ今も、SNS映えスポットとして若者が訪れる同館。その経営努力に感服だ。

 

~上海ジャピオン2021年12月10日号

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