民族訪ねて三千里~第27回

旅行者も歓迎する祭り
清らかな水を湛える泉
サラール族は、
中央アジアのウズベキスタン・サマルカンドから
移住してきたオグズ族が、
チベット族や満族、
回族と混交して生まれた民族である。
最も大きな祭りは、
3月の断食月が明ける日の「開斎節」である。
サラール語では「ルド」と呼ばれ、
断食明けを祝うイスラム教三大祭日の1つであり、
毎年盛大に行われる。
この日の前夜、人々は部屋や庭を掃除し、
髪を整え、風呂に入る。
そしてごちそうを作り、至るところで食卓が囲まれる。
知り合いでない家に入ってもよく、
旅行者でさえ歓迎されるという。

1. サラール族の女性。
女性たちは家事のほか、
手工業や農作業と忙しい日々を送っている
2. 旅行者も一緒に祝う「ルド」の祭り
3. 重要文化財にも指定された、
サラール族の住居「籬笆楼」

サラール族の暮らす青海省には、
文化遺産がいくつも存在する。
そのうちの1つ「駱駝泉」には、
こんな伝説も残されている。
「その昔、サマルカンドの小さな部落に、
酋長を務める兄弟がいた。
2人は部落民の信望が厚く、
現地の支配者に恨まれ、迫害された。
そこで2人は18人の一族郎党を連れ、
1頭の白いラクダに水と土を積み、
新たな楽園を求めて旅立った。
天山や嘉峪関、黄河を超え、
循化に辿り着いた後、彼らは山に上ったが、
辺りが暗くなったためラクダとはぐれてしまった。
翌朝彼らが探し回ると、
ラクダは街の外れの泉の中に横たわり、
すでに白い石になっていたという。
持参した水土が現地のものと類似していたため、
彼らはこの地に定住することを決めた。
困難な旅を共にし、
泉の中で石となったラクダはいつも一族を見守り、
泉はいつしか〝駱駝泉〟と呼ばれるようになった」。
また、サラール族の住居「籬笆楼」は、
防火・防音・湿気対策に優れる。
扉や柱に描かれた、精巧な民族的図案もお見逃しなく。

~上海ジャピオン02月03日号

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