民族訪ねて三千里~ローバ族(珞巴族)

中国最少の民族
大陸に轟く弓矢技術
ローバ族は、中国の少数民族中で、
最も人口が少ない。
主にチベット高原東部や西部に分布し、
大多数が交通の不便な高山、渓谷地帯に暮らす。
そんな彼らの生活を支えるのは狩猟。
野山を巡っては鳥や鹿、野牛などの動物を捕え、
日々の糧にしている。
弓矢は猟に欠かせない道具で、
矢の先に毒を塗って射るのだが、
村の男は弓術の上手さで、
男としての真価が問われるという。
そんな彼らの古い言い伝えに、弓にまつわる話がある。

1.弓を握るローバ族の男性。
名手になれば村の英雄扱いに
2. ローバ族の子どもたち。
衣服は植物の繊維や動物の皮で作られる
3. 居住地の1つ、林芝市。
山水の美しさで知られ、
最も高地にある川、雅魯蔵布江がその中を流れる

「ある日、ローバ族の男が白湖と黒湖という
2つの湖の畔で薪割りをしていた時のこと。
白湖から白い牛、黒湖から黒い牛が急に現れ、
2頭が争い始めた。
黒い牛は白い牛を圧倒し、殺す勢いであった。
これを憐れに思った男が黒い牛に矢を放つと、
黒い牛は倒れ、湖は赤く染まっていった。
その後、白湖から1人の娘が現れ、
男に、礼をするため、湖底にある城に招いた。
男は言われた通り城に行き、主に会った。
実は、主は先の白い牛で、娘の父親であった。
男はしばらく手厚い歓待を受けたが、
地上に帰ることを伝えると、
主は、手土産に欲しい物を与えると言った。
そこで主に仕えていた老婆が、
男に白い犬をもらうよう勧め、
男は言われた通り白い犬をもらって地上に戻った。
すると突然、犬が白い皮を脱ぎ捨て、
先ほどの主の娘に変身した。
娘は男の生活を助け、やがて2人は結婚し、
幸せに暮らした」
どんなに文明が発達しても、
弓を使う生活は変わらず、
弓にまつわる話はほかにも数多い。
そこに行けば、厳しい自然との対峙の中で磨かれた、
彼らの弓術を目にするかもしれない。

~上海ジャピオン2012年6月29日号

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