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中国大陸ダーツの旅~金持ち村・華西村に行ってみた~

では早速、
華西村の様子をレポートといきたいところだが、
まずは、村の歴史や現状を紐解いてみよう。

創設当初の村民年収53元
華西村が誕生したのは、
今から約40年前の1961年。
江蘇省江陰市の東にある華士鎮内に創られ、
当時は、面積0・96平方㌔、
人口1520人、
1人当たりの平均年収は53元という
小さな農村だった。
この小さな村が大きな発展を遂げるのに、
切っても切り離せない人物がいる。
それは、初代華西村書記として活躍した呉仁宝氏。
その彼により進められた工場建設プロジェクトが、
村の運命を変える。
「農村は、
工業や商品作物に脇目を振らず、
自給自足用の穀物生産に力を注ぐべし」
と指示されていた70年代に、
呉仁宝氏はこっそりと小さな金物工場を開設し、
10年間で100万元以上の利益を叩き出す。
当時の国民の平均年収が
約400元だったことから、
その凄さを窺い知ることが可能だ。
工場が開設された当初、
2万5000元あった負債が、
あっという間に完済されたのは言うまでもない。

今年で84歳となる呉仁宝氏。
この人なくして村の発展はなかった

平均年収42・5万元に
その後も改革開放の波に乗り、
呉仁宝氏が起こした
村営の紡績企業や金属加工企業は成功を収め、
2001年には、
経済基盤の弱い周辺の16の村を合併。
これにより、村の面積は30平方㌔、
人口は約3万5000人に拡大したのだった。
村営企業は今や、
鉄鋼、肥料、繊維など70以上を数え、
出稼ぎ労働者約3万人を受け入れるなど
拡大路線をひた走り、
10年までに村営企業の総売上額は
500億元を突破、
1人当たりの平均収入は
約42万5000元に達している。
なお、農業収入はすでに1%程度になり、
創設当時の面影はすでにない。

一戸建てと車を無償提供
華西村の発展には、
独自の税制度が大きく関わっている。
まず村政府は、
村民の収入の8割を徴収し、
その後これを村営企業の株式に替えて
配分するのである。
つまり、
村民の収入を強制的に集め、
新たなプロジェクトに投資して、
さらに多くの利益を得るという仕組みだ。
利益の還元システムも整っており、
1家庭に対して400平方㍍以上の
一戸建て住宅と自動車を無償でプレゼント。
そのほかにも、
ガソリンの無料提供や医療費として
毎年8000元の支給、
大学までの学費の免除など、
あらゆる面で大盤振る舞いをしている。
また、50歳以上の女性と55歳以上の男性は、
毎月300~1200元の年金に加え、
米や野菜が支給され、
病院では無料診察が受けられるなど、
福利厚生も充実する。
昨年10月には、
中国で6番目の高さを誇る、
地上72階建ての準5ツ星ホテル
「華西龍希国際大酒店」を開業。
今年7月には、
1億元をかけて2機のヘリコプターを購入し、
無錫市まで約9分で結ぶ航空路線を開設するなど、
発展の勢いが止まらない華西村。
では続いて、
村の様子を覗いてみることにしよう。

 

村には張家港市経由で
華西村は、
上海の北西約130㌔にある江蘇省の村だ。
華西村が属する江陰市は、
隣接する中規模都市・無錫市が管轄するため、
交通の便の良い無錫市から
華西村へと入るのが一般的である。
しかし、ネットで調べると、
華西村は江陰市の西の外れにあり、
無錫市より張家港市の方が断然近いことが分かる。
そこで天邪鬼な取材班は、
果敢にも(?)
張家港市経由で華西村に行くことにした。
8月末のとある午後、
上海駅北広場近くの
「上海長距離バス総合ターミナル」を出発。
バスに揺られること約2時間、
張家港長距離バスターミナルに到着した。
地元の人に華西村への行き方を尋ねると、
さらにバスを3度乗り継ぐ必要があるという。
張家港から華西村までは20㌔弱と、
あまり遠くないので、
ここはタクシーで一気に向かう!

九重の塔は3ツ星ホテル
暫く走ると、
標識や建物名に「華西一村」
という文字が見えてきた。
建物などは特に豪華に飾られておらず、
少し拍子抜け感を覚えたその瞬間、
ドーンと中国的な〝九重の塔〟(写真①)と、
近未来的なガラス張りのビル(写真②)が
突如現れ、一同度肝を抜かれる。
その後、
「天下第一村」という
大きな文字が掲げられた門(写真③)や、
住宅エリアで家庭菜園を楽しむ
〝第一村人〟を発見し、
世界に名を轟かす華西村に来たのだ~
という感慨に耽るのだった。
〝九重の塔〟の近くで降ろしてもらい、
軽い高揚感を保ったまま、
まずは塔の見学に。
見た目は九重の塔だが、
中は3ツ星ホテルやお土産店、
アパレルショップが入る近代的なビルだ。
展望台があるということなので、
入場料20元を支払いエレベーターで15階に。
展望台に出ると、目の前には、
赤い屋根の全く同じ形状の一戸建て住宅が、
等間隔に整然と並び(写真④)、
これが華西村発展の象徴かと、
しばし見とれてしまうのだった。
これらの住宅は村民に無料で提供されたもの。
村民は一体どのような生活を送っているのか…
見てみたい!
そう思うと同時に塔を駆け下りる取材班。
すると、運良く住宅地区に帰ろうとする村民を発見!
幼児を連れて散歩をしていたおばあさんだ。

華西村に休みなし?
「日本から来たのかい?
そりゃ大変だったね」と、
温かい言葉をかけてくれるおばあさん。
少々きつい訛りに手こずったが、
家の一部の公開を承諾してくれた。
住宅地区はひっそりとしていて、
ベンツやアウディなどの
高級車は見かけるものの、
何となくゴーストタウンのような雰囲気が漂う。
実は人が住んでいないのでは
という疑問や不安を覚えた頃、
日産自動車の高級車・ティアナが
止まる家に到着(写真⑤)。
玄関をくぐり、
「お邪魔します!」と
元気よく声をかけるも反応がない。
週末だが、
家族は工場に働きに出かけているらしい。
なぜなら、
規則上、華西村には週末休みがなく、
春節などの祝日以外は基本的に働くそうだ。
日本人も真っ青の勤勉さである。
2、3階は見せてもらえなかったが、
家には計10部屋以上あり、
1階の客間には大型テレビに、
高級そうな木製の椅子が並ぶなど、
平均年収42万元という、
村民の裕福な生活ぶりが窺えた(写真⑥)。

甘~い料理に舌鼓
今回、
上手く華西村戸籍を持つ
おばあさんに会えたものの、
華西村の観光地やスーパー、
レストランでは、
村民に出会うことはなかなか難しい。
というのも、
村にはバーや娯楽施設が少ないこともあり、
村民は自家用車で隣接する張家港市や江陰市、
無錫市などに出かけるからだ。
そのこともあるのか、
地元の名物を食べようと
街でレストランを探すも、
四川料理や火鍋など別地方の料理を出す
レストランばかりだった。
結局金塔にあるレストランで夕食を食べて、
1日目の取材を終えることにする。
無錫名物の
甘いスペアリブや肉入り厚揚げ「油胚塞肉」(写真⑦)、
華西村ブランドのパイカルなど(写真⑧)を注文し、
1日の疲れを癒す。
中国一料理が甘いであろう
無錫エリアに属する華西村の味付けは、
やはり、強烈に甘いものだった。

展望台へ分速600㍍で
2日目、
中国的な獅子やゾウの石像に囲まれた、
ゴミ1つない清潔な道路を歩き、
超5ツ星ホテルと自称する
「華西龍希国際大酒店」へ。
村に着く直前に見た、
近未来的なビルだ。
ホテルに到着後早速、
日本でも報道された
純金の牛の置物を見ようとロビーに行くが、
牛の〝う〟の字も見当たらない。
フロントスタッフによると、
展示場所は60階で、
見学料が必要という。
しかも、その料金たるや、
1人100元!
牛を見るだけやのに何でそんなに高いんや
と不平を漏らすも、
ここまで来て見ない訳にも行かない。
展望台などの見学も含んだ、
セットチケット(260元)を購入して、
いざエレベーターに乗り込む。
まずは、
地上約300㍍にある展望台へ誘導される。
最高速度分速600㍍という、
上海環球金融中心にある
超高速エレベーターと同等のスピードで
上昇していくため、
あっという間に到着。
展望台からは、
金塔や住宅地区など村を一望でき、
遠くには、
村が作り上げた本物と瓜二つの万里の長城や、
天安門も見える(写真⑨)。

1㌧の黄金で作られた牛
続いて本日のメインイベント、
1㌧の純金を使って制作された
牛の像とご対面♪
燦然と輝く牛が鎮座し、
見た瞬間に、
思わず「おー」と声が上がる(写真⑩)。
同じ階にある、
金色を基調とした
プレジデントスイート(1泊約10万元)
前の置物に相応しいことこの上ない。
ほかの階にも、
銀や銅、鉄でできた牛の像が置かれ、
牛は華西村にとって
重要な位置を占めることが分かる。
なぜなのかという疑問は、
館内で放映されていた、
村の初代書記・呉仁宝氏の講演により解消した。
村が創設された1961年が丑年だったから、
牛を象徴としているのだそうだ。
安直だなと、
一同顔を見合わせ苦笑い。
だが、中国では、牛は忍耐力、
積極性の象徴であり、
それはまさに華西村が発展する過程で、
最も必要なものだったのである。
そんなことを考えているうちに、
上海へ帰る時間に。
取材班は、
街中に置かれる
様々な牛のオブジェに敬意を払いつつ、
中国一の金持ち村を去るのであった。

~上海ジャピオン2012年9月14日号

 

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