ゆく年くる年 やっぱり羊が好き♡

特集-P1-1

 

特集-P1-2

スパイシーな屋台料理

夏冬問わず屋台の定番である羊肉串だが、元は中国の、主に西の地方に住む回族やウイグル族がよく食べる料理の一つ。新疆ウイグル地区が特に有名で、上海を含むその他地域でも「孜然(クミン)」などスパイスを多用した、現地風の味つけをする。

羊は脂肪の多い動物だが、焼くと脂が落ちてジューシーに。特有の匂いも脂身から発するので、苦手な人はしっかり焼くのがオススメだ。

上海市内では、回族の人々が集まる「清真寺」の付近に出る屋台や、新疆料理専門店のものが本場の味わいを楽しめる。肉と脂身が交互に刺さって5元、大ぶりの串は10元程度。金属の串のまま食べる時は、串自体が熱くなっているので火傷に注意。

住:陸家浜路×南倉街

 

特集-P1-3

遊牧民の伝統的メニュー

モンゴルやチベット、ウイグル、回族の伝統的な料理。その名の通り、蒸した羊肉をそのまま手づかみで裂いて食べる。

上海の専門店ではキレイに盛り付けられ、味塩コショウを添えて出されるが、現地では丼に盛ってどん! と出てくるのだとか。また食中毒対策に、生のニンニクをかじりながら食べるそうだ。ニンニクはお代わり自由で、テーブルに備えつけられていることも。肉にはあらかじめ薄く塩味が付いているので、そのままで十分いける。

熱いうちに食べる場合と、ある程度冷ましてから、また蒸した後平鍋で外側をパリパリに焼いてそこを食べ、また焼くという3つの食べ方がある。

敦煌小亭

住:常德路333号(×北京西路)

電:6218・2579

 

特集-P2-1

客人をもてなす丸焼き

「烤全羊」、「全烤羊」、「全羊烤」と店によって呼び方は様々だが、要は羊の丸焼き。前述の2つとは異なり、大きな焼き窯のある店でなければ置いていない。

かつては新疆ウイグル自治区周辺の、貴族や地主など地位の高い人が、祝い事の際や客人をもてなす料理として食べた。清代にはモンゴル族が、王朝からの来訪者に振る舞ったそうだ。現在では誰でも食べられるが、店にも事前予約が必要だったり、大人数でテーブルを囲む場合でなければなかなかオーダーできなかったりするせいか、やはり祝い事に限られがち。

丸焼きと聞くとエグい外見を想像するかもしれないが、多くの店では頭も足先も落とし、内臓もすっかり抜いてから焼くので心配無用。

狼来了碳烤羊腿

住:胶州路990号(×長寿路)

電:6266・1577

 

特集-P2-2

好きな毛糸でオーダー

一般的に毛糸は、メリノ種(綿羊)の羊から採取した毛を原料とする。中国ではモンゴルの蒙羊やチベットの藏羊、新疆の哈薩克羊の毛が使われるが、最近ではヨーロッパや日本産の毛糸も品質がよく色の展開も幅広いとして、重宝される。

冬が近づくと、路地裏では編み物に勤しむおばちゃんたちの姿が多く見受けられるが、セーターやカーディガン類のオーダーメイド店も多数出店。国産・ヨーロッパ産・日本産の毛糸を揃え、カタログにあるデザインからオーダーできる。毛糸メーカーによる直営店もあるようだ。店内では、プロフェッショナルな雰囲気を醸したやはりおばちゃんたちが、目にも止まらぬ速さでセーターを編みあげていく。

TEALY

住:南昌路76号(×雁蕩路)

電:5382・9839

 

特集-P2-3

上質なカシミアを安く

カシミアを生むのはカシミアヤギ。羊を謳っておきながらいきなりヤギ! と思うかもしれないが、同じ「ウシ科ヤギ亜種」の動物ということで目をつぶってほしい。

南浦大橋近くの軽紡市場、通称「布市場」では、カシミアやウールの衣類のオーダーを承る。カシミアは軽くて暖かく、肌触りがよいため高値で取引される。しかし! ここはカシミアヤギの住む中国。海外にも輸出するほどの生産量を誇り、日本よりも安く手に入るのだ。

コートやジャケットのオーダーは見本を持参しても、また写真やデザインのラフでもOK。毛の長さや表面の処理、ウールの混じり具合によって価格が変わるが、最上質のものを選んでも日本より遥かに安い。

南外灘軽紡面料市場

住:陸家浜路399号(×南倉街)

 

特集-P2-4

親子仲良く餌やり体験

上海動物園の門をくぐって正面の草地を抜けたところに、羊とヤギの「小小羊村」がある。この中の売店では、野菜を細く切って盛り合わせたものを1皿3元で販売し、来園者に餌やり体験の機会を提供している。

参観ルートからは外れているため少々見つけにくかったが、訪れてみれば家族連れでいっぱい。近くに住んでいるのか、野菜類を持参しているファミリーもいた。

餌の野菜をチラつかせると、羊&ヤギは一目散に突進してきて、あっという間に食べ尽くされるのでご注意を。

上海動物園

住:虹橋路2381号(×虹井路)

 

特集-P3-1

国民に愛される羊の子

2005年に杭州テレビでスタートした、子ども向けのアニメ。正式名称を「喜羊羊と灰太狼」という。羊の子ども「喜羊羊」が、羊にとって天敵であるオオカミ「灰太狼」から一族を守るべく、あの手この手で奮闘するという、王道的な内容だ。

喜羊羊の両親は智羊羊、麗羊羊、ほかにも痩羊羊、美羊羊などいとこや友達がいる。灰太狼の息子である小灰灰は、羊を食べずベジタリアンを貫き、喜羊羊とは大の親友というところがミソ。

ストーリーは悪者を懲らしめるというアンパンマン的要素もあり、また知恵の働く喜全羊と間抜けな灰太狼のやりとり(駆け引き)は、『トム&ジェリー』を彷彿とさせるところも。子ども大喜びの国民的アニメだ。

 

特集-P3-2

羊を使った4つの表現

中国には、羊を含む十二支や動物に関することわざ(成語)がたくさんある。その中から常用的なものを紹介しよう。

①は宋代の禅書『無関門』から生まれた。転じて、見かけは立派だが質の悪いものを売ることを意味する、ごまかしの喩え。日本でも「羊頭狗肉(ようとうくにく)」として使われる。

②は、他者が自分に差し出したメリットは、元を正せば自分が払った代価のうちに含まれる、の意。例えば施主が大工に工事を発注し、大工が施主を接待する。その接待費用のことを指すのが、このことわざだ。

③は機を利用してほかのものを得る、タクシーに乗って運転手の持ち物を盗んでくる、といった意味。④は「失ってから対策しても遅い」という考えと真逆の教えで、失敗に学ぶことを肯定するものだ。

 

 

特集-P3-3

特集-P3-4

 

~上海ジャピオン2016年3月4日発行号

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