ロッククライミングを始めよう!



ロッククライミングとは中国語では「攀岩」

では早速、ロッククライミング体験レポート! と行きたいところだが、
その前にロッククライミングとはそもそも何だろう?
ロッククライミングとは、岩壁をよじ登ることで、中国語では「攀岩(pan1yan2)」と呼ばれる。
一般に、困難な山へ登ることを目的としたアルパイン・クライミングと、
純然と登ることを楽しむフリークライミングに分けられる。
上海市登山運動協会のトレーニング部門に所属する毛作亮さんによると、
「上海で手軽に楽しめるのは、フリークライミング」という。

フリークライミングは登り方のスタイルにより、
トップロープクライミング、
リードクライミング、
ボルダリングの3種類に分けられる。
そのうち初心者でも遊びやすいのが、
トップロープクライミングとボルダリングだ。
前者は天井から吊るされたロープで安全が確保される形態で、
墜落を伴わないので初心者も安心して挑戦できるだろう。
後者は最もシンプルな登り方とされ、
クライミングシューズと呼ばれる専用の靴さえ用意すれば、
自由気ままに1人でも楽しめるのが魅力だ。

多くの外国人も楽しむクライミングは女性向き

とはいえ、上海でフリークライミングを楽しめる施設は多くなく、
毛さんは「上海のクライミングジムは5軒程度で、
30軒以上ある東京には、全然及びませんね」と話す。
そんな状況でも、
上海最大級のクライミングジム「上海体育場攀岩運動中心」では、
会員数は300人を数え、上海在住の外国人も100人ほどが、
会員となってクライミングを堪能しているという。
クライミングというと、腕力のある〝男性のスポーツ〟というイメージがあるが、
女性で楽しむ人も多く、
上海ではその割合は半々とされる。また、
「女性の方が、男性より柔軟性や忍耐力があるので、
ロッククライミング向きと言えるかも知れません」と毛さんは解説する。
女性で二の足を踏んでいる人は、
恐れずクライミングに挑戦してみてはいかがだろう?

中国での歴史は浅い世界大会開催で機運上昇

中国でのロッククライミングの歴史は、
1987年に北京で開かれた「第1回全国攀岩錦標賽」と呼ばれる大会で正式に幕を開ける。
「中国で一般的に認知され始めたのは、
2001年に入ってからですね。
ボルダリングの歴史はもっと浅く、
03年頃からでしょうか」と毛さんが話すように、
中国ではまだまだ新しいスポーツだ。とはいえ、
上海では04年、05年、06年、09年に、
ロッククライミングの世界的な大会が開かれるなど、
盛り上がりの様相を呈している。では取材班による、
ロッククライミング初挑戦の様子を見ていこう!


 

巨大なスタジアムの中道具もレンタル可能

今回取材に訪れたのは、八万人体育場とも呼ばれる、
巨大陸上競技場「上海体育場」。
そこに、ロッククライミングを手軽に楽しめる屋内施設「上海体育場攀岩運動中心」があるのだ。8万人収容可能という巨大なスタジアムなだけに、
方向を間違うと、かなり歩くハメとなるので、
6号階段上1号スタンド入口を一目散に目指す。
施設に到着後、まずは受付でチケットを購入し、
クライミングシューズと、ロープを身体に結びつけるための道具「ハーネス」をレンタルする。
チケットは50元、レンタル料は各10元(要デポジット各100元)。
1人で遊ぶ場合は、
地面で安全を確保する要員「ビレイヤー」サービス費が必要だ(1回2元、最少購入枚数5枚)。靴のサイズは、中国で使われるサイズ基準なので注意したい。
日本の24㌢は38、25㌢は40、26㌢は42などとなる。

 


先生は上海2位の実力15㍍の絶壁に呆然

心持ち小さめのピッタリしたクライミングシューズを選び、
いざロッククライミングに挑戦するのは、
取材班一の筋肉美を持つヨウヘイ。
そして教えてくれるのは、上海市のスポーツ大会で、
スピードロッククライミングで2位となったこともある、
劉明輝インストラクターだ。 まずは、シューズとハーネスを装着し、
10分程ウォーミングアップ。関節を動かし、肉離れしないように、
じっくりと身体を温めていく。ウォーミングアップが終わり、
実際に挑戦する壁の前に行くと、間近で見る15㍍の高さに圧倒され、
呆然と虚空を見上げるヨウヘイだった。劉先生は、
「大丈夫、大丈夫」とヨウヘイを励ましつつ命綱をハーネスにつなぎ、
クライミング準備万端となった。

腕の力のみでは失敗的確な先生のアドバイス

まず挑戦するのは、一番簡単なDコース。
フラットな壁面に大きめの岩が設置され、
初心者でも登りやすいとのこと。まずは見よう見真似で岩をつかみ、
クライミングを開始。登る様子は御世辞にも美しいとは言えなかったが、
自慢の腕の筋肉をフルに使い、岩をがっしりと握り締め、
少しずつ登っていく。しかし、腕の筋肉だけを利用して登ろうとすると、
限界に達するのも早いようで、「あっ」というひと言を残し、
あえなく落下してしまった。だらしなくぶら下がり、
ゆっくり地面に降ろされるヨウヘイだった。
岩を10割の力でつかむと消耗も激しいから、
リラックスが肝心だと劉先生は指摘。
さらに「腕はピンっと伸ばし、腰は壁につけ、足は曲げる感じで登れば上手くいくよ」と、
実演しつつ教え、ヨウヘイも真剣にアドバイスを聞いていた。

ぎこちない動きも成功して思わず絶叫

再度言われた通りの動きをして登ろうとするものの、
やはり、ぎこちないヨウヘイ。ただ、岩をつかみすぎないという忠告は実践し、
劉先生の指示する岩をつかみながら頑張ること約5分。
ついに登り切り、1人で「ファイトー! いっぱーつ!」と叫び、
喜びを爆発させるのだった。登り切ると、次は下りるわけだが、
その際は落下するのと同じように手を離すだけ。ガッツポーズをしつつ、
誇らしげに下りてきたヨウヘイに、惜しみない拍手を送る取材班だった。
「先生の言う通りにすると、楽に登れましたよ。
どういう路線で登ればいいのか考える余裕はなかったので、
次はイメトレしてから、チャレンジします!」と、
ヨウヘイの頭は次のコースに向かっていた。

最難関コースに挑戦岩壁のバレエを鑑賞


続いてヨウヘイは、
果敢にも自分で安全を確保しつつ登る、
同施設最難関のリードクライミングに挑戦。
だがロープをカラビナに引っ掛けることもままならず、
すぐに脱落するのだった。そこでクライミング歴2年で、
普段は航空管制官をしている陳さんに、模範を見せてもらうことに。
〝岩壁のバレエ〟と呼ぶにふさわしい手さばきと足さばきで、
登って行く陳さん。瞬発力が試される絶壁にかかり、
観客から「休まず一気に行け!」と声援が飛ぶ。
困難な体勢から、思いも寄らない岩に足を掛け、
グイっと身体を引き上げる。
取材班も息を止め、一緒に登っている感覚を味わう。
そして見事絶壁を越え、頂点へ達したのだった。
「困難な岩壁に挑戦するのは、自分への挑戦でもあり、どんどん魅せられます」と、
達成感満点の笑顔で語ってくれた陳さん。
クライミングという芸術を体感し、高揚感を覚える取材班だった。

ボルダリングにも挑戦先生は縦横無尽に移動

興奮覚めやらぬ中、中国語で「抱石(bao4shi2)」というボルダリングも試してみることに。
ボルダリングは、ロッククライミングに必要なバランス感覚を鍛えるのにうってつけで、
登る以外に、横への動きなども学んでいく。
普通の運動靴で、
スイスイと美しいフォームで岩を縦横無尽に移動する劉先生。
一方ヨウヘイは、ついつい腕の力だけに頼ってしまい、
失敗の連続。あまりの不甲斐なさに、ふてくされてしまうのであった。
とはいえ初めてにしては、上手く登れた方ということで、
挑戦は大成功♪ 物足りなさそうな表情を浮かべるヨウヘイを連れ、
取材班は帰路に着いた。


~上海ジャピオン7月15日号

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