人の〝幸せ〟とは
私は考える男マートン。
最近、人にとっての〝幸せ〟を哲学しているが、
そう簡単に結論はでない。
今日も同テーマで思索しながら、
岳陽路までやって来た。
…おや?
あの店、
名前に〝人間〟の字が入っているとは、
なかなか哲学的だな。
入ってみるか。
近未来的な金属の自動扉を抜けると、
伝統的な石畳と竹が出迎える。
店内もまた、
鈍い金色に発光する階段や、
吹き抜け横の座席など、
外観と同じく趣向を凝らしているな。
これは、
小部屋(トイレ)も期待できそうだ…
何か良いインスピレーションが得られるかもしれん。
行ってみよう!
鏡の迷路の小部屋
なんだこれは!
小部屋(トイレ)がどこにあるか
全くわからんぞ!
壁は一面鏡張りかつ、複雑に入り組み、
まるで〝ミラーハウス〟のようだ。
他の客も、
なかなか個室を発見できていない…
あ、また目の前にあるのに
気づかず通り過ぎていった。
…フランスの童話『青い鳥』を思い出すな。
傍に幸せの青い鳥がいたにも関わらず、
他の地へ探しに行く…
私の探し求める真理も、
案外近くにあるのかもしれん…
よし、今日はもう帰って、
自宅の小部屋(トイレ)に籠るか!
ありがとう、いい小部屋(トイレ)であった。
~上海ジャピオン2012年8月3日号