考える男マートンと哲学の小部屋(トイレ)~Mistral

北風でクールダウン
私は考える男マートン。
今日も上海は暑い。
日課の哲学散歩中だが、
暑過ぎて倒れそうなので、
涼しい場所への避難を考えている。
おや?
あの店、
プロヴァンス地方に吹く
北風の名を店名に使っているのか。
火照った身体を冷ますのに良さそうだ。
行ってみよう。
木製家具に白く塗られた壁。
小窓が幾つも設置され、
爽やかな地中海の趣き満載だ。
メニューには様々なスペイン料理があるな。
ワインを頼んでと…
少々飲み過ぎた…
小部屋(トイレ)へ行くタイミングが来たな。

童話が象徴するもの
床の民族的なパターンのシートや
木製棚など、
暖かい雰囲気を持つ小部屋(トイレ)である。
便器横の黒板には
「紙を流さないで下さい」と
中国語&英語で書かれ、
外国人にとって親切だな…!?
…今、
店に隠された哲学的主張に気づいた。
店名の北風と、
提供される〝太陽の沈まない国〟
と呼ばれたスペインの料理、
これはイソップ童話『北風と太陽』の象徴だ。
童話には、乱暴で性急な手段ではなく、
優しく着実な手段で人は動く、
という教訓があった。
この黒板のように、
相手に親切な手段を用いると、
狙い通りに相手を動かせるということだな。
良い勉強になった。
ありがとう、いい小部屋(トイレ)であった。

~上海ジャピオン2012年8月24日号

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