東洋のベニスを走る
オレはウルフ。ロードバイク好きの留学生。中国の国道を自転車で旅してるんだ。
紹興は、古代~近代の文化人にゆかりのある場所だらけだな。夏王朝の始祖・禹(う)に書道家の王羲之(おうぎし)、文豪・魯迅の生家に、関連した建物もあるんだ。
大学の授業でも習ったけど、実際現地に行って見ると実感が湧くもんだよな。
今回、初めてじっくり地図見たんだけど、紹興って川の数がパネェ。曹娥江や澄澤江、黄澤江…少なくとも10本以上あるぜ。どうりで蘇州に並んで〝東洋のベニス〟なんて呼ばれてるわけだ。
昨日紹興酒を飲み過ぎたせいで頭がフラつくし、川を見ながらゆっくり走ろうっと。
今は市中心部から30㌔ぐらい離れた上虞区に向かってるところ。この辺りは川が少ないい代わりに、山が多いんだ。
臥龍山に東山、鳳鳴山…さっき観光案内所で聞いたんだけど、日本の天台宗の開祖・最澄が訪れた峰山っていうのがあるとか。ちょうど通り道だし、行ってみよう。
最澄が訪れた山
はあ、かなりキツイ山だったぜ。今から何百年も前に、この山を訪れた日本人がいたとはな。
さあまた国道に戻って、もうあと40㌔走ったら慈渓市、海がある街だ。家電の生産が盛んで、その量は山東省の青島や広東省の順徳市に並ぶとか。
しかもやっぱり経済活動が活発な長江デルタ地帯だから、高層ビルが多いな。
よ~し、明日は杭州湾、世界で3番目に長い「杭州湾跨海大橋」を見るぞ。今日は宿でゆっくりして、名産のヤマモモを食べて明日に備えよう。
ついに海が見えてきたぞ! さあ、次の街を目指してゴーイングハイウェイ!
~上海ジャピオン2015年6月12日発行号