食道をゆく 第4回 油条

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油条~浙江省杭州市~

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油条は中国各地で庶民の朝食として親しまれる

庶民の朝食代表
最初は腹いせで作られた

 中国の朝食代表と言えば、小麦粉に水などを加えてサクっと揚げた「油条」。
そのまま食べたり、豆乳に浸したり、お粥の具にしたりと、様々な料理で親しまれる。
小麦粉から北方をイメージする人も多いと思うが、そのルーツは意外にも、上海からほど近い杭州にあった。
 時は12世紀。中国の北方民族・金が、当時の王朝・宋を攻めてきた。
連戦連勝で名を馳せた宋の武将・岳飛に追い込まれた金は、
捉えていた南宋の宰相・秦檜(しんかい)を送り込み、秦檜は岳飛を無実の罪で処刑した。
その結果、宋は金と和平条約を結ぶこととなり、人々は秦檜を売国奴と攻めたてた。

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季節によって情緒が異なる西湖には、「西湖十景」と呼ばれるほど観光資源が豊富

 今の杭州にあたる臨安にあった、隣同士の焼餅ともち米団子の店主たちもその例外ではなかった。
ある日、2人で腹いせに、余った小麦粉を練って秦檜夫婦の形を作って油で揚げ、「油炸檜」と名づけた。
食べてみると美味しかったので、2人で一緒に商売を始めたところ、人々が各地からやってきて、全国に広まった。
手間を省くため、徐々に今のような2本の棒が合わさったような形となり、名前も「油条」になったという。
杭州では、焼いた春巻きの皮に挟んだ「葱包棍」(1個2元程度)など、アレンジを加えた食べ方で、今でも親しまれている。
 油条のルーツである杭州は、中国八大古都の1つとしても有名で、国家歴史文化名城にも指定されている。
杭州を代表する名所・西湖を訪れた際には、是非そのほとりにある岳王廟にも足を運び、
ひざまづいた秦檜夫婦の像を見て、その嫌われっぷりを実感しつつも、油条生誕への貢献をたたえよう。

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上海南駅から「動車組」(新幹線)で杭州まで。
約1時間20分、54元~。
5時台より1時間に3本程度。

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~上海ジャピオン8月7日号より

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