「横店影視城」で映画スターを気取る!

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横店ってどんなとこ!?

「ねーねー、『我是路人甲』観たよ~!」

「おう、どうだった? 」

「いや~、面白かったし感動した! 悔しいけど、めっちゃ横店行きたくなったわ(笑)。」

「だっしょ~、だから言ったじゃん!」

「この映画を観ると、横店がどういう街なのかが分かるよね。テレビドラマや映像の世界、スターに憧れる地方の若者たちがスーツケース1つで集まってきて、日雇いのエキストラになって…。」

「そうだね。この映画は主演のワン・グオポン(王国鵬)をはじめ、メインキャストは全員、実名のエキストラなんだよね。」

「監督は撮影前に4カ月かけて200人以上の〝横漂(地方から横店に流れ込み、不安定な生活をする人々)〟に取材したんだって。そこから、このストーリーが生まれたと。だから、すごくリアリティがある。」

Y「イー・トンシン監督といえば、『つきせぬ想い』(93年)や『ワンナイト・イン・モンコック』(04年)、『大魔術師〝X〟のダブル・トリック』(11年)の中国香港が誇る巨匠よね。その監督が『我是路人甲』みたいな商業映画とは一線を画した作品を撮るあたり、尊敬するわ~。役者への愛を感じるよね。」

「この作品には、すべての若者たちに夢や希望を持ってほしいという監督の想いが込められてるんだって。だけど、決して甘くない過酷な世界だってこともちゃんと描いてる。グズン…泣けるねぇ。」

Y「監督本人も出演してるし、友情出演のメンツもすごかった! ダニエル・ウー(呉彦祖)やチャン・チンチュー(張静初)みたいな本物のスターが、まさかのエキストラ扱い(笑)。」

「さぁ、こうしちゃいらんないわ、我々も行くわよ! 横店に!」

Y「おし、行ってみよう♪」

 

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大作映画が誕生した地

「到着~! え…何!? 横店影視城って1カ所じゃないの?」

Y「んも~、何にも調べてないのね。ここは街の中に全部で10カ所のテーマ別スポットがあるの。そのうち、メインは〝六大景区〟で、『秦王宮』、『清明上河図』、『夢幻谷』は隣接してて、そこから『明清民居』も歩ける距離。『明清宮苑』、『広州街・香港街』はかなり遠いから、移動はタクシーか三輪車に乗らなきゃ無理だね。」

「長年住んでおきながら、中国のテーマパークをナメてたわ…。」

Y「とにかく1カ所のスポットがだだっ広いから、1日で2、3カ所が限度だね。『夢幻谷』は子ども向けだからパスするとして、『秦王宮』から攻めるわよっ!」

「わ、わかった! へぇ、『秦王宮』はチェン・カイコー(陳凱歌)監督の『始皇帝暗殺』(98年)の撮影のために造られたんだって。チャン・イーモウ(張芸謀)の『HERO』や『PROMISE 無極』(05年)といった巨編もここで撮影されてるって。」

Y「ハリウッド映画『ハムナプトラ3』(01年)もだよ。」

「おぉ、門構えからして威厳があるっ! 赤と黒の王宮、カッコいいな~。あぁ、『HERO』のシーンが沸々と浮かんできた…。」

Y「妄想もいいけど、ワイヤーアクションの実演があるから見に行くわよっ!」

「ハイハイ。わっ、スゴイ! ワイヤーに吊られた状態で剣術って、映画じゃ普通に見てるけど、相当訓練しないと危険だよね。」

Y「ホント、かなりの高さまで吊り上げられるから怖いよ~。役者って大変な仕事だよね。」

「お、1階と地下は『HERO』博物館みたいになってて、撮影道具が展示されてるね。トニー・レオン(梁朝偉)の書道シーンで使われたデカい筆とかもある~。」

Y「ドサクサに紛れて兵馬俑があるのも、ご愛嬌…ってとこね。」

 

 

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皇帝コスプレでパシャ!

Y「さて、次は『明清宮苑』よ。 おー、故宮そっくりじゃん!」

「うぅ…元北京在住の私に言わせると、ハリボテ感は否めない。」

Y「また~、そういうこと言う! でも、『我是路人甲』の中で、主人公がニセ紫禁城を見たとたん感動して駆け出すシーン、あの気持ちがちょっと分かるよね。」

「ま、確かに。あら、紫禁城の中はコスプレ撮影所なの!? ほら、キンキラキンの玉座に座って、写真撮れるみたいよ。」

Y「よっしゃ! 撮るわよ。お、衣装は何十種類もあって、選びたい放題じゃない。私、コレ!」

「え? 皇后じゃなくて皇帝!? さすが、ここで撮影された『王妃の紋章』(06年)のチョウ・ユンファ(周潤發)も顔負けの体型と迫力だわ…。」

Y「失礼ねっ! 衣装代と撮影代(※マイカメラでの撮影も可)、プリント代込みで100元は安いわ。お見合い写真にも使おっと♪」

「あれ? 隣のブース見てよ。横店の役者だって。一緒に撮影できるみたいよ。」

Y「よし、撮ってもらおっと!」

「ギャハハ、ウケる! 的確な演技指導、さすがプロだわ~。ん? 『心付けとして最低80元』って看板に書いてある。」

Y「しっかり取るもんは取るシステムなんだね(笑)。」

「おっと、敷地内で騎馬戦の実演があるみたい。行ってみよ!」

Y「土煙上げて、やってるねー。これも相当、訓練が必要だよね。」

「騎馬戦専門の役者ってのがいるみたいよ。」

Y「ふむ。どーりで。よし、グルッと回って次行くか。」

「昔の商店街みたいなレトロな通りがある~。その奥に日本の国旗が見えるんだけど…。」

Y「あ~、ここ抗日ドラマの撮影所じゃない?」

「ホントだ。あらま、捕虜収容所にホステルって日本語で書いてあるわ(笑)。〝チャパニーズ〟に投稿しなきゃ!」

 

 

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明星気分で自撮ろう♪

Y「さてと、『明清民居』に着いたわよ。ここではピーター・チャン監督の『ウォー・ロード/男たちの誓い』(07年)や、ツイ・ハーク監督の『王朝の陰謀 刑事ディーと人体発火怪奇事件』(10年)が撮影されてるよ。」

「ふぅん。なんか、大きな湖があったり、緑が多くてのんびりした雰囲気だね。」

Y「この中には博物展や芸術展が点在してるらしいんだけど、どれもビミョー(笑)。」

「私もパス(笑)。景色もいいし、自撮りに専念するわ。どうせなら、お姫様気取りで薄いヒラヒラ生地の衣装で撮影したかったわ~。もしくは、迫力満点の『王朝の陰謀』のカリーナ・ラウ=即天武后とかね」

Y「しかしさ、こんだけ広いと自撮りし放題だし、自分の写真集が作れちゃうよね。何ならハンディカメラでプロモビデオ撮っちゃうとか(笑)。それくらいやってもOKな雰囲気だよね。」

「ほんと。各スポットにレンタル衣装があればいいのに~。もったいないわ。」

Y「そういや、ドラマのロケバスは見かけたけど、今回は残念ながら撮影現場は見れなかったね。」

「うん、残念! スターに会えなくても、撮影現場は見れる可能性が高いからね。それと今回、全部は回れなかったけど、ほかにも各スポットでいろんな実演があるんだよね。時代劇の上演とかさ。前もって時間・場所を調べて、スケジュール組んでおくべきだね。」

Y「そうだね。全部回りきるのは無理だから、興味があるものだけでもHPで事前にチェックだね。それとさ、コスプレ用衣装を持参すべきだったわ! ついでにカツラや小道具もね。」

「次回はコスプレフルセット持参、ヘアメイク同行でリベンジだわっ!」

Y「もう、勝手にやって!」

 

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~上海ジャピオン11月20日発行号

 

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