ゴールまであと少し

オレはウルフ。ロードバイク好きの留学生。中国の国道を自転車で旅してるんだ。う～ん、朝晩はかなり冷え込むようになってきたな。今日からまた、山腹をクネクネと漕いでいかないとだから、防寒には注意しなきゃ…。

成都市、雅安市を過ぎると、後はゴールまで小さな街がポツポツと続いている感じ。次の街「康定市」は「甘孜蔵族自治州」の州府。人口の７割をチベット族が占める、エスニックなところらしいぞ。あとフォトジェニックなスポットがたくさんあるというウワサ。自撮りが捗るな。

おっ、左側にひときわ高い山脈が見えてきた。てっぺんは雪が積もって真っ白だ。あれは「燕子溝」と呼ばれる山脈で、そこにある「ミニヤコンカ」って山は、今までに20人しか登頂に成功していない難峰なんだとか。雪の中の登山とか、考えるだけでしんどい…さすがにオレは挑戦しないぜ。

フォトジェニックな街

やっと康定市に到着。ん、この街中に流れる音楽は…？　地元の人に聞いたら、この歌はこの市を舞台にした民謡「康定情歌」っていう、すごく有名な歌だそう。せっかくだから兄ちゃんも覚えていけって、一緒に歌わされたぞ。

それで今日の目的地は、〝写真家の天国〟と呼ばれている村「新都橋鎮」。おーこれは…美しい山並みの手前に広がる畑、のんびりウシやヒツジを放牧しているチベット族の人たち…今は紅葉も相まって、どこを撮っても絵画みたいにキレイだ。よし、今日はここで夜まで粘って、オレの素晴らしい技術で最高の１枚を撮ろう。さあ、次の街を目指してゴーイングハイウェイ！

 

 

 

～上海ジャピオン2018年11月30日発行号