快適な眠りは、快適な睡眠環境から――。
上海に来た当初は、恐らく多くの人がIKEAやカルフールで寝具を揃えたのではないだろうか?
それらはこの春タンスの奥に片付けて、「軽紡(チンファン)市場」で、
お気に入りの寝具を新調してみてはどうだろう。
古北エリアから北西にタクシーで約20分。
曹安路沿いに、100㍍はあろうかという横長の建物が現れる。
そこが巨大布・雑貨市場「軽紡市場」だ。
ここは、上海市人民政府が1994年に中国全土・海外市場向けとしてオープンさせた、
軽紡織製品卸売り専門マーケット。
広さは約12万平方㍍で2000近くのテナントが入居し、様々なオーダーを取り扱っている。
建物内に入ると、ベッドカバーやシーツの既製品を販売する店やオーダーを受け付ける店が所狭しと並ぶ。
ほかにも、ベッドパッドやアクリル毛布、羽毛布団やシルク布団、綿やそば殻といった枕の中身などなど、
ベッド用品の品揃えは目を見張る充実ぶり。
また、このほかにも、カーテンや洋服に加え、ウエディングドレスのオーダーメイド、
絨毯や家具、雑貨の販売と多岐に渡るラインナップで、
広い建物内は、数時間かけてやっと見終われるほど見所満載だ。
今週は、この市場を活用して快眠環境を整える方法を指南!
睡眠環境を一新して、うららかな春の陽射しの中、気持ちよく眠れる環境を整えよう。
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ふかふかのさらりとした布団は、快眠に欠かせない。
湿度の高い上海では、綿布団は湿気て重くなりがちだし、また羽毛布団は埃が立ちやすいことも…。
そこで、上海の多湿気候にピッタリと言われるのが、シルク布団だ。
綿の約1・5倍の吸湿性、約1・4倍の放湿性があるとされるシルク布団は、
夏はもちろん、冬でも湿気の多い上海に最適。
繊維が強いため埃も出にくいので、埃に敏感な人や、アレルギー疾患のある人にもオススメとされる。
軽紡市場では、そんなシルク布団をリーズナブルにオーダーメイドできる店がいくつもある。
中でも1階の「桐郷人家」は、数百年の養蚕の歴史を持つ浙江省嘉興市の養蚕家の夫婦が経営している、
産直の100%シルクがウリの1軒だ。
料金は、1斤(500㌘)100元。
夏用シングルなら2~3斤、冬用シングルなら10斤程度が目安となる。
希望の分量を伝えたら、そこから作業スタート。
ふわふわのシルクを薄~く伸ばし、何層かに重ねて綿布をかぶせるという工程を重ね、15分程で出来上がる。
なお、急ぎの人には既製品もある。
また、布団カバーを同時購入する場合は、綿100%のものを+60元でつけてくれる。
シルクカバーは、枕カバー2枚、布団カバー1枚、シーツ1枚で1300元余りと、やや値が張る。
また、シルクの真贋が気になる人は、燃やしてみてもらおう。
100%シルクの場合は、燃やした場合一瞬にして炭化し、
その燃えカスをつぶすと粉々になるという特徴がある。
シルク布団がもたらす快眠効果を、一度体感してみよう。
桐郷人家
住所: 軽紡市場2区1階1023(5号門から入り、最奥の左手)
TEL: 135-8563-9239(中国語)
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春気分をもたらすシーツもまた快眠要素のひとつではないだろうか?
布団を揃えたら、次は枕カバー&シーツも新調!
既成品シーツ販売と、オーダーシーツの店は、2区1階に集中している。
100軒を超す専門店が軒を連ねており、ラインナップは幅広い。
日本人好みのシンプル系の店は少ないので、オーダーがオススメ。
写真の店は、ホテル向けのオーダーシーツを扱っており、シンプルなデザインが揃う。
ダブルの4点セット(枕×2、シーツ、布団カバー)で140元程度、シングルの3点セットなら85元程度だ。
また、オーダーで当日仕上げも可能。
所要時間は店によって異なるので確認しよう。
中には床に布を広げて採寸する店もあるので、衛生環境には注意。
このほか、既製品であれば、4点セットで65元というお値打ち品も。
ただ、安い生地を使っている場合は埃が立ちやすかったり匂いが気になったりすることもあるので、
手触りや匂いを確かめるのがベストだ。
枕のオーダーも可能
素材を選んで好みの高さに
なお、枕も種類多様。綿、羽毛、そば殻、ウレタン、低反発と様々に揃う。
オーダーであれば、綿は1斤10元前後。価格は品質により異なる。
詰め具合を自分好みにしてもらい、オーダーにするのも良いだろう。
ただし、オーダー枕といっても、日本のように「枕マイスター」などの専門家がいるわけではない。
自分の枕を持っていって、寝心地を比べてみよう。
上海素適貿易発展有限公司
住所: 軽紡市場2区1階1137-1138号
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安心して眠るには、適度な暗さも必要。
上海は、街全体が明るくて眠りにくいという人もいるのではないだろうか?
そこでオススメなのがカーテンによる明るさ調整。
ベッド周りを揃えたら、カーテンも新調してしまおう!
軽紡市場では、1区1階~2階にカーテン専用ファブリックを取り揃える店が並ぶ。
寸法さえ分かっていれば、注文から仕上がりまで即日仕上げの店もあり、急ぎの際にも重宝する。
各店品揃えは千差万別。
中国語の描かれた中華風のものや、中世ヨーロッパのようなロココ調のもの、
可愛らしい花柄のもの、またレースカーテンやロールカーテンもある。
しかし、寝室用カーテンとなればやはり遮光カーテンだろう。
遮光カーテンは光を通さない特殊繊維で作られており、透光度によって等級が分かれる。
遮光率100~99・99%で人の顔を認識できない程度、99・98~99・8%で人の顔あるいは表情がわかる程度、
99・79~99・4%で人の表情が分かるが作業には暗い程度。
写真の店では、遮光カーテンを専門に取り扱っている。
料金は1㍍あたり60元程度~だ。同店の場合は、オーダーに要する時間は約5日(土日除く)となっている。
遮光率は、生地を光に透かしてみて明るさを確認するのがベスト。
このほかの店でも遮光カーテンの取り扱いはあるが、特殊繊維を使った遮光カーテンではない場合も。
その場合は、遮光カーテンほどの遮光度は得にくいので、注意しよう。
華納紡織
住所: 軽紡市場1区1階1318
TEL: 6918-5136 (中国語)
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~上海ジャピオン4月2日号より