網紅(ワンホン)インタビュー

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網紅ってどんな意味? 宣伝のために使う場合も

話題の人、モノ、店…。近年のブームは、ほとんどがSNSや動画コンテンツから始まっていると言ってもおかしくない。それと同時によく使われるようになったのが「網紅(ネットで人気に火が付いた)」という言葉だ。今回の特集も「網紅人物(ネット上で人気の人)」がテーマなわけだが、本題に入る前にちょっとだけ、この「網紅」について説明しておこう。

「網紅」は元々「網絡走紅」を略した言葉。「網紅店」や「―面包」、「―電影」のように、ネット上で話題となった店や作品、人などの頭に付けられることが多い。ただし最近は商品の宣伝やプロモーションの一環として「網紅店」を自ら謳うところも多く、コンビニの商品ポップを見てはホントに話題になったの? と首をひねることもしばしば。一方「網紅」と2文字だけ表記されている場合、「網紅人物」を指すのが一般的。使い方や定義がかなり曖昧な言葉である。

では「網紅人物」は、日本で言うネットタレントやYouTuberみたいに、ネット上で活躍している人を指すのかと言えば、実はそうとも限らない。意図せず自分の写真や動画がネット上で拡散したり、全く赤の他人がアップした動画中で、本人も知らぬ間に人気になっていたりする人も総括して「網紅」と呼ぶ。というわけで「網紅=ネットタレント」と思っていると、思わぬ誤解が生じるかもしれないので注意しよう。

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人気のネットタレント 芸能人やプロゲーマーも

ところでYouTuberのように、ネット上で創作活動を展開する「網紅」も確実に数を増やしている。現在はどんな人たちが人気なのか、2017年に大手ネット検索サイト「百度」が発表した「2017網紅人気ランキング」を覗いてみよう。

上位10位のうち、男性が4人、女性が6人と、男女比はほぼ同じ。因みに日本のYouTuberチャンネル登録数ランキングでは男性6人、女性2人、男女混合グループ1組と男性の方が圧倒的に多い。職業別では、ネットタレントが7人のほか、映画俳優、モデル、プロゲーマーがランクインしている。

彼らの活躍場所は、一部を挙げると、動画サイト「嗶哩嗶哩(bilibili)」や「愛奇芸」、生放送を得意とした「斗魚」。これらのサイトに動画コンテンツをアップし、マイクロブログ「微博」でその宣伝やファンとの交流を図る。また近頃は動画アプリ「快手」や「抖音」が人気を集めるなど、話題性のあるサイト・アプリは日々変わっており、網紅にとってはどこに投稿するか、どうやって管理をするかが悩みの種であると言う。

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ミニブログ「微博」でのフォロワー数が100万人を突破、自身が出演・編集した動画の累計再生回数が約11億回を超えるなど、〝中国で最も人気のある外国人ネットタレント〟と言っても過言ではない、山下智博さん。今も宮崎さんらとチームを組み、絶えずネットを賑やかす彼らの、人気の秘密をインタビュー。楽しい動画の裏に隠された、熱い思いや苦労が見えてきた…!

ユーザーのニーズに応える

山下さん、宮崎さんらが主演する『紳士の1分間劇場(紳士大概一分鐘)』などの動画番組で、扱うことの多い話題が「日本の土産、何が一番おいしいの?」や「東京での物価はどんな感じ?」など、日本の文化や生活に密着したネタ。これは「微博」で中国人ユーザーから寄せられた質問をピックアップしていることが多いと言う。「中国人が持つ日本に対する疑問に動画で答えるというのは、僕の動画の基本的なコーナーの一つです。」とは山下さん。確かに動画内で一つ、二つと日本のグッズや情報が出される度に、「これ知ってる、おいしいよね!」「え、交通費ってそんなに高いの?」など大量の字幕が画面を覆い尽くし、視聴者の反応はバツグン。中国人ユーザーのニーズに応えるのは、ヒットを飛ばす要因の一つであると言えるだろう。

外国人から見た中国のよさ

一方で「地下鉄改札口をQRコードで通過してみた」や「支付宝(アリペイ)のAR機能で遊んでみよう」など、上海の今を話題にした動画も多い。でもこれって、中国人の方がよく知ってるし、需要がないのでは…?という疑問をぶつけたところ、山下さんは「実際、近年の中国ハイテク技術の進歩は目覚ましいし、一方で中国の若い人は外国人が今の中国をどう見ているのかが気になっています。僕たちはその期待に応え〝外国人の反応〟というスタンスで今の中国を切り取っています。頭の中で逆に、外国人が日本でどんな動画を作れば日本人が喜ぶか、ということは常に考えています」と説明。なるほど…と思わずうなずいた取材班だった。

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〝ディアオスー〟文化の伝道師

 ところで山下さんの出で立ちと言えば、ペッタリとした七三分けにレトロな眼鏡。空気人形と同棲するなど、行き過ぎた(?)オタクスタイルが特徴だ。中国に来た当初からこのスタイルで活動を続ける裏には、中国人男性の味方になりたい、という思いが隠されていた。「僕が上海に来た頃に、ちょうど〝屌絲(ディアオスー、クズ人間の意)〟という言葉が流行始めて。でも中国では日本と違い、まだまだ社会からはみ出した人たちの生きる道が少ないなと思いました。だから僕が〝日本屌絲〟として出てくることで、支えになれればと」と山下さん。「身長が低い、髪型もダサい、変態的嗜好を持っている…こんなヤツでも活躍できるんだぞ、ということを伝えたかった」と話す。山下さんが成し遂げたのは〝屌絲〟文化の逆輸入だったのだ。

動画コンテンツの未来

現在は7人チームで動画制作を手掛ける彼ら。最後に今後の展望を尋ねると「今までは日本の文化を中国に紹介することを主としてきましたが、現在はそれだけでは足りない。中国に進出したい芸能人やサービスをバックアップするなど、もっと多くの人を巻き込んでいきたい」とのこと。そして宮崎さんが紹介してくれたのは、中国版バーチャルYouTuberのプロデュースだ。日本ではブームから数カ月で、国内YouTuber市場の10%を占めるほどの人気を誇るバーチャルキャラ。中国では一体どんなキャラが活躍しているのか?次のページで紹介しよう。

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萌え系弟キャラが降臨

「バーチャルYouTuber」という存在をご存じだろうか? 架空の3Dキャラクターが疑似YouTuberとして活躍。ネット上で様々な情報を配信し、日本をはじめ海外では、実在のYouTuberに引けを取らぬ活躍ぶりだ。

2018年1月、ついに中国でもバーチャル網紅が登場した。「DD」という名の彼は、メガネを掛けた童顔の弟系キャラ。可愛らしい声で中国の最新情報を紹介し、時にはファンの質問に答えたり、「壁ドンして」や「年上キャラっぽいことして」というリクエストに応じたりしている。「微博」のフォロワー数は現時点で2360人とまだまだ奮闘中ということだが、コンビニチェーン「ローソン」のPR大使を務めるなど、急速に活動の幅を広げているようだ。

 3Dキャラを使う理由は?

このキャラの特徴について宮崎さんに伺うと、まず日本人受けのよさが挙げられた。「実在する人物が紹介すると角が立ちそうなことであっても、キャラクターを使えばニュートラルに伝わる。元々日本人がキャラ好きなのもあって、DDの放送を楽しみにしている日本人ファンは多いです。」とのこと。

また放送内容に、様々な人の意見を反映できることもメリットの一つ。実在する人物だとその人の性別や個性によって、できることが限定されがちだが、DDは女装や流行語も難なく取り入れ、配信内容にバリエーションが出ると話す。今後もDDだけでなく、様々なキャラが登場予定だそう。DDを筆頭にバーチャル網紅が中国でブームを起こし、中日交流の懸け橋となる日はもう間近である。

 

~上海ジャピオン2018年4月27日発行号

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