老師のオススメ!
この本は、『阿Q正伝』や『藤野先生』で知られる魯迅による、唯一の恋愛小説なの。
封建社会への抵抗と新しい思想、そして恋愛と結婚の違いに言及した作品よ。
主人公・涓生の手記という形で綴られているところが、とってもリアル。葛藤や後悔が、ありありと伝わって来るの。
また、子君の純粋で深い愛情、それを行動で表す健気さも、注目したいポイントね。
愛と理想だけではうまくいかない現実の厳しさが表れて、そこに魯迅の志の高さと強い主張を感じることができるわ。
恋愛と真剣に向き合う人に、ぜひ読んでほしい小説ね。
あらすじ
涓生は知識人であり、当時、中国で広まりつつあった「個性の開放」、「恋愛の自由」、「男女平等」といった考えを持っていました。
そして同じく先進的な考え方を持つ女性・子君と出会い、恋に落ちます。2人は周囲の反対を振り切って共同生活をスタート。
しかし、涓生と子君それぞれが持つ弱さ、求めるものの違い、そして現実的な生活苦に襲われます。
両者の関係が徐々に壊れていく中、涓生はある日、とうとう決定的な一言を放ってしまい…。
理想と現実の乖離、男女の考え方の違い、旧来の思想に対する反発、新たな思想の欠点を示唆。
短編でありながら、奥深い内容の作品です。
~上海ジャピオン2015年1月30日号