思い出のエスプレッソ!
荒木さんの紹介で伺ったのは、エスプレッソが大好きな座波陽子さん。ほろ苦い味に、イタリアでの時間を思い出す
イタリアで知った
エスプレッソの美味しさ
デミタスカップに注がれた、一杯のエスプレッソ。口に運ぶと、クリーミーな泡が舌を包み込み、心地よい苦味と深い香りが身体の奥にしみ渡る。
「立ちのみのバーで、きゅっとあおるように飲むのがイタリア流。私も散歩中に、よく飲みました」とエスプレッソの思い出を語る座波陽子さん。
陽子さんは、学生時代の旅行をきっかけにイタリアに魅かれ、1年間、遊学した経験を持つ。大学卒業後、2年半、働いてお金をためて単身で渡伊。当初、イタリア語はほとんど話せず、滞在許可証の申請から下宿先との交渉まで、苦労の連続だったと話す。
「語学学校は午前中だけだったので、午後は、ひたすら街を歩きました。目についたバーで、イタリア人のおじさんと肩を並べて、お茶がわりに一杯。それが本当においしくて」
初めての海外生活だったが、滞在先のフィレンツェは、どこを歩いても絵のように美しかった。そしてエスプレッソをはじめ、パスタ、チーズなどイタリアの食の美味しさにも改めて開眼し、1年の遊学生活はあっという間に過ぎたと言う。
(右写真)エスプレッソにパンナコッタを添えて
昼下がりの一杯が
上海生活のうるおいに
イタリアから帰国して5年後、伴侶を得た陽子さんがやって来たのは、上海。時をとめたようなたたずまいのフィレンツェに対し、日々、変化するこの街でも、陽子さんとエスプレッソの関係は続いている。
朝食時に、ミルクを入れて。夜、家族が寝静まったひとときに、ゆっくりと。なかでも、陽子さんが好むのは日中、1歳になる娘が昼寝をしているときの一杯。「この子が成長したら、いつかまたイタリアへ――」エスプレッソを手に、陽子さんは思いを馳せる。
イタリア人直伝のブロッコリのショートパスタにブルスケッタ
座波陽子さんと千咲子ちゃん
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栗林さん
~上海ジャピオン8月1日発行号より