ラオポビン
老婆餅
~広東省潮州市~
サクサクっとした食感が美味しい老婆餅は、1個2元程度
老婆ではなく奥さん
愛し合う夫婦の愛の産物
中国の街を歩いていると、路上でよく売られているのが、この老婆餅だ。
中国では有名なお菓子のひとつで、米粉に油脂と砂糖を混ぜた甘い餡を、
サクサクっとしたパイ状の皮で包んである。
日本語では「おばあさん」を意味する〝老婆〟だが、中国語では「妻、奥さん」を表す。
その名の通り、誕生の由来にはある献身的なひとりの妻が関わっていた――。
時代は定かではないがその昔、今の広東省潮州市に、家計は貧しいがとても愛し合っている夫婦がいた。
しかしある時、不幸にも夫の父親が病気で倒れてしまう。
当然、貧しい2人には治療費を払う余裕がなかった。
そこで義父のために嫁は、お金持ちの地主に身売りすることを決意し、そのお金を治療費にあてたのだ。
唐代に創建された開元寺
妻を失った夫はそれでもめげず、何とかお金を稼いで妻を取り戻そうと、食べ物の研究を進めた。
そして年月が過ぎ、夫はついに絶妙な味の焼き菓子を作ることに成功。
それを売ったお金で再び妻を取り戻し、2人は再び幸せな生活を送ることができるようになった。
そうして、その焼き菓子は夫婦のエピソードとともにどんどん広まっていった。
そこで人々は妻の孝行さに感心し称え、その焼き菓子を「老婆餅」と呼ぶようになったのだ。
ちなみに現在では、老婆餅と対をなす「老公(夫、旦那)餅」という菓子も売られている。
甘い老婆餅と違って、こちらは塩味なのが特徴だ。
親に孝行する思いと夫婦の愛が込められたこの老婆餅。
お嫁さんの思いを一口ひとくち噛み締めながら味わおう。
【アクセス】
上海虹橋空港から広州新白雲空港まで、空路にて約2時間、
広州東駅から潮州駅まで空調快速にて約7時間、硬座70元~
~上海ジャピオン10月8日号より