食道をゆく 第66回 徳州?鶏

ドゥージョウバージー
徳州?鶏~山東省徳州市~

時代を超え、中国の多数の重鎮たちがその味に唸った「徳州?鶏」


三百余年の歴史をもつ鶏失敗から見つけた成功
徳州?鶏」は、山東省徳州市の名物料理。
この料理は、
10週間ほど飼育された厳選の若鶏を材料とする。
下処理を終えた鶏を高温で揚げ、
長時間煮込んで仕上げた、全体に輝く色艶と、
柔らかな肉質が特色だ。
今や〝天下第一鶏〟として、
その名は全国に知れ渡っている。
では、今日に至るまでにどういう道を歩んだのであろうか?

北京に始まり杭州に至る京杭大運河。
2000年以上の歴史を誇るこの大運河は、徳州市を南北に走る

時は清朝。当時の徳州市では、
明代より伝えられた、鶏を丸ごと揚げた後、
数分煮込んで作る「焼鶏」という料理が
明代より伝えられていた。
その徳州に、賈健才なる人物が開いた鶏料理店があった。
ある日、彼が鶏を煮込んだまま外出すると、
店番をしていた店員が誤って鶏を煮込み過ぎてしまった。
戻ってきた賈健才は、それを見るなり、
慌てて鍋から鶏を取り出し、
匂いを外に出すために入口に掲げた。
すると鶏の香りが通りに漂い、
街ゆく人がその独特の香りに引きつけられ、
なんと5分もたたないうちに売り切れたのだ。
それを見た彼は、これまでのように数分煮るだけでなく、
とろ火でじっくり煮込めばいいのだ、と思いついた。
そして、これが現在の「?鶏」の作り方になったのだ。

徳州市郊外にある海島金山寺。
唐の三蔵法師がこの寺で産まれたとの伝説がある
彼の鶏料理は完成したが、まだ名前がない。
そこで隣町の学者に名を付けてもらうよう頼むと、
学者は作り方、香り、味から判断して「五香脱骨?鶏」と
命名。翌年の元宵節でこれが出され、
徳州中で話題の料理になった。
やがては南北を結ぶ「京杭大運河」に乗って、
全国にその名が知れ渡ったのだ。
今や「?鶏」と略称で親しまれているこの料理。
偶然の産物である伝統的鶏料理を、
ぜひ現地で味わいたいものだ。

?【アクセス】
上海駅から徳州駅まで、動車組で約8時間半、2等席257元~

~上海ジャピオン7月01日号

 

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