食道をゆく 最終回 太白鴨子

タイバイヤーズ 太白鴨子~四川省江油市~

眩暈や腰痛などに効果があるとされる
クコやサンシチなど漢方の材料を使用し、
薬膳料理的側面も持つ「太白鴨子」

政治官への果てなき想い稀代の大詩人の手料理

「太白鴨子」は四川の悠久の歴史をもつ伝統料理。
長年醸造させた黄酒、クコの実、家鴨一匹などを使う。
下処理を終えた家鴨に、
酒、塩などを入れて臭みを取り、
蒸し器でネギ、生姜、
そして前述の品とともに3時間蒸せば完成となる。
今でこそ、四川料理の1つに数えられているが、
それに至るまでどういう道をたどってきたのであろうか。
時は唐の玄宗皇帝が国を治めていた頃の話だ。
当時、詩人としてその名を知られていた李白は、
玄宗皇帝にその才を認められ、
学者としての重用の招きを受け入京。
実は李白には
国家の政治に関わろうという意志があったため、
早速、自身の政治論を展開し、
皇帝と議論する形になった。
しかし、皇帝の中で李白は詩人でしかなく、
政治上の役割で李白を召そうとはしなかった。

〝詩仙〟と呼ばれた唐のロマン主義詩人李白を
記念して建てられた李白紀念堂

学者の地位に甘んじることができなかった李白は、
何度も皇帝にその意思を示したが、
皇帝はそんな李白を気にも留めず、
2人はだんだん疎遠になっていった。
ついに李白は最後の手段として、
今度は料理で皇帝に取り入ろうとし、
かつて四川で食べた家鴨料理を自ら調理し、
皇帝に捧げたのだ。

李白も子供の頃、遊んだ 竇?山。

これを食した皇帝は、その味を絶賛。
早速この料理を「太白鴨子」と名付け、
宮廷料理に入れるよう命じた。
結局、それでも李白を政治家として
重用することはなかったというが、
名前と料理だけは残り、
今日まで伝えられてきたのである。
最後まで重用されなかった
李白の切ない思いが込められたこの家鴨料理を、
ぜひ詩の主人公になりきって食べよう。

?【アクセス】
①上海駅から江油駅まで、
快速列車で約32時間半、2等席242元~
②上海浦東国際空港から綿陽南郊空港まで
空路で約3時間、綿陽駅から江油駅まで
快速列車で約40分、2等席12元~

~上海ジャピオン7月08日号

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