白鳥の始祖伝説? 多彩な伝統音楽
カザフ族は、
中央アジア西部のカザフステップに広がって居住しており、
中国国内の新疆ウイグル自治区には
そのうち約130万人が住んでいる。
新疆ウイグル自治区のイリ・カザフ自治州ほか3つの自治県は、
カザフ族の区域自治単位となっており、
近代の定住化を経て一部が農耕民となったが、
いまだ遊牧生活を送る者もいるという。
カザフとは「白鳥」、「自由人」という意味を持つが、
彼らには古くから伝わるこんな伝説がある。
その昔、ある若い狩猟が戦争で負傷し、
城壁を彷徨っていたところ、
1羽の白鳥が舞い降りて彼を救った。
そして白鳥は美しい少女に姿を変え、
2人は結婚し、生まれた息子に「カザフ(白鳥)」と名付けた。
人々は今でも、白鳥を聖なる鳥とし、
少女たちは白鳥を恋のシンボルと信じているという。
カザフ族の夫婦。
女性は色鮮やかなドレスの上に、
黒字に金の刺繍を施したベストを着る
カザフ族の代表的な弦楽器「ドンブラ」で
弾き語りをする吟遊詩人「アクン」は、
伝統的な系譜を歌い継いでいる。
中でも「アイトゥス(アクン弾唄会)」と呼ばれる
歌の祭典には、自治区内各地から歌い手たちが集まり、
即興の歌を競い合う。
またこの祭典は、
情報交換や交易の場としても大きな存在となっており、
屋台や衣類・雑貨を売る店で賑わうとか。
ほかにも、子守唄「ベシク・ジュル」や熊の踊り「アユ・ビー」、
ドンブラの独奏「アクアラル」など、伝統的な楽曲は実に多彩だ。
2. カザフ族の家族。家は自分で建てるという
3. カザフ族の伝統的な塩味の揚げパン「ボルザック」。
モチモチとした食感が好まれる
イリ・カザフ自治州アルタイ地区の「アルタイ」は、
モンゴル語で〝金〟を意味する。
この地方では金を産出するほか、
〝アルタイ大尾羊〟が有名。
原始林や湖沼の豊かな資源に育まれた人々の、
豊かな暮らしに触れる旅がオススメだ。
~上海ジャピオン9月30日号