蒸気機関車に膨らむ妄想
昔の上海駅に感じる懐かしさ
男「さあ行くんだ~その顔を上げて~♪」
女「また『銀河鉄道999』歌ってるの? よく飽きないわね」
男「あのアニメが大好きなんだから、しょうがないだろ」
女「どうせ、メーテルみたいな金髪美女と列車で旅したいな~って思ってるんでしょ」
男「ドキッ、何でわかったの? そうなんだよ、昔からメーテルと一緒にいる星野鉄郎が羨ましくて…。そうだ君、髪を金色に染めないか? 一緒にメーテルと鉄郎ごっこしようよ」
女「えっ? メーテルと鉄郎ごっこって何よ?」
男「そりゃ、機関車の停まったプラットホームで、離れていく君に向かって俺が〝メーテル~!〟って叫ぶんだよ。この映画の感動の名シーンを再現するのに、君の力が必要なんだ」
女「そんな恥ずかしいことできるわけないじゃない。第一、機関車が停まったプラットホームなんてどこにあるのよ」
男「それがどっこい、上海にあるんだな~」
女「どこに?」
男「上海鉄道博物館。格好良い機関車が、客車を引いている写真をネットで見たもんね~」
女「そんなことよく調べてくるわね。ほんと感心するわ」
男「君が金髪にするのは諦めるから、今週末一緒に行こうよ」
女「恥ずかしいことしないって約束してくれるなら、考えるわ。そこ何か面白いものあるの?」
男「そうだなあ、清代から現代の、上海鉄道の発展の様子を示した写真とかどう? 特に昔と今の上海駅の駅舎を比較した写真とか、面白そうだろ?」
女「そういえば、私たちが10年前に旅行で来た頃の上海駅って、小汚かったわよね。今思うとそれが懐かしいわ」
男「租界時代の駅舎はかなりオシャレだったみたいだぞ」
女「え~、それは見てみたい」
男「日本じゃ今やなくなりつつある、改札バサミの展示もあるらしいよ。分厚い切符に、ハサミの入ったギザギザの跡とか見ると、子どもの頃を思い出すだろうな~」
女「ふ~ん、私の所は子供の頃から自動改札だったけど」
男「えっ、ホント? 俺んちってそんなに田舎か…。でも君の所も切符は純金じゃなかっただろ。ここではものすごく価値のありそうな、純金の記念切符があるってさ」
女「なんか展示ばかりね。普通は体験系もあるんじゃない?」
男「そういや、リアルな列車運転シミュレータがあるらしい。機器がバーンと並んだ、列車の運転室が再現されてるって。でも、運転操作できるのは係員だけというのが玉に瑕。くそ~、俺が列車を一番上手く運転できるんだ!」
女「ハイハイ、列車が運転できるゲーム買ってあげるから、週末は家で静かにしててね」
【information】
住所: 天目東路200号(×康楽路)
電話: 5122-1987
時間: 9時~11時半(11時チケット販売停止)、14時~16時半(16時チケット販売停止)
料金: 10元
休館日: 月、日曜日
アクセス: 軌道交通3、4号線「宝山路駅」1番出口より、宝山路を南へ徒歩3分。天目東路を西へ曲がり、さらに徒歩3分。
~上海ジャピオン9月26日発行号より