食道をゆく 第9回 臭豆腐

voice1275

チョウドウフ
臭豆腐
~北京市~

voice2234
開けると強い異臭を放つ従来の臭豆腐は、瓶詰めで8元程度

その名の通り臭い豆腐
科挙に落ちた男の意外な発見


 中国の街を歩いているとふいに漂ってくる異臭。
その正体は大抵、臭豆腐だ。
臭豆腐は納豆菌と酪酸菌を発酵させて豆腐を漬け込んだもの。
発酵の過程で発生するアミノ酸が匂いの元で、独特の風味にヤミツキになる人も多いが、
中国人でも食べられない人もいるという。
この癖のある食べ物は、ある男の物忘れから誕生した――。
 時は清朝康熙年間。
安徽省出身の王致和という男が、官僚登用試験「科挙」を受けに北京へやって来た。
しかし残念ながら不合格となった男は、北京に残り次の試験に備えることを決意。
生計を立てるために、実家の豆腐屋で幼い頃学んだ豆腐作りの商売を始めたのだった。
 しかし夏は売れ残った豆腐にカビが生えてしまう。
そこで男は豆腐を長持ちさせるため、豆腐を賽の目に切って陰干しして乾かし、
それを塩辛い漬け汁に漬けておいた。
その後試験勉強に励んでいた男は漬けた豆腐のことをすっかり忘れてしまい、
秋になってようやく思い出した。
開けてみると、青く発酵して酷い臭気がしたが、臭気の中にも良い風味がした。
試しに食べてみると、大変美味しく街の人からも賞賛を受けたため、
とうとう男は科挙をあきらめ、本格的に臭豆腐の商売を始めたのだった。
その後、揚げたものなどに改良を加えられつつ、中国全土に広まった。

voice3214
訪問可能な万里の長城のうち最も有名な八達嶺長城

 臭豆腐の生誕地である北京は言わずと知れた中国の首都。
万里の長城や故宮博物院などをはじめ、世界遺産に登録された観光名所も目白押しだ。
揚げたものは屋台などで5~6個2~5元で買えるので、観光の合間にパクっと味わおう。

voice4132
【アクセス】
①上海虹橋または浦東空港から北京首都空港まで飛行機で約2時間
②上海駅から「動車組」(新幹線)で北京まで約10時間

~上海ジャピオン10月16日号より

最新号のデジタル版はこちらから




PAGE TOP