水滸巡礼~108の足跡~蔡慶(さいけい)

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髪に花を挿す牢役人
蔡慶(さいけい)

ゆかりの地 浙江省金華市永康市
あだ名 一枝花
職業 死刑執行人
宿星 地損星

河南省邯鄲市の政治拠点、北京大名府で、兄の蔡福(さいふく)と府の牢獄を取り締まっていた。冤罪で捕らわれた盧俊義(ろしゅんぎ)の破獄を助けたことに起因する一連の騒動に巻き込まれ、梁山泊に入る。方臘の戦いの後は故郷に戻り、平民として生涯を過ごした。

盧俊義の運命を握る
迫られる梁山泊への加担

蔡慶は北京大名府の牢役人。相手を威圧するような、大きく鋭い眼と濃い眉を持つ。そんな外見にも関わらず、髪には花の飾りを挿すなど、小粋な一面があったことから「一枝花(いっしか)」と呼ばれた。

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金華ハム。中華料理の高級食材。脂肪が少なく、赤身に良質な甘みを有した豚が原料に使われる

ある日、梁山泊の柴進(さいしん)が、蔡慶の兄・蔡福に金1000両を押し付け、大名府に投獄された盧俊義の助命を要求。柴進は彼に何かあれば、府の役人を皆殺しにすると脅した。蔡慶は小心者の兄に対し、1000両をばら撒いて、盧俊義を流刑にさせるよう提案。ここで梁山泊に恩を売っておけば、後で何かの役に立つかもしれないと説いた。

兄弟は早速金を配り、盧俊義は死刑を免れ、流刑に処された。ところが、護送中、彼の家臣、燕青(えんせい)が護送役人を殺し、盧俊義を救出する。再び捕えられ、盧俊義は今度こそ死刑を免れない。執行役は蔡兄弟だ。そこへ、梁山泊の石秀(せきしゅう)がこれを阻止しようと飛び込むも、ともに捕まってしまう。騒動で刑が先送りになった盧俊義と石秀に、蔡慶は食事をこっそり届けるなどして面倒を見る。この後、盧俊義らを救出した梁山泊が攻め入り、2人は解放。蔡兄弟もこれを機に府から逃げ、牢破りの手引きをした功績で入山することになった。

入山後は、引き続き処刑人を務める。物語では主に兄弟で登場。戦にも参加するが、兄は方臘の戦いで戦死。蔡慶はその後、関勝(かんしょう)に従って大名府に戻り、平民として平和に暮らしたという。

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国家特別名勝区に指定されている奇勝、方岩景勝区。奇岩、湖、五峰など8つの見どころを有する

蔡兄弟が方臘の戦いで訪れた浙江省金華市永康市。かつて、三国志の呉の王・孫権(そんけん)の母がこの地で倒れた時、「永保安康(永久に安らかに)」と祈ったことに由来し、この名が付いたとされる。兄を失った蔡慶もまた、この地で兄の永遠の眠りを祈ったことだろう。

【アクセス】
上海虹橋駅から金華西駅まで、高速列車で約3時間、2等席103.5元。金華西駅から永康駅まで快速列車で約1時間、硬座10.5元

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~上海ジャピオン2014年8月1日号

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