トラックで次の都市へ

オレはウルフ。ロードバイク好きの留学生。中国の国道を自転車で旅してるんだ。この国道の旅日数もいよいよ２桁台に突入。ずっとバイク漕ぎっぱなしだから、いいかげん足がパンパンなんだよな…。ケガするといけないし、今日は久々のヒッチハイクで脚を休めよう。そこのお兄さん、よかったら途中まで乗せてって、謝謝～！

運よくトラックに乗せてもらって一安心。オレもそうだけど、長距離トラックの運転手も基本は１人だから、話し相手ができてうれしそうだぜ。なになに、今年の旧正月は帰省できなかったから、故郷が懐かしいって？　そう言えば、オレも長いこと日本に帰ってないなあ…。ちょっとホームシック。そんなオレらが向かう次の都市は懐化市。懐かしい都市か…、ノスタルジックな響きだぜ。

 ハイブリッド米の産地

気のいいお兄ちゃんが別れ際に買ってくれたオレンジ、「黔陽氷糖橙」って言ってこの辺りの名産なんだって。甘酸っぱいぜ。懐化市は古くからの集落がたくさん残っていて、別名〝歴史的建造物の博物館〟って呼ばれているんだ。芸能人が田舎にホームステイするテレビ番組なんかでよくロケに来ているらしい。う～ん、確かに山あり、水ありでほのぼのした雰囲気だよな。あれ、「雑交水稲記念園」って米の博物館がある。あ～、このおじいちゃんニュースで見たことあるぞ。確か…そうだ、〝中国ハイブリッド米の父〟と称されている袁隆平さんで、昨年この人が手掛けた田んぼが、年間生産量で世界記録を更新したんだよな。おいしい米がたくさんできるなんてありがたいぜ。せっかくだからここの白米食べて、スタミナをつけるとしますか。さあ、次の街を目指してゴーイングハイウェイ！

～上海ジャピオン2017年4月7日発行号