1.世界一辛い?名物鍋
上海にもたくさんある火鍋店。唐辛子の利いた真っ赤なスープを口にして、火を噴きそうになった経験がある人も多いんじゃないかな?
重慶はこの火鍋の発祥地。夏は釜の中にいるみたいに暑い重慶だけど、冬は冷蔵庫の中のような寒さが訪れるんだ。こういった気候条件の下、「川の町」と称される重慶の流通を支えていた船や港で働く人たちは、冬の寒さに加えて川の水の冷たさも乗り切らなければならなかった。
お金もあんまりなくて寒さに弱っていた彼らがどうしたかというと、大衆食堂で低価格で売られていた、余りものの牛の内臓に目をつけた。体を暖めるために唐辛子をたっぷりいれて辛くしたスープに、栄養たっぷりのホルモンを放り込んで、冬のエネルギー源としたんだ。
こうして河川労働者の間で生まれた火鍋は、徐々に広がりを見せ、今では重慶の町の大通りから小道までいたるところに「重慶火鍋」の看板が見られるよ。
2.坂道をいくお手伝い
「川の町」と呼ばれる重慶だけど、一番の特徴は町が山の上にできていることだ。標高200メートルの山の麓から中腹にかけてそびえ立つ高層ビル、所狭しと並ぶ民家。その間を縫うように無数の坂道が走っているんだ。
町では、こうした坂道を重そうな荷物を天秤棒一本で肩に担ぎながら、上り下りする人たちの姿がよく見られる。そう、「棒棒軍」とは、荷担ぎ人夫である彼らを表すんだ。坂の町に暮らす人々の生活に密着して、買い物から引越しまで、なんでも運んでくれる彼らは、この町にとってなくてはならない存在なんだよ。
3.北方の水がめ
1993年に建設が始められ、2009年に完成予定の世界最大となるこの地域のあるものとは、水力発電ダムのことなんだ。
このダムは「三峡ダム」と呼ばれ、中国で一番長い川、長江の中流をせき止めてしまおうという計画なんだよ。貯水池は湖北省宜州市に始まって、ここ重慶市まで全長約600キロ。なんとこれは、直線距離の東京―広島間に相当するんだ。
このダムができると、長江の大反乱がなくなり、電力不足に悩む中国の総消費電力の1割をまかなえるようになるそうだよ。
重慶市ってどんなとこ?
中国南西部の経済・文化・交通の中心地。直轄市のひとつ。長江中流域に位置し、川に囲まれた山の上に作られた町。冬と春は霧が多く発生する。
【人口】2,808万人
【面積】約1,000km2
【省都】重慶市
【民族の割合】漢族93.6% その他民族6.4%
【平均寿命】71.73歳
【都市部平均年収】11,570元,(約173,550 円)
【農村部平均年収】2,874元(約43,110 円)
■次回予告■山東省
①1964年に発見されたのは何の化石?
②青島ビールを開発したのはどこの人?
③山東省出身・孔子の子孫はいったい何人?
~上海ジャピオン5月25日発行号より