食道をゆく 第28回 皮蛋

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ピータン
皮蛋
~江蘇省蘇州市~

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皮蛋はスーパーなどで、1個約1元~で売られている

偶然が偶然を呼んだ産物
かまどの灰の中から誕生

 皮蛋(ピータン)は、アヒルの卵を強いアルカリ性の条件で熟成させて製造したものだ。
場合によっては、鶏やウズラの卵を使用することもある。
スライスして生でも食べられるが、中華料理では、
「皮蛋豆腐」や「皮蛋痩肉粥」などと調理されて食すことも多い。
卵の調理法の中でも特殊なものだと言えるが、一体どのようにして生まれたのだろうか? 

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滄浪亭は、名園の多い蘇州で、最も古いとされる庭園

 言い伝えによると、約400年前の明朝・泰昌年間、
江蘇省の呉江県には小さな茶館を経営する店主がいたという。
店はすこぶる繁盛しており、人手が少なかったため、店主は客の応対に忙しい日々を送っていた。
そこで沸かした後の茶葉は、裏のゴミ捨て場ではなく、かまどの灰の中に捨てていたのだ。
 また、店主はアヒルを数羽飼っていた。
アヒルたちは何故かかまどの灰の中に卵を産み落とす習慣があり、発見できずに拾い忘れることも多かった。
 ある日、店主がかまどの灰と茶葉を掃除していた時、中からアヒルの卵を何個か発見した。
これはもう食べられないだろうとは思ったものの、一応殻を剥いてみると、
白身部分が黒々と光り輝いているのに気付く。
さらに匂いをかいでみると、独特ながらも芳しい香りがしたので、
一口食べたところ、ツルツルと口当たり爽やかで美味だった。
これが最初の皮蛋だ。
 その後、人々があらゆる方法で作り方を模索していき、石灰を混ぜた粘土と籾殻をまぶすなど、
皮蛋の製造方法は日に日に進化していったのだった。
 料理のバリエーション豊かなこの皮蛋。
お茶でも飲みつつ、好きな調理法で味わおう。

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【アクセス】
上海駅から蘇州駅まで列車で約30分~1時間半、15~31元

~上海ジャピオン4月30日/5月7日号より

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